Act.3 出会い
ここがアムス大帝国か。レンガでできた建物もあれば見上げてやっと見えるほどのコンクリートの建物もある。それに道には路面電車にたくさんの馬車が走っている。さすが世界最大国家の首都「アムスシティ」なだけあるな。タイムスリップしたのかと錯覚してしまう景色に興奮が抑えきれないままロイス港湾会社へと向かった。
トマスさんの言った通り歩いて5分したら左に大きく社名が書いてあるレンガ造りの建物が見えた。早速中へ入ると社員全員がこちらを見てきた。すると一人の男がこちらへとやってきた。
「何か用があるのでしょうか?」
「ロイスって人に会いたい。」
「今呼ぶので待っててください。」
1分もせずに口がほぼ見えないほどの髭を生やして小太りのおっさんが現れた。
「私に何の用があるんだい?」
ダフォミラ人でしかもこんな汚い格好をしているのにそんなこと全く気にせずに優しい口調で話しかけてきた。思わず俺も優しい声で話してしまう。
「トマス・ビリーさんからの推薦で来ました。そして俺をここで雇って貰えませんか。」
「トマス君か、あの子元気にしてるんだな。あいつが推薦するってことは信頼できるに決まっているな。いいよ、ちょっとこっちに来なさい。」
そう言われて連れて行かれたのは今までに見たことない広さをした倉庫だった。しかもこの中にはいたるところに荷物が綺麗に陳列されている。
「会ってすぐに正式な社員として働くわけにはいかないし、まずは荷物運びを手伝ってくれ。おい、ジャック!新しく来た人に荷物運びの仕事教えてやってくれ!」
「お、お前が新しく来た人か。オレの名前はジャック・カストロ。よろしくな!」
「俺はヘライオス・クリストファーだ。」
数時間後
ジャックさんはすごく話しやすく初めて一緒にいて楽しい人だった。それにいつもやっていた仕事に比べれば腐敗臭は一切なく安全な環境で遥かに楽だ。業務内容は荷物を運ぶだけだったがこれからはもっとやることが増えるらしい。それともう一つ、同じ運搬作業をしているローグという女性とも仲良くなれた。そしてジャックさんおすすめの違法なギャンブルをしている闘技場へと行く予定だ。さっき仲良くなった人にいきなり違法な場所に連れて行くのはどうかと思うけどと申し訳なさそうに聞いていたが俺は元よりこういう場所には慣れているから問題ないと快く受け入れた。もちろんローグさんも同行する。どうやら彼女も俺と同じような境遇らしく、両親はシュムス人という人種は違うが同じアムス大帝国の植民地下にある地域の人だ。それに生まれたばかりの頃に両親を亡くし孤児院へと引き取られた。院内でもシュムス人の特徴である蒼眼を持っていることを理由に差別されてきた。その経験からか誰かを睨むわけでもないのに近寄りがたい空気をまとっている。
5分ほど歩くと公衆トイレの前で止まった。
「トイレに行きたいのか?」
「そういうわけじゃない、ついてこい。」
男子トイレの中へ入るとこの先に個室トイレがあるようなわけじゃないのに違和感のすごいドアがある。ジャックがこれを開けると広がっていたのは公園だった。しかも辺りには覚えのある腐敗臭がして、そこら中にゴミがありホームレスが住んでいるであろうところだ。
本当にここなのかますます疑わしくなってきた。ローグの顔を見ても何も驚きもしないからたぶん正しいのだろうけどやっぱりまだ疑心感は残る。
このままついていくとかつて地下鉄が通っていたであろうぼろぼろのホームの中へ入っていった。階段を降りると地上の雰囲気とは別世界が広がっていた。目の前のガラス越しからは壮大なスタジアムが見え、観客席は3階分ある。
「すごいな、これ。」
「だろ、これが知る人ぞ知る大帝国の裏の世界。ここなら知っていれば誰でも観れるし、選手として参加もできる。しかもここで天下を取れば大金持ちに大変身だ。夢があるだろ?」
「そうだな。」
俺の強さがここ通用するかはわからないが選手として出るのも悪くないな。今度出場してみるか。するとジャックは一番上の席を指差した。
「あそこの席のやつらみんな仮面をつけてるだろ、あいつらみんな政治家とか貴族、資本家に経営者とか大金持ちが座ってどっちが勝つか賭けているんだ。もちろんオレたちが今から行くのはあそこじゃなくて誰でも入れる椅子すらないところだけどな。でもな、そこは一番間近で観られるからライブ感は半端ないぞ。」
