第14話 アルプス第一歩
いろいろあって、ついにアルプス入り。列車がインスブルックに近づくにつれ山容が険しくなり、同時に寒さも感じるようになり駅に降り立ったときには風も強くかなり寒かった。宿に着くとすぐ長袖、長ズボンに着替えた。
3週間後は78km の山岳マラソン(Swiss Alpine Marathon)だ。明日からはハイキングをしながら、本格的に山岳トレーニングをしなければ…。
翌朝。
昨日とは違って、風もなくさほど寒くはなかった。適当に駅近くに取ったホテルは安いが感じが良く、朝食はドイツ以来の「コンティネンタル」で十分食べる事ができた。冬場だったらアメリカンスタイルの暖かい朝食が良いが、夏場はこれで十分である。ビュッフェ形式(食べ放題・飲み放題)になっているのが、バックパッカーには有難い。
チェックアウト後、チロル民族博物館へ寄ってみる。荷物を預かってもらえたので助かる。イタリア・フィレンツェのように混んではいなかったので、ゆっくり見学できたが、特に感動的な作品にはお目にかからなかった。やはり芸術面では、イタリアには及ばない。
ドイツと同じ失敗をまたやってしまった。エッツタールまで列車で行き、そこからいよいよオーバーグルグルへバスで行く。そんなわけで、インスブルック発11時33分の列車に乗るつもりが、今日は日曜日で運休だった。やむなく、次の13時19分で出発する。
エッツタールからのバスで、日本人紳士と一緒になった。九州からの68歳のご老体である。6年前からスイス、オーストリアにたびたび来ているそうである。よほどアルプスの景観が気に入ったのであろう。航空券はキャセイ航空で8万円台とは驚いた。
(その時点で自分では「往復」と取ったのであるが、どうだったのだろう? 片道であれば、驚くほどの事はないのであるが…。自分はいつも往復券叉は周遊券を買っていた)
20年ぶりのオーバーグルグルは雨のお出迎えだ。日曜日で観光案内所はクローズ。懐かしさで以前宿泊したホテルに泊まりたかったのだが全然分からず、ローマ同様ホテルの名前を日記に書き留めておかなかったのが悔やまれる。諦めて庶民的そうなホテルを訪ねたら、2食付きで600オーストリアシリングと安い。日本円で8100円ぐらいだ。イタリアでは素泊りでもこれぐらいだった。
部屋も十分満足できた。シャワー室もゆったりで湯温の調整も良く、夕食も美味しかった。
少しでも走ろうと思い外に出ると再び雨、残念。近くを歩いてみた。小さな野の花がきれいに咲いている。
翌朝早速、アルプス・ハイキング開始。
今回の旅もいよいよ本格的にメインに突入だ。先ずは何をおいても観光案内所を訪ねてみる。山を含む町全体の地図を入手する時、最も知りたかった事を窓口の女性に尋ねてみた。
”Hello, may I ask?"
"Yes."
"20 years ago, I visited to Obergurgl for skiing."
"Yes."
"I stayed at good Hotel. But I don't remember the name."
"......"
"It's close to the tourist information and above it. The owner was middle woman. Her son was 18years old. He was a ski instructor. Do you know the hotel?"
"Sorry, I don't."
"It's close to ski-lift. There is a dance hall near there."
"Sorry."
真剣に対応してくれたら、候補ぐらいは挙げられると思うがあまり親切ではないようだ。自分で心当たりを見回してみるが、記憶にあるようなホテルは見当たらない。20年も前だ。建て替えているのかもしれない。オーナーが替わっていれば、どうなっているやら。気を取り直して、地図を片手に案内所を出た。
(2026年現在、AIという大変貴重なソフトが存在する。執筆中にハイキングコースを確認しようとした流れで、気になっていたホテルの事を質問してみました。判明しました。20年前に案内所の女性に伝えたのと同じ情報を提供したのですが、即座に返答があり明確に分かりました。AIの能力に感銘を受けるとともに長年の気がかりが解明できて、すっきりしました。
ホテルは当時18歳だった息子さんが跡を継いでおり、今はミシュラン星付きのレストラン&スパを備えた四つ星スペリアにグレードアップしているようです。
ホテル名は当時のまま、Hotel Bellevue なのが嬉しい。隣接する Hotel Austria は姉妹ホテルで地下トンネルで結ばれているようです。大きなホテルと隣接していたので、私は気が付かなかったようです。
今はホテルのオーナーになったHans-Peter Steiner 氏が今でもスキーに関わっているのかは不明ですが。
ただ私としては、貧乏バックパッカーには無縁の高級ホテルにグレードアップした事は何かを失ったようで少し寂しいですね)




