91話目 妄信の徒&欠ければもはや無欠に非ず
幅が広く、長く明るい廊下を進み続ける結城とレイラン、そして新月とゾーイ。
「マスター」
「うん?」
結城はわずかに耳を横に居るレイランに傾ける。
「失礼ながら、マスターは男色の趣味もお持ちなのですか?」
「はぁっ!?」
思わず大声が出てしまった。
しかしレイランは無表情……いや、微妙に不安そうな表情を見せている。
「いやいやレイラン。俺のどこを見てそんなことを」
「レイランは結城を良く見ていますわね。私も見逃しませんでしたわよ。クロードのウィンクに、ちょっと胸ときめかせたでしょう?」
まるで人をおちょくり、尻を仕置き棒で小突くようないやらしさで新月が追撃する。
さすがの結城もたじろぐ。
「やめろ! 俺に男の趣味はない! まあ男の娘くらいだったら許容範囲だが」
「男色……検索中……」
「検索しなくていいから」
良心から、結城はゾーイの検索を中断させる。
「まあそれはそれとして、あの人数だと安全無欠は劣勢ですわ。誰か応援に残った方がよかったのではなくて?」
「あの安全無欠がやられるわけないだろ。大丈夫大丈夫」
「それフラグじゃありませんの?」
とはいえ、結城はクロードが負けることなどまったく考えていなかった。
一度理想の刃を交わしたことによる、信頼のようなものだった。
かつての世界、ここまで信頼出来る間柄など無かったため、結城の心は満足感に満たされていた。
なんにせよ、あれほど仲間思いの理想家が仲間を諦められるはずが無い。
それが結城の出した結論だった。
むしろ結城は自分の置かれている状況に不安を感じていた。
闇黒の徒、安全無欠とも分断され、残るはレイランと新月、そしてゾーイだけだ。
異能者は全員がユートピア国民の避難誘導をしているだろうし、増援も見込めない。その前に勝負が決まるかもしれない。
次で最奥に到達できるのが一番の理想なのだが。
そんなことを考えていると、これまで見た中で最も大仰な大扉に突き当たった。
この大仰さ。恐らくは最後だろう。
「いよいよ、か」
「マスター、くれぐれも油断なさらぬよう」
「この魅惑の新月、神ごときに遅れは取りませんわ」
「検査終了。作戦行動に支障ありません。いつでもどうぞ」
三人の戦闘態勢も整っている。結城は扉に手を伸ばす。
が、扉は自ら音を響かせて開き始めた。
「ハイテクだな」
扉が開け放たれると、そこはやはり玉座の間……ではなく、聖堂。大聖堂だった。
「ああ、そうか。そうだよな」
あまりに豪勢で頑強な作りから、結城が城だと思っていたこの建物は、巨大な大聖堂だった。
そして最奥には、一人の人影。
純白の布地に黄金の装飾が散りばめられた祭服。
盾を逆さにしたようなシルエットの帽子を被り、その右手には頭部に銀十字を置いた聖杖、左手には分厚い書物。
「さて、討つかな」
結城は歩みを進めながら、妄想の剣を顕現する。
もはや交渉の余地も、勧告の必要もない。
結城の中にあるのは、ただ目の前にある障害を排除するということだけだ。
「ようこそ、妄想の神よ。私は神より教皇の座を賜りし者です」
結城は構うことなく歩みを進め、しかし挨拶を返す。
「どうも、神の僕。早速この世界からご退場願おうか」
「……残念ながら、退場していただくのはそちらのほうだ。あなた方の崇める神は、すでに敗北した」
その言葉に、歩みは止まった。
「騙りか」
「信じられないのも無理はない。自らが信仰している神が敗れるなど、信じたくない気持ちは分かります。ですが、もうこれ以上、あなた方が戦う意味はない。大人しく神の裁きに身を委ねれば、やがて来る千年王国での幸福を約束しよう。神の名に誓って」
