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モブだと勘違いした転生地味令嬢は身勝手ヒロインから推しを守りたい  作者: 芹屋碧
一章 転生垢抜けモブ令嬢な私と憧れの魔法騎士様とふしだらなヒロイン
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 「 騙されないわよ!誰にも責められずキスやエッチも攻略対象者全員と出来る特別版ヒロインが、しないなんて選択肢あり得ないでしょ! あんた頭おかしいんじゃないの⁉ 」




 講義室でアイナに告げられた言葉が、頭の中でずっと反芻している。




 ――私……本当にモブじゃなくてヒロインなの?




 今までルナセイラは自分がヒロインである可能性など微塵も考えたことはなかった。 もしかしたらアイナが勘違いしているだけかもしれない。 だが、特別版のヒロインとはアイナがそこまで羨むようなヒロインなのだろうか。 ――腑に落ちない事ばかりだ。


 特別版には、「 ルナセイラ 」と「 アイナ 」二人のヒロインがいたのだろうか? ――ゲームとしてそれは成り立つのだろうか。


 ダブルヒロインなど、攻略対象の取り合いや問題が起こる可能性が十分に考えられる。 『 奪うな 』と散々罵られたことを考えると、『 どちらかがヒロインになる 」と考えた方がしっくりくる気がする。




 ――アイナさんは特別版ヒロインに自分の立場を奪われることを恐れたということ?




 もし自分がアイナと同じ立場だったなら、確かに『 自分はヒロインの座から引きずり降ろされるかもしれない 』と思うかもしれない。 ――だからといって全員と身体の関係を持とうとは思わないが。




 「 たとえ私がヒロインで、攻略対象と体の関係を持つことを許されたとしても、絶対に好きになった一人としか体の関係は持たないわ! ……誰とでも寝るヒロインなんて……絶対に認めたくないもの! 」




 伊達に今世と前世合わせて五十年以上もルナセイラは喪女をしていない。 自分の恋愛観凝り固まっていることだけは自信をもって言える。 ――でも何のために特別版ヒロインは攻略対象と身体の関係を持つのだろうか。 ……その行為に何の意味があるというのか。




 自分がヒロインと言われても、ルナセイラは何一つ嬉しいと感じることはできない。 ただ、アイナがセイフィオスの攻略を諦めていないという事だけがわかった。




 ――セイオス先生はアイナさんの男関係知ってるから攻略は無理だろうけど……。 それでも私が守るわ!!




 ルナセイラは決意を新たにしたのだった。






 ***

 





 特進クラスの教室の入口に立つと、アイナは攻略対象たちに囲まれていつものように自分の席で談笑している。


 ルナセイラの席が一番前の窓側に対し、アイナの席は廊下側の後方の席だ。 その為、後ろを向かなければ彼等と目を合わせる事もない。




 ――さっきの事があったのに、アイナさんは全く気にしていないようね……。




 講義室で泣き喚いていたというのに、ケロっとしているアイナをルナセイラは呆れ気味に見つめてから自分の席に向かおうとした。


 これまでならアイナを囲む攻略対象たちと、ルナセイラの目が合う事はほぼなかった。――しかし、なぜだろう。 アイナの右後ろの席に座っていたサーシェンの、美しいエメラルドの瞳と視線が交わった。


 不思議なことにサーシェンは、眩しい程に美しい微笑みをルナセイラへと向けてきたのだ。 突然の事に目を瞠ったが、ルナセイラはすぐに視線を逸らした。




 ――ど、どういう事⁉ ……今、すごい綺麗な微笑みを向けられたわ!




