第三話「伝説の石工」
私の名前はアルディーネ、しがない石工だ。
不運な身の上で聖剣に呪われその剣から一定以上離れられない。しかも聖剣を運搬できない。
まったく仕事がはかどらない。不眠不休で働くことができるのに・・・
「手が・・・届かない~」
「誰が石工だ!本職は聖剣だろ!」
言葉にしていたみたいです。
アーサーさんが私の頭に手刀をいれます。
痛いです。
復興作業は順調なようです。
ちなみに聖剣は移動してもらた。よし、手が届く。
カンカンカンカンカン。
「意外と力があるんだなその身体。」
「ええ、石ぐらいなら加工できます。暇潰しにちょうどいいですよ。」
うん。いい角度だ。綺麗に掘れた。
「生産活動が出来る武器か。」
アーサーさんが遠い目をしています。私も初めは何気ない手遊びのつもりだったのですが世界の創世期より続けていますとなかなか腕前にも自信がついてきます。ちょっとブランクがありましたがもう大丈夫です。感覚が完全に戻りました。
復興作業ということでたくさんできますから楽しいです。
「そろそろ日が暮れるぞ。」
「わかりました。このへんにしときます。」
聖剣の鞘に着いているベルト穴に腰に巻いている工具入れをのベルトを通した。
「何かもうそっちが本体だな。」
「時々思います。なぜ剣に生まれたのかと。」
「哲学的だな。」
「昔はもっと感情のない無機質な存在だったんですが物心つくと言うのでしょう?気がついたらずいぶんと色々考えるようになりました。」
「ふむ、武器としてはどうかと思うが、まぁいいんじゃないか?個性があって面白いと思うぞ?」
「個性、ですか。戦いたくないと言うのも?」
「まぁ、場合にもよるが聖剣の能力の一端に触れて思ったのは、あまりポンポン振り回すもんじゃないってことかな?兵器として聖剣を振るうならその威力は計り知れない。」
でも剣として生まれついてしまったモノの性なのだろう。誰かに使ってもらいたいと強く思うことがある。そしてそれと同じぐらい戦いたくないという思いがある。
先程の戦いでアーサーさんは私を剣としては使わなかった。
多分私を武器として使っていたらナイアルトを完封することが出来ただろう。
それだけの実力がアーサーさんにはある。
「そろそろ帝都にこれそうな仲間が集まってきたんだ。お前さんを紹介したいから来てくれるか?」
「わかりました。」
私は意識を聖剣に戻した。
「ちなみにこの手の彫刻を売りに出したことあるか?」
≪・・・中には経済力のない所有者の方とかいまして、かなりの量を流したことがあります。≫
「・・・仲間には内緒で頼む。七百年ぐらい前の有名な彫刻家とデザインがそっくりだって仲間が何人か騒いでる。」
≪・・・多分私ですね。それ。≫
どうやら有名になっていたらしい。ちょっとうれしい誤算です。