結城は再び歩を進める。
コレを打倒せば
「悪いが宗教勧誘に付き合ってる暇は無い。さっさと俺の世界に引越ししないといけないんでね」
「残念です……では神のみわざによって、あなたの力を打ち砕きましょう」
白い光が教皇の隣に集う。
それすら意に介さず、切り伏せればよいと進めていた歩みが、再び止まった。
「マスター?」
一番先に、結城の異変を察知したのはやはりレイランだった。
察したとおり、結城の表情は苦悶……否、暗い心の最奥から湧き上る憎悪。
「この俺の妄想を……好き勝手に救い上げたなッ!!」
「当然だろう、強かな俺よ。縋れるものなら、叶える為なら、手段など厭うまい」
光の声は、結城に似ながらも、どこか違う。
光はやがて人の身体を形作り、そして一人の、白髪の青年を創り上げた。
「これもIF、架空の世界戦の俺か」
「こちらの貴方は素晴らしい聖人でした。己の妄想を実現させるためとはいえ、その御姿は二代目の大聖人と謳われ……」
「新月、ゾーイ」
亜光速で動いたゾーイが教皇の背後を取り、青い刃を首筋に突きつけた。
また音速を数倍凌駕した速度の鞭が、喉元の寸前でその先端を止めた。
「お喋りな男は嫌われますわよ。もっと知的で紳士的に、黙して妄想するべきですわ」
新月はここでも乱されること無く相変わらずであった。
「そう慌てなさるな」
瞬間、教皇の体が光り輝くと、その姿は一瞬にして消えうせ、ふと見上げると、据え付けられている巨大な銀十字の上に立っていた。
「あら、思いのほか罰当たりですわね」
教皇はその杖を十字架の上部に突き刺した。
すると、途轍もない震動が響き渡る。
銀十字が無数のパーツとなって分解され、教皇の身体を覆う。
ついには銀の鎧で出来た巨躯と化す。あらゆる不浄を引き裂く白銀の両翼を背負い、純銀の鎧はあらゆる邪気を払い除ける清浄なる気を宿している。
そして分解された十字架の後に残ったのは、巨大な純銀の剣と盾。銀の巨躯を身につけた教皇が装備する。
全てを一切の乱れなく映すほどに鏡面磨かれた銀の盾。そして一切の曇りなき剣。
サイズといい、外装といい、その様はもはや、搭乗できる人型兵器のようでもあった。
「これは、またなんとも……誰が考えたのかしら、こんなの」
「ふふ、これこそが神のみわざ。ウルティマシルヴァー・サザンクロス!」
上空に羽ばたく銀色の騎兵と、こちらを見据えているもう一人の結城。
結城は目を離さないままに、控えているレイランに言う。
「レイラン、二人と一緒に騎兵のほうを頼む。俺は自分の汚辱をそそぐ」
「こちらは心配要りませんわよ。レイランと一緒に自分を倒しなさい。」
「いや、だが……」
「今更でしょう、結城。今更、そこにこだわる必要がありますの?」
結城は沈黙する。
暁色の刃を携えた孤高の自分を相手にした時も、流れとはいえ助力を得た。
それに、今回はそういった趣向とは違う。自分にはもはや妄想の世界に至るため、ただ突き進むだけだ。
今になって架空の俺が出てきたところで、そんなものに執着する理由も無かった。
「分かった。手早く終わらせて、そっちに加わろう。いいかレイラン」
「はい、既に」
レイランも戦闘態勢。あの朱と互角異常に渡り合う剣士と肩を並べて、負けることなどありえない。
「しかしまあ、よくも神なんて信じる気になれたな」
結城はむしろ神を敵と見做す妄想が多かった。
何せ神は人を救いもせず、しかもあんなろくでもない世界に自分を落としたのだから。