 これまでルナセイラとアイナと攻略対象の四人はずっと同じクラスだったが、思わずたじろいでしまう程の微笑みを向けられたのは初めてだ。



 サーシェンはマジェスティ伯爵家の嫡男。 ――妖精と人間との間に生まれた稀有なハーフだ。


 妖精である母親に似た美しい銀色のロングストレートヘアーに、宝石のようなエメラルドの瞳。神秘的な透明感のある素肌。 背丈はルナセイラと然程変わらず、成人男性の平均の背丈くらい。 中性的で麗しい目鼻立ちは、ぱっと見そこら辺の貴族令嬢より余程美しい。


 妖精の血を引いているからなのかもしれない。


 悪戯好きで口も悪いが、それすらも愛らしく思えてしまうのがサーシェンの魅力だろう。



 

 ――アイナさんはサーシェン様の神秘的な美しさを気に入っているのかしら……。




 彼が優れているのは容姿だけではない。


 魔力が非常に多く、魔法スキルはSSランクを学園入学当初から超えており、スキルセンスも素晴らしい。 頭脳明晰で学年成績は毎回十位以内。 唯一の弱点は体力がない点だが、それをカバーするだけの魔力量により弓術スキルもSSランクを修得している。


 普段から美しいものに興味を持ち、花を愛でたり男女問わず美しいと思う者を贔屓している。


 王国の歴史や魔法に関連する文献を読んだり、連携魔法の研究にも夢中になっていた。


 それ以外に執着することは殆どなく、例外であるアイナや他の攻略対象の三人と話をしている時でさえも、独りを好んでいるように見えた。




 ――もしかして……私に微笑みを向けてくれたのは、美しいと思ってもらえたからなのかしら?




 それならばルナセイラも理由として納得できる。 昨日までは全く相手にされていなかったのに、今日いきなり微笑まれる理由が他に考えられないのだから。


 納得いく答えを見つけてすっきりしたルナセイラは、自分の席に腰かけて大きなアーチ窓の外の景色を眺め、セイオスの訪れを心躍らせながら待っていた。






 ***

 





 授業開始の鐘が鳴り、魔法学教諭ギシウスと共にセイオスとしてセイフィオスも教室へやってきた。


 教室に入るなり、いつものようにセイフィオスはルナセイラへチラリと視線を向け薄く微笑む。――しかし、なぜかセイフィオスの様子がおかしい。


 目が合った瞬間驚愕した面持ちで数秒身体を硬直させた後、何故かぷいっと視線を逸らしてしまった。




 ――え? ……まさか、今目を逸らされた?




 これまで一度たりともセイフィオスに目を逸らされたことなどない。 余りのショックでルナセイラは授業が始まっても放心状態から抜け出せない。


 頭の中にはセイフィオスの先程の表情が幾度となく再現されるが、何故自分が無視されたのか理解できずにいた。 授業に全く身が入らず、ぼーっと机を見つめていると、目の前にカサリと一枚の紙切れが置かれる。




 ――!!




 ハッとして顔を上げると、こちらを見つめるセイフィオスが佇んでいた。



 しー……


 人差し指をそっと唇に当てて笑みを浮かべると、セイフィオスは何事もなかったかのようにルナセイラの机の横を通り過ぎた。




 ――セイオス先生……。 私、嫌われたわけじゃなかったのかな?




 ルナセイラはホッと肩を撫で下ろす。


 目の前に置かれた紙切れを開いてみると、短いメッセージが記されていた。



 『 後で図書室で話を聞かせて 』



 授業中にも拘わらず、ルナセイラは彼の文字を見て嬉しくて顔を綻ばせた。 わざわざ手紙を渡してくれるとは思わなかったのだ。


 流石王太子殿下。 ――殴り書きでもとても美しい文字だ。




 ――これは私の宝物ね!




 嬉々として紙の折り目と皴を手で丁寧に伸ばすと、自分の持ち歩いている予定帳の間に大切に挟み込む。 先程まで落ち込んでいたのが嘘のように、ルナセイラは目の前がバラ色に感じた。


 授業の合間もルナセイラと目が合う度に、周りにわからない具合に彼は微笑みを向けてくれた。




 ――あー…… 今日一番の幸福だわ!嫌な事など全て忘れられそう!




