65話 念願のま......
ロキはドレイン達との別れが終ると、早足でグレーテル城塞都市のある店を目指していた。前々から欲しい物があり報奨金で買うと決めた。
早足で歩くロキに疑問を感じたエイラ少佐が冷たく質問する。
⦅どこに..向かってるんだ?⦆
⦅ムラカミ盗賊団の討伐報酬で白金貨1枚手に入って余裕があるので、あれを買いに行こうと思っています⦆
⦅まさか..魔法書か?⦆
⦅いえ違います。レイカさん達に聞いたら魔法書は王族や貴族などの特権階級じゃない売って貰えないですから、それに魔法ギルドに行っても前みたいに門前払いされるから行かないですよ⦆
⦅そういえば....そんなこともあったな....ロキ二等兵⦆
ロキはグレーテル城塞都市の中でマラソンしているため、好きなお店の場所は把握していた。その、マラソンをしている時に魔法ギルドを見つけて場所を覚えたので、昼間の時間帯に魔法ギルドに行ったら、売ってくれるどころか出入口で追い返されていた。
魔法ギルドに居た、魔法使いや魔法ギルドの職員に侮蔑の態度や視線を感じた。ロキは不快な気持ちになり二度と近づくかと誓った。
魔法ギルドの出来事をレイカさんに報告と連絡をしたら、悲痛な表情して「魔法ギルドにいる人達は自分達が特別な存在だと思ってるの、冒険者や平民に見下す態度をとるからね」と返されたことがある。
不快な出来事があったため、魔法ギルドに絶対に行かないと決めた。
魔法の書は自分でダンジョンに潜って手に入れようと決めた。
⦅それで何を買うんだ?⦆
⦅マジックバックです。魔物素材を運ぶ時に大変なんで、他にも持ち運べない物を入れられますから、便利なマジックバックが欲しいんです⦆
⦅その案に肯定する。ロキ二等兵にしては珍しく素晴らしい案だ。⦆
⦅何か馬鹿にされてる感じがしますけど....⦆
ロキとエイラ少佐は他愛もない会話をしながらナタリーが営むナタリー魔道具屋の店先にたどり着いた。
ロキはマジックバックが買えると思い期待でワクワクしていた。マジックバックといえば漫画や小説の世界で便利アイテムとして使用され、使い方次第では物資を運んだり、武器を突然出現させたりとか戦略の幅が広がるアイテムだ。
期待を胸に出入口のドアを思い切り押して開ける。ドアは勢いよく開き壁にぶつかって、ドアと壁が壊れそうな衝撃音が鳴り響く。
「あ......やばい。壊れて....ないよね」
⦅ロキ二等兵....失態だぞ力を入れ過ぎだ⦆
エイラ少佐の冷たい呆れ声が頭の中を響いた。
ロキがドアと壁を不安そうに見て触れようとすると、殺意を感じる。
「うっ.......」
ロキは殺意を感じる場所に顔をゆっくりビクビク怖がりながら動かす。
「うわっ!?」
ロキが見たのは怒りで目を血走らせていたナタリーだった。殺意で般若の顔をして睨み、両手を置いてる机はギシギシと軋む音が聞こえる。今にもロキに向かって飛び掛かってきそうだ。わずかに残る理性で抑えてるようだ。
ナタリーは殺意を込めて低く振動する声で。
「ロキーー久し振りに来たと思ったらどういうつもりだ。店を壊す気か!」
「な、ナタリーさん..これはその....」
「ローーキーー....」
「は、話しを聞いて....」
「言い訳は無用だ!」
ロキはナタリーから放たれる殺意を感じ....前世のことを思い出すと――。
「す、すいませんでした」
――日本の伝統、ザ・どけ座で謝罪した。
⦅失態だなロキ二等兵。ぷっ⦆
エイラ少佐の冷たい言葉と失笑が頭の中に響いた。
ロキは何度も頭を下げ謝罪した。サラリーマン時代の経験が生かされ洗練された動きで謝罪が出来たので、何とかナタリーの怒りを抑えることが出来た。
ナタリーは腕を前に組んで。
「これは貸しだからなロキ。いつか返して貰うぞ」
「すいませんでした。で、何で返せばいいんです?」
「....これから考えとく楽しみにしとけ。それで今日は何しに来たんだ。店を壊しに来たのか。それともいつもの魔道具を見に来ただけか....」
ロキは時間が出来るとグレーテル城塞都市の中にあるお店を色々見に回っていた。日本にはない商品があり面白く特に魔道具が気に入れ。時間が出来ればナタリー魔道具屋に出向いてた。
ナタリーはロキが魔道具に興味を持ってるのは知ってるので、少し嫌味たらしく話した。
「ナタリーさん。マジックバックを買いますので見せて下さい!」