すると白銀の結城が語る。
「神は天に在り。俺は偉大なる存在にこそ、この想いを委ね、賭けた。そしてここに居る。妄想の使徒よ」
妄想の使徒。とんだ皮肉である。
神を信じる者を神の使徒とするならば、妄想を信じる者は妄想の使徒と呼ぶ。
「俺の神への信仰も、お前の妄想への信仰も代わりは無い。ただ依るべきところが違うのみだ」
「まあ、そうだろうな」
結城はあっさりと納得した。
その言葉はまったくもってその通りであったし、なんであれ、人に自分をどう評されようがそこに興味など無かったからだ。
余分な誇りも飾りも必要ないのだ。
「さもありなん。俺はただ、俺の妄想を信じて障害を打ち砕く。神に依ったお前に、愛すべき仲間は居るのか?」
すると白銀の結城は十字架のような剣と盾を顕現して相対する。
「それが答えか」
「この十字架こそが、愛の証。俺は神を敬愛し、そして神に愛される」
その妄想は、やはり歪なのだろう。
彼の言う神が恐らくは、本来の神でない可能性すらある。
既存の神を己の中で妄想し塗り替え、歪ながらも貫いた信仰……否、歪であるからこそ、妄信できたのだろう。
結城にそれを指摘する気は毛頭ない。なにより妄想は大なり小なり歪さがある。
ならば結局、どちらが勝つか。それをぶつけ合うしかない。この<理想の妄想>で。
「では……往くッ!」
地面を蹴り、一気に間合いを詰めようと前傾姿勢になった瞬間だった。
先ほどの十字架とはまるで違う。それよりも遥かに深く、大きい揺れが聖堂を襲った。
「なっ!?」
調子を狂わされた結城はたたらを踏んだ。
そして、異変の正体を肌で感じ取った。
「マスター、これは」
「ああ、分かるか?」
「はい。また彼女ですね。ようやく来ましたか」
むしろ遅いと思ったほどであった。
彼女なら、我先にと一番乗りしていたとしてもおかしくはない。
少なくとも俺とレイランは同じ考えだったようだ。
「マスター、恐らく、もう残り時間は……」
「そうだな。この島がまだあるうちに決着をつけよう」
「この揺れは一体……」
白銀の結城が動揺するのも無理は無い。恐らく生真面目に妄信してきたであろう彼に、あんなデタラメな存在は未知だろう。
「白銀、あんたの妄想に足りなかったもので、代表的なものを一つ挙げよう」
「俺の妄想に、足りないもの?」
「ああ、それは……デタラメさとおふざけだ」
「マスター、それでは二つです」
そして大聖堂は再び揺れた。
震源は先ほどより近づいていた。
観念した魔女は、哀しき勇者の一撃で葬られる。
そのシナリオは強烈な破壊音と共にひっくり返された。
「えっ?」
とてつもない衝撃で破壊される天井。
そして瓦礫と共に落ちて来る三つの影。
「クロードッ!!」
「この声、メイヴ!?」
瓦礫と共に落ちてくるのはメイヴ、リューテ、そして緑髪の乙女が一人。
「ちょいやっさっ!」
緑髪の乙女が共に落下する瓦礫を両手につかみ、二方向に鋭く投擲した。
片方はクロードの振り下ろした刃を、片方は女戦士の刃を大きく弾いた。
「なッ!?」
衝撃で、クロードの瞳に光が戻る。
「ま、魔耶、僕は……」
「クロード、正気に戻ったのね?」
「僕は、なんてことを……」
仲間を失うことを許さない安全無欠の勇者が、仲間を自分の手で殺めようとした。
その事実が、正気のクロードに重くのしかかり、跪く。
「どうして、僕はあんな……」
「クロード、あなたは混乱していただけです。あなたに罪は無いわ」
クロードに寄り添い、語りかける魔耶。
メイヴたちが着地し、周囲を見渡す。