 セイフィオスは、ルナセイラにとって幼馴染のマリーエルと同じくらい親しい友人であり……魔法剣士という憧れであり……人としても尊敬できる素晴らしい存在だ。




 ――恋愛なんかよりもずっと尊いわ! もしかしたらセイオス先生は私にとって「 推し 」という存在なのかもしれない。 ――推しって……最高だわ!!

 



 四限目が終わると、ルナセイラはすぐに片付けをして図書室へ向かった。


 相変わらず帰り間際までずうっと周りの生徒達からの視線が煩かったが、セイフィオスに会えたルナセイラは全く気にならなくなっていた。 無意識に微笑みを浮かべ、廊下を生徒とすれ違う度に振り向かれていたなど、ルナセイラは気にも止めない。


 図書室に入ると、セイフィオスは部屋の奥からこちらへやってきた。




 「 待っていたよ。今日はちょっと込み入った話もしたいから、場所を替えるよ? 」




 にこりと微笑んでセイフィオスはルナセイラの手を自然に掴む。 踵を返してセイフィオスはルナセイラを連れて図書室の奥へ歩みを進めた。




 「 ――今日はセイオス先生の方が来るの早かったんですね! 」




 ルナセイラはかなり慌てて図書室に来たのだが、それでもセイフィオスの方が早かったらしい。


 先にセイフィオスが来ていたことが嬉しくて、ルナセイラはどさくさに紛れて手を直に握られていることにすら気づかない。 ――前世の影響もあったのかもしれないが。




 「 今日は早く私も終わったんだよ。それに早くルナセイラ嬢に聞きたいこともあったしね! 」




 振り返り告げるセイフィオスの表情が、黒縁眼鏡越しでも眩しく感じる。ドキドキと胸は高鳴った。




 ――今日のセイオス先生……なんだかいつもと違う?




 案内されたのは窓際の長テーブルの席ではあるが、入り口付近のいつもの席よりも本棚に囲まれていた。 ――だからだろうか。本の香りが強く香る。


 元々放課後は生徒の数が少なくなる。 だが、奥のスペースは特に生徒が来ることは少ない。 まるで二人きりの空間のように思えてしまう。




 「 ――さ!ここに座って話そうか! どうぞ、かけて? 」




 窓際に座るように促されて腰かけると、何故かセイフィオスは向かいの席ではなくルナセイラのすぐ隣の席にピッタリ寄り添って腰かけた。




 ――⁉




 「 向かいの席に座らなくて良いのですか? 」




 「 うん。 問題ないから気にしないで。 ――今日はそれどころじゃないからね。 」




 「 ――? 」




 浮かべた笑みはいつも通りなのに、何故か密やかに圧を感じて胸がどきどきと早鐘を打ち続ける。




 ――セイオス先生……やっぱりいつもと雰囲気が違う気がする……。




 席が隣り合い肩が触れ合いそうな程近く、自分の憧れの人が座っている事が信じがたい。 チラリと視線を横へ向ければ目があってしまいそう。


 


 ――ダメ……セイオス先生を見れない……すごくいい匂いもするっ!




 窓際に追い込まれたルナセイラは、セイフィオスから微かに香るシダーウッドの森の香りのような心落ち着く匂いと、図書室独特な本の香りに包まれて、全ての意識が彼に向かっていた。