俺たちは観客席へと向かった。まだ試合までは時間があるらしいのでトイレへと向かおうとしたその時、いかにもなチンピラ3人がこちらへと近づいてくる。真ん中を歩いているやつは他の二人よりもガタイがよく威圧感はあるがこれ以上にやばい相手を何度も見てきた俺からしたら恐怖心は全くない。しかしジャックは何かしくじったような顔を見せる。
「お、ジャックじゃないか。珍しく今日はお連れさんも一緒か。いきなりだけど挨拶代わりにさ、今持ってる金くれないか?くれないとどうなるか分かってるよな?」
ジャックの手は震えながらポケットに手を突っ込み取ろうとしている。ローグが渡さないように止めようとするも彼にとっては無意味だった。このまま渡せば一生あいつらの言いなりのままだ。当然俺は止めようとして彼の腕の骨がきしむほどに掴むが彼は恐怖の混じった声で言う。
「お前たちには関係ないんだ!頼むから離してくれ、こいつらには反抗しちゃダメなんだよ。あのデカい男はここの上位選手だ。もしあいつらを倒せたとしてもバックにはデカいクランがついてる。あいつら殺すとなったらまじで体を切り開いて見せ物にされるんだぞ。大人しく金を渡せば解決するんだし渡せば良いだけだろ。」
「ジャックの言う通りだ。金払えば見逃すんだし優しいだろ。ついでにお前たちも払ってもらうか。」
俺とローグは絶対に渡さないという強い意志を見せたがそれが彼らの怒りの火種へとなった。
「お前らずいぶん生意気だな。それに男は翠眼だが肌はこっちの人間とは違ってダフォミラ人みたいだな。それに女はあの奴隷のシュムス人だぞ。さてはお前ら俺たちにレイプされて生まれてきたんか?野蛮な猿どもの血を引いてて随分惨めだなww。」
ダフォミラ人だろうがアムス人だろうがそんなのは俺にはどうでもいい。でも家族を馬鹿にしたのは許せない。もう既に怒りをコントロールすることはできずむしろ殴れと促すようだった。言われたことに耐えられずありったけの怒りを込めて男の腹を殴った。
「あがっ……がはっ……!?」
一撃で胃袋を破られたかのようにガタイのいい男が泥人形の如く崩れ落ちる。取り巻きの二人が、信じられないものを見たという顔をしている。
「おい、お前らは俺の逆鱗に触れた。どうなるかは分かってるよな。」
「く、クソ野郎め!ぶっ殺してやる!!」
「その気で来るんならこっちも容赦しないぞ!!後悔はすんなよな!」ここがアムス大帝国か。レンガでできた建物もあれば見上げてやっと見えるほどのコンクリートの建物もある。それに道には路面電車にたくさんの馬車が走っている。さすが世界最大国家の首都「アムスシティ」なだけあるな。タイムスリップしたのかと錯覚してしまう景色に興奮が抑えきれないままロイス港湾会社へと向かった。
トマスさんの言った通り歩いて5分したら左に大きく社名が書いてあるレンガ造りの建物が見えた。早速中へ入ると社員全員がこちらを見てきた。すると一人の男がこちらへとやってきた。
「何か用があるのでしょうか?」
「ロイスって人に会いたい。」
「今呼ぶので待っててください。」
1分もせずに口がほぼ見えないほどの髭を生やして小太りのおっさんが現れた。
「私に何の用があるんだい?」
ダフォミラ人でしかもこんな汚い格好をしているのにそんなこと全く気にせずに優しい口調で話しかけてきた。思わず俺も優しい声で話してしまう。
「トマス・ビリーさんからの推薦で来ました。そして俺をここで雇って貰えませんか。」
「トマス君か、あの子元気にしてるんだな。あいつが推薦するってことは信頼できるに決まっているな。いいよ、ちょっとこっちに来なさい。」
そう言われて連れて行かれたのは今までに見たことない広さをした倉庫だった。しかもこの中にはいたるところに荷物が綺麗に陳列されている。
「会ってすぐに正式な社員として働くわけにはいかないし、まずは荷物運びを手伝ってくれ。おい、ジャック!新しく来た人に荷物運びの仕事教えてやってくれ!」
「お、お前が新しく来た人か。オレの名前はジャック・カストロ。よろしくな!」
「俺はヘライオス・クリストファーだ。」
数時間後
ジャックさんはすごく話しやすく初めて一緒にいて楽しい人だった。それにいつもやっていた仕事に比べれば腐敗臭は一切なく安全な環境で遥かに楽だ。業務内容は荷物を運ぶだけだったがこれからはもっとやることが増えるらしい。それともう一つ、同じ運搬作業をしているローグという女性とも仲良くなれた。そしてジャックさんおすすめの違法なギャンブルをしている闘技場へと行く予定だ。さっき仲良くなった人にいきなり違法な場所に連れて行くのはどうかと思うけどと申し訳なさそうに聞いていたが俺は元よりこういう場所には慣れているから問題ないと快く受け入れた。もちろんローグさんも同行する。どうやら彼女も俺と同じような境遇らしく、両親はシュムス人という人種は違うが同じアムス大帝国の植民地下にある地域の人だ。それに生まれたばかりの頃に両親を亡くし孤児院へと引き取られた。院内でもシュムス人の特徴である蒼眼を持っていることを理由に差別されてきた。その経験からか誰かを睨むわけでもないのに近寄りがたい空気をまとっている。