「感謝する、蓮華。しかしなんだ、クロードが追い込まれているのか……?」
「いや、それにしては妙だ。が、考えている暇はない。敵はすぐそこに居るからなッ!」
リューテは迅速に駆け、クロードの傍に立つ。
「しっかりせんかクロード」
「りゅ、リューテ……」
クロードを見やるリューテ。リューテはクロードの目を見て大体のことを把握した。
「なるほど、そのうろたえ様、そして目力の弱さ……理想を揺さぶられたな?」
言い当てられたクロードは目を逸らす。
だがリューテは揚期に笑う。
「カッカッカ!! 何を後ろめたいことがあろうか、安全無欠よ。お前はまだ誰も失ってはおらん」
「でも、でも僕は、自分で魔耶を……」
「よく見よクロード。魔耶はまだ生きている。まだ取り返せるぞ? せっかくの好機を逃すのか?」
「チャンス……?」
リューテは腰に帯びたククリナイフを右手に持ち、クロスボウを左手で構える。
「良いから立て、クロード。お前はまだ『誰も死なせてはおらん』だろうが。まだお前の理想は死んではおらん」
「っ!」
「それでも己の過ちを疎むならば、二度と繰り返さぬ証を、今此処で打ち立てろ。それこそが唯一の名誉挽回の方法と知れッ!」
リューテの言葉がクロードの身体を貫く。
「さて、とはいえ心の整理は必要……よくも我らが勇者の良心に付け入ってくれたな?」
リューテは臨戦態勢。狙うは雅が苦戦している相手、女戦士?
「メイヴ、ぬしはどうする」
わずかに顔を傾け、横に立つメイヴを見た。
「言うまでもない。私はクロードを護る。今のクロードは無防備すぎる」
「それでよい。では儂は好き勝手やらせてもらう」
ニヤリと、獣のように犬歯を見せるリューテ。
対し、メイヴは疾風に及ぶ素早さで細身の剣を抜いた。
「好きにしろ。ただし安全無欠に泥を塗るようなことは避けてくれ」
「ほざけ、この儂を誰だと思っている?」
リューテは、低く、より低く前へ傾け、頭を伏せる。次の瞬間。
「カァッ!!」
それは猛々しい走駆であった。
広いはずの空間は犬の如き機動性によってたちまち小部屋と化した。
「聖霊よ、射抜け」
ローブが女戦士に近づけまいと光の弾を放つ。
三つの光弾がリューテを追尾するが、横合いから緑の光に砕かれる。
「っ!?」
ローブが見るのは、剣の先端に緑色の光を宿らせるエルフ。
「風の魔法を見るのは初めてか? 魔力を帯びる風は緑色に発光する。覚えておくといい」
一方、リューテは女戦士を自らの間合いの内側に入れた。
「無事か? 駄鳥」
言い終え、リューテはククリナイフを振り下ろす。女戦士がすぐさま反応し剣で防ぐ。
「シッ」
ククリナイフが捻り、大剣の刃の上を舐めるように滑らせたかと思えば、ナイフは剣をすり抜けた。
「なんとッ!?」
「妙技、捻り通し」
刃の位置が入れ替わり、リューテはそのまま女戦士に向いた切っ先を押し込む。
女戦士は咄嗟に身を退く。必然的に雅との距離も離れる。
追撃でリューテはボウガンを射出するが、矢は呆気なく分厚い刃で弾かれる。
「ふむ、中々楽しめそうじゃな。しかし……」
リューテは肩で息をしながら片膝をついている雅をチラリと見やる。
「ふむ。やはり速度だけの若い天狗では荷が重いか」
「リューテ……助かった」
「まったく。よくもこれでリューテの護衛などと。天狗もいい加減な仕事をしよる」
大苦戦を喫した雅には反論の術が無い。
まったくもってその通りで、もはや雅は項垂れるばかりだ。
リューテは溜息を一つこぼす。
「まったく……少しは跳ね返って見せんか」
「面目ない。アマゾネスの女王。貴女の言うとおり、私は力不足……」