 甘い蜜に引き寄せられる蝶々のよう。


 雰囲気に呑まれかけた時、セイフィオスは話を切り出した。 




 「 ――ねぇ、なんで今日は隠していないの? ……本当にもう偽ることを止めちゃうのかい? 」




 何か不満があるのだろうか。 言葉の節々に刺々しさを含んだ声音が、セイフィオスの機嫌の悪さを表している。


 なぜ機嫌が悪いのか分からず、びくりと肩を揺らし彼へ視線を向けて答える。




 「 ――今日から目標達成のために……容姿を隠さないことにしたんです。 」




 「 ……それって、私をあの子から守る為と言っていたことかい? 」




 「 はい、その通りです! 彼女からセイオス先生を守るためには、正々堂々と本来の姿でアイナさんと向き合うべきだと思うのです! 」




 当然のように答えたが、セイフィオスは全く納得していない。――更に機嫌が悪くなっているようにも思えるのはなぜなのか。



 「待って待って! ……なんでそう思ったんだい? ――むしろ姿を偽らなくなったせいで、今はルナセイラ嬢の方が危ない状況じゃないか。 」




 追及しながら顔を寄せられて、あまりの近さに後ずさりたくなってしまう。――しかし、椅子と窓際に追い込まれてルナセイラは身動きが取れない。 どくんどくんと胸の鼓動は激しく暴れているというのに、セイフィオスの絡めとろうとする熱い視線が黒縁眼鏡越しでも強く感じ、目を逸らすこともできない。




 ――な……何⁉ ――か、顔が近いっ! ……無理無理!




 セイフィオスの匂いに慣れ始め落ち着き始めていた心は、彼の急接近で再びかき乱され顔に熱が集まっていく。 これまで異性にここまで近づかれたことは一度もないから当然だが、それだけでもないような気もする。


 恋愛経験もないルナセイラにとって、混乱せずにいられるわけがなかった。



 

 「 わ、私は別に危なくなど―― 」




 「 ――危なくないわけないよ! ……男子生徒たちの視線に気づいていないのかい? クラスの全ての男子生徒が、授業中にも拘わらず君に熱い視線を向けていたんだよ? 」




 ルナセイラの言葉に被せるようにセイフィオスは言葉を紡ぐ。――やはり、彼も気づいていたらしい。


 よそ見をしていると怒られた生徒も多々いたのだから気づくのも当然だ。 休憩時間だろうと、授業中だろうと、関係なく殆どの生徒がルナセイラを見ていたことは、自分でも気づいている。




 「 ――あれは……物珍しいと思って見ていただけでは―― 」




 「 ――珍しいだけで向けるような視線ではなかったよ。 」




 「 ……で、でも、偽ったままじゃ守るに守れないし……。 」




 「 それじゃあ自分の事も守れずに、どうやって私を守ってくれるんだい? 」




 呆れながらも頬をぷくうっと膨らませてセイフィオスは問う。




 ――な……何その顔⁉ 可愛くて尊いっ!




 突然のセイフィオスのふくれっ面に、ルナセイラは心の中で悶えた。


 ルナセイラは決して前世でセイフィオスを推していたわけではない。 それでも、彼の人となりを知った今世での気分は「 推し活 」のようになっている。


 セイフィオスをどうやってアイナの誘惑から守るのか。


 ルナセイラは色々と人生経験が足りていない。 ――だからこそ、セイフィオスとはちゃんと話をしてどう対策すべきか二人で考えなければならない。




 「 ――それは、セイオス先生と相談しながら考えたいです!

 実はわかったんです! アイナさんが、なんで四人の男子生徒たちと不埒な関係を築いたのか! 」




 「 どういうことだい? 」




 ルナセイラの言葉に、セイフィオスの表情が即座に真剣なものへと変わる。


 ルナセイラはこの世界が乙女ゲームの世界であることと、自分とアイナが転生者であることだけ隠して丁寧に今日の出来事を話した。



 昼休み中に突然アイナさんに呼ばれて断ろうとしたが、エディフォールに叱責されそうになった事。


 エディフォールがルナセイラに頭を下げて頼んだ為、断れずアイナと二人きりで話をした事。


 講義室でアイナさんと二人きりになった時、彼女が自らエディフォールと他の三人との関係を認め、彼らと深い関係になったのはルナセイラに奪われたくなかったからだと告白してきた事。 そしてセイオス先生のことも狙っている事。


 エディフォールはアイナとの交際は順調と思っているようだが、浮気されているとは気づいていない。

 もしバラされても、彼はアイナの事を信じ、他の三人もルナセイラには奪わせないとアイナが豪語した事まで。 ――ただ、豪語する割には「 奪わないで! 」と悲痛な表情でアイナが何度も訴えかけてきたことまでルナセイラは報告した。 




