第七話「白の刺客」
ふむ、襲撃かな?白い杭を手のなかで転がす。
「ああ、なるほとな。そういうことか。」
俺はゆっくり振り返った。
ふむ、なかなかのファッションセンスだ。
後ろにいたのは仮面にマントのおそらく男?だと思われるヤツだ。
全身が白い。めっちゃ目立つ。
『お前が何者かは知らないが《ゲート》を開く邪魔をするのはやめてもらおう。』
「《ゲート》?異界の門でも開くのか?」
『いかにも、我らが主はこの世界への降臨を望まれている。』
「降臨ときたか、まるで神様だな。」
『貴様のような蛮族の愚物には理解できまい。』
さて、どうしようかな?思ったよりハッキリと何か黒幕っぽいの出てきちゃった。正直対応に困る。もっと自然現象みたいなのを想像してたからこういう刺客っぽいのの事は考えてなかった。
「悪いが迷惑だ。あきらめてくれ。」
白い杭を握り潰す。意外と出来たな。
『《不朽の杭》を砕いただと?』
ニヤリと笑ってみる。実は色々と種や仕掛けがあるのだがわざわざ説明してやる必要はないだろう。
「どうした?自慢の権能か何かか?杭を砕いたぐらいで揺らぐ自信ならこの場は撤退をおすすめするぜ?」
挑発もしてみる。沸点の低い相手なら向かってくるし慎重な相手なら本当に撤退してくれるかもしれない。
『そうか、この場に満ちた忌まわしい気配が原因か。』
「・・・・。」
む、思ったより頭が切れるやつみたいだ。仕方ない。
ちょっと本気でヤるか。
会話中に練っていた気を全身の身体能力強化に当てる。いつもは部分的にやっているがこいつ相手だとそれでは追い付かない。
『ほう?なかなかの強者のようだな。』
「《来い!》」
ガラスを突き破るような音がして俺の呼び声に答えた剣がこっちらにやって来る。何処から来たのかは分からないが中々気合いの入った剣のようだ。
『・・・・だが所詮はただの人族だ。《展開、配置、標準、『不朽の杭』》』
うん、まだちょっとこいつのことなめてたかも。
さっき飛んできた白い杭が俺の回りを取り囲むように無数に配置されてる。魔法の並列展開だとしたらすさまじい制度だ。
『《射殺せ》』
俺は白仮面の発車の掛声と同時に足場にしていた屋根を蹴った。入れのいた場所は白い≪不朽の杭≫とやらの掃射で跡形もなくなってしまった。
もちろんそれで終わりではない。
打ち出された全ての杭がこちらに向きをかえて襲いかかってきた。
「ちっ!やっぱり追尾式か。」
無数の杭の群れはまるで海を泳ぐ魚群を思い出させた。お魚食べたい!
あの杭はおそらく食らうとヤバイ。
となれば!
「高みの見物か!」
『速い!』
全力で接敵し一撃を放つ!
「≪雷鳴剣≫!」
俺の得意技のひとつ魔法剣だ。
手の中の剣が光輝き雷鳴が周囲に轟いた!
ガ!ゴロゴロゴロゴロ!
本物の雷と同等の威力が乗った斬撃だ。余波だけでもすさまじい衝撃になるし直撃すれば受け止めても雷を真っ正面から受けることになる。
『ぐう。杭に込めた呪文が吹き飛んだか。』
ちなみに白仮面に剣は直撃した。
やつの腕を切り飛ばした。
断面は雷の熱で煙をあげている。
しかしそれだけだった。
「おいおい、直撃だぞ?どんだけ魔法防御力が高いんだよ?」
『こちらも驚いたぞ。広範囲に自身の魔力をばらまくことで私が杭に込めた≪射殺せ≫という命令を下記消したのだな。相応の魔力と知識がなくてはできない芸当だ。』
「そりゃどうも!」
≪不屈の杭≫を破壊するのは難しいと思ったからこその作戦だったが思ったよりヤツにダメージを与えられなかったようだ。
俺は剣を構え直す。
パラパラ。
剣からかすかにこぼれる音がする。
(やっぱりこの剣で≪雷鳴剣≫はきつかったか。もうガタが来てる。)
雷の力を流された剣は早くも崩壊の兆しを見せ始めている。
『・・・。相応の知恵者には敬意をはらおう。』
やつは切り飛ばした腕の断面をこちらに向けた。
まるで時間が巻き戻るように炭化した断面はなくなりもとの手が生えてきた。
(再生能力?いや、それにしては再生速度が早すぎる。)
『≪不屈の杭≫』
俺の動揺を無視してヤツは手の中の杭を呼び出したのだが・・・
「槍か?」
『あくまでも杭だ。まぁ用途は確かに槍と変わらんがな。≪整列せよ。≫』
さっきの《雷鳴剣》で吹き飛んだ杭を近くに呼び寄せている。
「さて、こっからが本番かな?」
『名を聞こうか?』
「名を聞くときは自分から名乗るものだぜ?」
『何?この世界ではそうなのか?よかろう合わせてやる。我が名はナイアルト・白痴の王に支える四柱が一つ。≪不屈≫の権能を預かるものなり。』
「・・・アーサー・アルバトロス。ただのしがない剣士だ!」
俺はナイアルトと改めて対峙した。