ナタリーの嫌味を気にせず勢いよく話した。
ナタリーはロキの反応に驚く。
「えっ、マジックバック....買う。ロキ..お金あるの? 教えたと思うけど魔道具は高いわよ。特にマジックバックは....」
「資金の心配はないです。臨時収入で沢山稼げたので大丈夫です」
「ふーーん。臨時収入ね。マジックバックはいつもの場所にあるわよ。案内は必要かしら?」
「あ! 売り場は覚えてるから大丈夫でした。案内はいらないです」
「わかったわ。商品の説明が必要だったら読んでロキ。......貸しは何で返し貰うかしら.....」
ナタリーの最後の言葉に不安を覚えながらマジックバック売り場に向かう。
マジックバックが多数置かれている場所に着くと、マジックバックを凝視して吟味しながら眺める。
何か見てるので大体買う予定のマジックバックは決まっていた。候補として3つあり、まず一つが革製のリュックサック型のマジックバックで入る容量がトラック一台分だ、金額は大金貨60枚だ。次が金属製のカバンでサラリーマン時代に使っていたビジネスカバンだ、これも容量がトラック一台分で金額は大金貨75枚になる。最後が金属製で腕輪型で見た目はアクセサリーに見える。そして容量が同じトラック二台分だ、そして金額が白金貨3枚、予算オーバーだが一番理想的なマジックバックだ。
ロキはエイラ少佐に欲しいマジックバックを説明する。
⦅ロキ二等兵は何故この3つだけを候補にしたんだ⦆
⦅一番は容量の大きさですね。この3つが容量が大きいので、それと重さが変わらないところです⦆
⦅マジックバックによっては積載量が変わらない物もあるからな..⦆
⦅いくら身体能力があるといっても限界がありますし、一人旅には大変ですし、戦闘を考えると邪魔になりますから⦆
⦅それなら、候補にあるリュックサック型とカバンも同じではないか⦆
⦅そうです。一番欲しいのは最後の腕輪型です。持ち運びの邪魔にならないし、戦闘の邪魔にもならない理想的なマジックバック何ですが....白金貨3枚は予算オーバーです⦆
ロキがマジックバックを見て項垂れてると、売り場の仕事が終わったナタリーが話し掛けてきた。
「ロキ欲しい物はあった。その様子だと困っているようね。どれが欲しいの?」
ロキは候補のマジックバックにさして教える。
「これと....これ....あとこれになります。一番欲しいマジックバックはこれなんですが予算オーバーで」
「ふーーん、どれどれ、うちの店でも結構容量が大きいマジックバックだね。それも積載量が固定の物だね。ロキは容量が大きいマジックバックが欲しいの?」
ロキは同意するように相槌を打つ。
「そうです。容量が大きくって積載量が固定のマジックバックです」
「腕輪型を一番に欲しいと決めたのは....邪魔にならないでしょう」
「分かるんですか」
「冒険者に一番人気だしね。私も同じ腕輪型のマジックバックを装備してるから理解出来るよ。だからこそ高価になるんだ」
「冒険者にとっては理想的な大きさですからね。諦めるか..予算オーバーだしな」
「予算はどのくらいなの..教えてくれるんなら相談に乗るけど....」
ロキは人差し指を立たせて1を作る。
「予算は白金貨1枚です」
「白金貨1枚! マジックバックを買うって言ってたから持ってると思ったけど驚いたよ。ロキはこの前冒険者になったばかりだろ。今はランクはいくつなの?」
「今日ランクが上がってCランクになりました」
「えっ、Cランク....ロキは優秀だね。Cランクになったてことは......」
「まぁ、そんなところです」
「理解したよ、詮索して悪かったね。盗賊とはいえ人殺しは気分が悪いからね」
ナタリーはロキの反応が薄く歯切れが悪かったので人殺しをして落ち込んでいると思った。ロキはムラカミ盗賊団を壊滅させたことを人殺したことを何も気にしてなかった。この世界は食うか食われるかの弱肉強食だと理解しているからだ。
「....そういえばあれがあったな。ロキ時間が大丈夫なら少し待っててくれ」
「時間なら大丈夫です」
ロキが答えるとナタリーは何かを思い出したかのように奥の部屋に向かう。しばらくしてナタリーが埃か何かで汚れている腕輪型のマジックバックだった。
ナタリーはロキに見せやすいように机の上に持ってきた来たマジックバックを置く。マジックバックを見ると汚れは埃だけではなく泥汚れや赤いシミがついてた。