5分ほど歩くと公衆トイレの前で止まった。
「トイレに行きたいのか?」
「そういうわけじゃない、ついてこい。」
男子トイレの中へ入るとこの先に個室トイレがあるようなわけじゃないのに違和感のすごいドアがある。ジャックがこれを開けると広がっていたのは公園だった。しかも辺りには覚えのある腐敗臭がして、そこら中にゴミがありホームレスが住んでいるであろうところだ。
本当にここなのかますます疑わしくなってきた。ローグの顔を見ても何も驚きもしないからたぶん正しいのだろうけどやっぱりまだ疑心感は残る。
このままついていくとかつて地下鉄が通っていたであろうぼろぼろのホームの中へ入っていった。階段を降りると地上の雰囲気とは別世界が広がっていた。目の前のガラス越しからは壮大なスタジアムが見え、観客席は3階分ある。
「すごいな、これ。」
「だろ、これが知る人ぞ知る大帝国の裏の世界。ここなら知っていれば誰でも観れるし、選手として参加もできる。しかもここで天下を取れば大金持ちに大変身だ。夢があるだろ?」
「そうだな。」
俺の強さがここ通用するかはわからないが選手として出るのも悪くないな。今度出場してみるか。するとジャックは一番上の席を指差した。
「あそこの席のやつらみんな仮面をつけてるだろ、あいつらみんな政治家とか貴族、資本家に経営者とか大金持ちが座ってどっちが勝つか賭けているんだ。もちろんオレたちが今から行くのはあそこじゃなくて誰でも入れる椅子すらないところだけどな。でもな、そこは一番間近で観られるからライブ感は半端ないぞ。」
俺たちは観客席へと向かった。まだ試合までは時間があるらしいのでトイレへと向かおうとしたその時、いかにもなチンピラ3人がこちらへと近づいてくる。真ん中を歩いているやつは他の二人よりもガタイがよく威圧感はあるがこれ以上にやばい相手を何度も見てきた俺からしたら恐怖心は全くない。しかしジャックは何かしくじったような顔を見せる。
「お、ジャックじゃないか。珍しく今日はお連れさんも一緒か。いきなりだけど挨拶代わりにさ、今持ってる金くれないか?くれないとどうなるか分かってるよな?」
ジャックの手は震えながらポケットに手を突っ込み取ろうとしている。ローグが渡さないように止めようとするも彼にとっては無意味だった。このまま渡せば一生あいつらの言いなりのままだ。当然俺は止めようとして彼の腕の骨がきしむほどに掴むが彼は恐怖の混じった声で言う。
「お前たちには関係ないんだ!頼むから離してくれ、こいつらには反抗しちゃダメなんだよ。あのデカい男はここの上位選手だ。もしあいつらを倒せたとしてもバックにはデカいクランがついてる。あいつら殺すとなったらまじで体を切り開いて見せ物にされるんだぞ。大人しく金を渡せば解決するんだし渡せば良いだけだろ。」
「ジャックの言う通りだ。金払えば見逃すんだし優しいだろ。ついでにお前たちも払ってもらうか。」
俺とローグは絶対に渡さないという強い意志を見せたがそれが彼らの怒りの火種へとなった。
「お前らずいぶん生意気だな。それに男は翠眼だが肌はこっちの人間とは違ってダフォミラ人みたいだな。それに女はあの奴隷のシュムス人だぞ。さてはお前ら俺たちにレイプされて生まれてきたんか?野蛮な猿どもの血を引いてて随分惨めだなww。」
ダフォミラ人だろうがアムス人だろうがそんなのは俺にはどうでもいい。でも家族を馬鹿にしたのは許せない。もう既に怒りをコントロールすることはできずむしろ殴れと促すようだった。言われたことに耐えられずありったけの怒りを込めて男の腹を殴った。
「あがっ……がはっ……!?」
一撃で胃袋を破られたかのようにガタイのいい男が泥人形の如く崩れ落ちる。取り巻きの二人が、信じられないものを見たという顔をしている。
「おい、お前らは俺の逆鱗に触れた。どうなるかは分かってるよな。」
「く、クソ野郎め!ぶっ殺してやる!!」
「その気で来るんならこっちも容赦しないぞ!!後悔はすんなよ!」




