3話 同じ
「そうだけどさ。でも僕達を守ろうとしてくれてた事を知って、なんか…ちょっとね。安心した?っていうのかな。」
「へぇ…もう、へぇとしか言いようがねーわ。」
「ハハ、だよね。複雑だよね。」
「俺はてっきり…さ。」
「徹平…?」
「いや…あの日さ、巻き込んじまったからよ。お前が感じる罪悪感は俺のせいでもあるっていうかさ。」
「それは違うよ!徹平は何も悪くな…っ。」
…そうだよな。
こいつも僕と同じなんだ。
「加害者としての責任」があるんだ。
彼もまた僕と同じで、今でも僕達への罪悪感に苛まれているんだ。
徹平は「名声」「信用」「夢」「居場所」「家族」「仲間」そして「友達」メンバーの中で一番多くのものを失った。
失っただけではない。
彼は加害者である母親の息子として「罪悪感」も負っている。
『君が悪い訳じゃない』
今までも、そして徹平達と再会したあの日も、皆が僕にそう声を掛けてきてくれた。確かに昨日、その言葉で心は軽くなったような気はする。ただ、だからと言って僕の罪悪感が消える訳じゃない。それは彼らに対する後ろめたさとは全く違うところにあって、驚く程に根深く残っているのを実感している。
徹平や璃音くんから見れば
僕は何も悪いことはしていないのだろう。
誰も僕を恨んでいないのだろう。
それと同じで
僕や璃音くんから見れば
徹平は何も悪くない。
僕達は徹平を恨んでなんていない。
僕達は視点が違うだけで全く同じ境遇なのだ。
だから、僕が何を言っても徹平の罪悪感を拭ってあげられない事を誰よりも知っている。僕達を責めているのは僕達自身なのだから。それは自分の中で解決するしかない。いや、そもそも解決など出来るものではない。一生抱えて生きていくべき事なんだ。
そう一生だ。
だって
どんな事情があれど
殺人犯の息子である徹平が
そして止められなかった僕が
謝らなきゃいけない人はもう
この世にいないんだから。
結局のところ僕が徹平に唯一してあげられる事は、あの時璃音くんが僕に言ってくれたように彼の気持ちを軽くしてあげること。
彼の心を少しでも軽くしてあげられる言葉。
そして、僕にしか掛けてあげられない言葉。
それは…
「なんだか徹平と心が通えた気がするよ。僕も"同じ"だよ。」
「…ぁぁああ!!!!もう!!!!」
徹平は大声を出して、両手で自分の頭をワシャワシャと掻くと、そのまま黙り込んでしまった。そして、少し間を置いて撤平が口を開いた。
「…ありがとよ。」
「何言ってんだよ。」
僕は拳で徹平の頭をコツンと叩くと、徹平も少し照れた表情で、コツンと僕の頭を叩き返してきた。
次回予告
4話 ぶっ壊す。てか、ぶっ潰す。