⦅これって.....⦆
⦅有機生命体の血液だな⦆
⦅やっぱり血ですか..ナタリーさんは何で持ってきたんだ。もしかして....貰えるのか?⦆
⦅女の有機生命体に聞いてみればいい⦆
ロキが興味津々にマジックバックを見てるとナタリーが話して来た。
「興味あるかい」
「これもマジックバックですよね」
「そうだよ中古だけどね」
「中古ですか」
「そう私の父親と祖父が使ってたんだよ。だからこれを....」
「くれるんですか?」
ナタリーはロキの言葉に反応して一瞬般若の顔をする。
「そんな..わけないだーろーローキー。マジックバックは貴重なんだぞ。今日は....何回..私を怒らせてくれるのか、な?」
「......調子に乗りましたすいません」
エイラ少佐の冷淡な声が響く。
⦅失態だな。反省しろ⦆
⦅......。⦆
ロキは反論出来ず悲痛な表情をする。
ナタリーはロキの表情を見て、また勘違いする。
「ロキがそんなに反省してるんなら許してやる。それで話しを戻すぞ、このマジックバックをロキに売ってやる。流石にただでやることは出来ないが、ロキなら白金貨1枚で売ってやる。どうする....」
「えっ、本当に売ってくれるんですか? 父親の物では....」
ナタリー言いずらそうに話す。
「ん? ロキに話してなかったけ....まぁいいか、父親はいないぞ死んだ」
「えっ、それじゃこのマジックバックは形見みたいなものでは....」
「まぁ、そうなんだが誰も使わないし、私はもう持ってるからな。だからこれ....買ってくれ。埃に被せるよりは誰かに使って貰った方が父親も祖父も喜ぶはずだ」
「そうですか....どうしようかな....」
ロキは腕を組んでマジックバックを凝視する。
⦅ロキ二等兵、多少汚れていても機能としては問題ないはずだ、ダンジョン産のアイテムは経年劣化がしにくいから大丈夫だ⦆
⦅マジックバックとして使うんなら問題ないってことか、汚れは後で拭けばいいししな、後は容量と積載量固定の問題が解決が出来れば.....⦆
ロキは俯いていた顔を上げナタリーに視線を向ける。
「ナタリーさんこのマジックバックの容量と積載量固定はどうなんですか?」
「ん、これと同じだよ。同型の腕輪型だから同じ容量入るよ積載量も固定だから重い物でもいくらでも運べるよ」
「....ナタリーさん。売って下さい」
「売った。男に二言は無いね」
「はい、大丈夫です」
ロキは手提げ袋から白金貨を1枚取り出してナタリーに手渡す。ナタリーは白金貨を確認して笑顔になりマジックバックを持ち上げロキに向ける。
「これでこのマジックバックはロキの物だ。受け取ってくれ」
「はい、大事にします」
ロキは大切そうに両手で受け取り、早速右腕に通して装備するとサイズが自動調整され装着される。
ロキは感動して感慨深いくマジックバックを見る。
「おぉ~、流石、魔道具だ。自動的に調整されるなんて買ってよかった」
「そうかそうか....それは良かった」
ナタリーはロキの背中を押して出入口に向かう。
「えーーと、ナタリーさん?」
ナタリーは笑顔でロキを見て、マジックバックに視線を向ける。
「......ちなみに..その赤いのは血だ。父親のな....縁起が悪いから、身体に気を付けてくれ。たぶん、呪いはない、ぞ。返品は不可だ。またのご来店をお待ちしております。」
「え? え? え? 縁起が悪い? 呪い?」
ロキはナタリーの意味深の言葉を聞いて思考が間に合わず混乱していると、その隙に外に押し出され満面の笑顔で挨拶して。
「貸しは後でじっくりと考えとくよ。ロキは優秀な冒険者なんだからね」
と、最後に意味深な言葉を残しドアを閉められた。
ロキはナタリーの言葉を聞いて最初は驚いていたが、歩いてるとマジックバックを買ってよかったと改めて思った。試しに予備の短剣を入れたら簡単に入り取り出すことも出来た。リュックサックや必要ない物は全てマジックバックに入れたので身軽になって喜んだ。それと使っていなかったオークメイジで手に入れたネックレスも入れといた。
今日も冒険者ギルドが手配してくれた高級宿に泊まることが出来る。冒険者ギルドなのかレイカなのか分からないが今日の分まで支払ってくれていた。残りの荷物も全部高級宿に預けてあるのでロキは泊まることにした。