「馬鹿者。そういう時はこう……」
リューテは咄嗟に伏せ、頭上を通り過ぎる大剣を上に蹴り上げた。
剣が浮き上がったところでがら空きの腹部に鋭い蹴りを放つが、頑強な盾で防がれる。
「ぬがぁッ!!」
が、その蹴りはあまりにも強く、大剣と盾を装備する女戦士を吹き飛ばし転がす。
「この無礼者め。人がせっかく若人に教え諭しているというに」
「褐色、貴様、何者だ」
「おぉう。これは失敬したな戦士。そういえば名乗りを上げていなかった。せっかくの死合いだというのに」
ボウガンを投げ捨て、背負う大鎌を左手に握る。
「我はアマゾネスの女王、名はリューテ。さらば、死合いを楽しむとしようか」
肉食獣のような眼光と笑みに、さすがの戦士も盾を構える。
好戦的なリューテが戦士と刃を交える一方で、メイヴは冷静に戦況を把握しながらクロードと魔耶を責めていた。
「まったく、私達に連絡もなしに乗り込むからそうなる」
敵は神聖装備に身を包んだ四人。勇者は澄み渡る天空を思わせる青色の鎧。おそらく天空神の力が付与されている。聖文字付きの剣は恐らく神器で、破邪の効果が備わっているはず。
隣に居る清楚な女性と横にいる純白のローブの人物が着ているのは、恐らく天性の守護を受けた防具。
あの大仰な衣装の女性は、右手に持つステッキの煌びやかさを見るに神官のような立ち居地だろう。もしかしたら勇者の隣から離れようとしないところを見ると聖女かもしれない。
「私たち全員で安全無欠なのだから、その分こちらが不利になるのは少し考えれば分かることだろうに。クロードも慢心しすぎだ。それに魔耶も、もう少し気を配れたはずだろう」
そしてこちらを注視しているあのローブ。恐らく賢者だ。
セージは基本的に魔力を扱い、超自然の精霊と契約し、魔法を行使するタイプだが、アレからは違う印象を受ける。まず精霊の気配がしないので、恐らくは神霊使いとして取り込んだか……。
「……おい、少しは言い返すなりしたら」
「ごめん」
クロードはなんとか立ち上がり、メイヴの横に並ぶ。
「皆がそろって、初めて無欠なんだ。そんなことも忘れてた。本当にごめんなさい」
「分かれば良い。それに、あの時の借りも返せたし、お互い様さ」
すると相手の勇者が至極残念そうに目を閉じた。
「もう少しで安全無欠の勇者を正しい道へと導けると思ったのに……」
「確かに、僕にとっては正しかったのかもしれない。君の言う神の理想郷なら、僕はきっと誰も失わないのかもしれない。でも、それは違ったんだ」
「違った? なにがですか?」
「それは……」
そこでメイヴがすっと手でクロードを制する。
「そんなことすら分からないなら、さっさとこの世界から消えてくれないか」
思わぬ挑発に言葉が詰まった勇者。代わりに隣の聖女が話し始めた。
「異端の者よ。神を度外視し、自然を崇拝する邪教よ。貴女も改宗するというのであれば、勇者と共に……」
「問答は終わりだ」
緑の光を宿す切っ先が残像を残し、緑の閃光を残す。
次々と描かれる弧は鋭く聖なる勇者へと襲い掛かる。
「ッ!」
勇者は即座に反応し剣に手をかけた。しかし聖女がそれよりも先んじて杖を突き出すと、半透明の白い障壁が斬撃波を光の塵へと変えた。
「聖人君子、私はお前の宗教なんぞに一切興味は無い。言いたいことがあるなら、私達の理想をへし折ってから言ってくれ」
もはや雄々しき口ぶりに、勇者は剣を、聖女もついに杖を構えた。
ところで、天井を打ち砕いた緑髪の少女……つまり蓮華はすでに姿を消していた。
それに気付いたものも居なかった。