 「 君は何をやっているんだい! やはり危ない目にあっているじゃないか! ――あの子に敵視されているなんて!! 」




 全て聞いた後、怒り口調でセイフィオスは声を荒げた。




 「 敵視はされていますけど、なるべくセイオス先生の傍に寄り添い守ります! ――アイナさんと二人きりにはさせません! 」




 「 ……本当に……私の側に出来る限りいてくれるのかい? 」




 「 はい! 勿論です! 」




 セイフィオスの問いにルナセイラはきっぱりと答えた。


 トンと胸を叩いてルナセイラは自信ありげに笑みを浮かべたが、セイフィオスにはジト目を返された。




 ――はぁぁ……


 「 ――私の事はいいんだよ。あの子なんてどうにでも躱せるのだからね。 ……それよりも、私はルナセイラ嬢が心配だよ。 あの子の言う通り、第二王子殿下が君に近づいてくるかもしれないじゃないか。 」




 溜息を吐くと、セイフィオスはムスっとしながら告げた。




 ――セイオス先生の色々な表情をこんな間近で見れるなんて……最高過ぎるわ!




 セイフィオスの心配の声などルナセイラの耳には届いておらず、コロコロ変わる彼の表情にばかりに夢中になってしまう。




 「 大丈夫です! 私は他の女性に好意をもっている方なんて興味ありません! 」




 「 ……君が大丈夫と言っても説得力ないよ。 手の甲にキスされて気を失うくらい純粋なのに……。 」




 昨日の恥ずかしい失態の件を蒸し返されて、ルナセイラは羞恥で更に顔が燃えそうな程熱く感じた。




 「 そ、それはもう忘れて下さい! ~~でも、セイオス先生が私を心配してくれるのは……嬉しいですね! 元の姿に戻して良かったです! 」




 はにかみ微笑むルナセイラに、セイフィオスは少しだけ頬を染めてたじろいだ。




 「 忘れられるわけないよ……。 ルナセイラ嬢……一応確認するけれど、その容姿だから私が君を心配しているとは思っていないよね? 」




 「 違うんですか? 今まで心配なんてしてました? 」




 首を傾げてルナセイラは問う。




 「 それは君の容姿が今までは隠せていたからだよ! …………それに……私だって君が容姿をわざと隠していることくらい、入学当初からわかっていたんだよ? ……秘密を知っているのはルナセイラ嬢だけじゃないのだからね? 」




 「 え? ご存じだったのですか? 」




 ルナセイラは驚愕する。




 「 知ってたよ! ……髪の毛の質感が異様だったし、……私だけが本当の君を知っていたのに……。 」




 「 え?……ま、まさか、私の容姿を皆に知られて寂しい……とかおっしゃいませんよね? 」




 「 …………寂しい。」




 頬を薄っすら朱に染めたまま、ぷいっと視線を逸らすセイフィオスに、つられてルナセイラまで頬が熱くなるのはなぜだろう。


 まさかセイフィオスが自分の事を、想像以上に親密に想ってくれたと思わず感激してしまう。




 「 ――わ、私がセイオス先生の傍にいるのはご迷惑かもしれないと思っていたので……なんだか……凄く嬉しいですっ! 」




 嬉しくて堪らず笑顔で告げた。




 「 ~~~~!! 」




 「 ――セイオス先生? 」




 「 …………容姿を戻してとは言わないけれど……これからは私の事を守るっていうのならちゃんと傍にいて? ……私も……君を守れるから。 」




 何かを堪えるように、途切れ途切れになりながら掠れる声音で告げる彼の視線は、眼鏡越しでも熱が籠る。




 「 はい! お任せください! 」




 嬉しさに堪えきれず、本能のままに大きい声音で元気よく返事をしてしまったのだった。





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