*************************************
高級宿の一室
「ふうーーお風呂はやっぱり気持ちいいなぁ。昼間から入る風呂もいいな」
高級宿に戻ると預けていた荷物を部屋に持ち帰り、早速、購入したばかりのマジックバックに収納した。少し汗をかいてさっぱりしたいと思い、部屋にそない付けられている風呂に入ることにした。
湯舟にお湯をため一杯になると、湯舟に身体を預ける感じで全身の力を抜いてリラックスしていた。
ロキはフト思い出したかのように右胸を見る。
「....右胸にアザみたいなものがあるよな....これてやっぱり..ナポレオンと戦ってる時の右胸が熱くなった時についたのか? あの時、聞こえた女性は誰なんだ? エイラ少佐は何か知ってますか!」
⦅不明だ。研究対象とは興味深いがな。一つ分かってるのは、アザがある位置の下はノブァ・クリスタルがある場所だ。何かしら関係があるかもしれない、注意しとけロキ二等兵⦆
⦅了解⦆
ロキはアザに視線を向ける。炎のように真っ赤な槍で柄の部分に2の翼があった。ロキが色々考えながらアザを見ていると。
⦅ロキ二等兵ステータスの確認はしたのか?⦆
「まだです」
⦅高levelの有機生命体を倒したのだlevelが上がってるはずだ⦆
「確か.....level59って言ってましたね。良しステータスオープン」
*************************************
名前 ロキ
種族 混成鋼体
性別 男性
種族level level27
職業 短剣格闘level6 闘士level2
称号 異世界人 転生者 戦闘狂+2 生還者+2 名持ち魔物撃破者
HP 4462
MP 1196/1211
腕力 1300+4000(2000+2000)
体力 1156+5500(2000+1500+1500+500)
俊敏 1081+8000(1500+1500+2000+2000+1000)
魔力 787+500
精神 772+500
装備
武器
右手 風牙”ゴルバ”のシミター
左手 風牙”ゴルバ”のシミター
予備 風牙”ゴルバ”の短剣×8
防具
頭 なし
身体 風牙”ゴルバ”の鎧
腕 風牙”ゴルバ”の籠手
足 風牙”ゴルバ”の足鎧
靴 風牙”ゴルバ”の靴
アクセサリー
首 風牙”ゴルバ”の指輪
腕 なし
右指 なし
左指 なし
マント 風牙”ゴルバ”のマント
所持アイテム
腕輪型マジックバック
魔法
なし
闘技
<正拳突きlevel5> <狼牙衝撃波level4> <鋼槍貫き手level5> <閃光跳弾蹴level1>
戦技
<強刃十字切りlevel2> ????
スキル
常時スキル
<闘気level5> <基礎格闘技level5> <身体操作level5> <自己治癒率アップlevel5>
<戦気level3> <短剣術level4> <疲労回復level5> <胃袋効果強化level5>
<毒異常耐性level5> <気配察知level3> <肉体強化level2>
発動スキル
<腕力一時向上level5> <俊敏一時向上level5> <闘技level5> <戦技level2>
<力を溜めるlevel2>
ユニークスキル
<完全適用level7> <負けず嫌い>
NS因子スキル
<生存本能level3> ??????
サポートスキル
<戦闘モードlevel4>
兵装
なし
***********************************
「ん? 大してlevelが上がっていないな。村上は嘘をついたのか?」
⦅高levelを倒したわりには上りが低いな⦆
ロキとエイラ少佐は知らない、村上を殺したのは悪食悪童であることを、多くの経験値は悪食悪童に渡っているこを誰も知らない。
ロキはlevelのことは気にせずスキルを確認する。
「新しいスキルは上がりやすいけど、level5以上はないか」
⦅level5以上から上がりづらくなる。日々訓練を続けろ⦆
⦅了解⦆
ロキは半日以上宿で過ごし身体を休めることにした。勿論、最後は毒キノコを食べてスリープモードに入った。
スリープモードが完全に起動する前に。
⦅マジックバックが手に入れたから、これからは毒キノコの量も増やせるな⦆
最後に聞きたくない言葉が頭の中に響いて、視界が真っ黒に変わった。




