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浅慮、ジークレイ・エラージュの放逐

 城にアニーを招待した日、彼女の帰り際に我が側妃候補となる事を考えてくれるなら、姉の処分を取り消すと伝えた。


 男爵家の娘が王太子の側妃となれるのだ。


 これ以上の名誉はないはずだ。


 しかし彼女は顔色一つ変えずに、むしろ不快げに顔を顰めて何の返事もなく去って行った。


 王族相手に無礼な振る舞いだとは思ったが、きっと突然のことに彼女も戸惑っていたのだ。


 だがすぐに色良い返事が聞けるだろう。


 他国との友好関係を結ぶにあたって、政略結婚も重要な手段の一つだ。


 ああ、そうだ。


 側妃として迎え入れる条件を、彼女の家に送るとしよう。


 きっと男爵家は、娘の名誉ある役目を、泣いて喜ぶことだろう。


 条件を記した親書をその日のうちに送り終えた。


 また近いうちにアニーを城に招待しようと思ったが、翌日、王都を騒がす出来事があった。


 突如として王都に黒い何かが現れて、そしてあっと言う間にアニー嬢を連れ去っていたのだ。


 しかも、一人の年若い男が彼女を抱き寄せ、仲睦まじい様子であの乗り物らしきものに乗り込んでいた。


 あの男は一体……


 二人はどんな関係なのか、俺の求婚の直後に、見せつけるようにあんな場面に出くわせば、コケにされたような気分になる。


 苛立たしげに机に座ると、さらに、神経を逆撫でることは続いた。


 その日の夕刻。


 弟が騒々しく執務室に訪れたかと思うと、感情に任せて何かを言っている。


 大した問題でもないに、王族たるもの、そんなに感情を露わにするものではない。


 みっともないと、弟の顔を眺めていた。


 最後にエリオットが吐き捨てるように言ったことには、腹立つものもあったが、伝えられた通りに父上の元に向かった。


 そこで俺に宣告されたものは、信じ難いものだった。


「父上、何故俺が、王族籍を剥奪された上に、労働者として帝国の属国などに送られなければならないのです」


「その理由を貴様が理解していないことがすでに問題なのだ。もうこれ以上、私がお前を庇い立てすることはできぬ。決定に従え」


「第一王子の俺が廃籍などになれば、この国はどうなるのです」


「エリオットがいる。なんの問題にもならん」


「なっ、俺は、何の期待もされていなかったと言うことですか!?」


「チャンスはいくらでも与えていた。それに応えることができなかった、貴様の責任だ。もう、連れて行け」


 父が話は終わりだとばかりにそう命じれば、周囲にいた騎士はすぐ様俺を拘束し、待機させていた古い馬車に乗せられていた。


 腕を縛られ、目隠しをされ、長時間荷台の床板の上で揺らされるだけの時間は、何故こんなことになったのかと、ずっとそればかり考えていた。


 俺は第一王子で、生まれた時から国王となることは約束されていたはずなのに、何故なのだと………











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