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66話 青髪エルフと二人三脚

 ロキがドレイン達と別れてから7日が経っていた。その間、何をやっていたかというと、訓練と冒険者ギルドで依頼をしていた。依頼は常時依頼のゴブリンやオーク、ウルフ等低ランクの魔物相手に討伐依頼を行っていた。

 levelと装備で身体能力が向上していたので一人でも少数相手であれば苦も無く討伐に成功できた。また、薬草等の採取依頼もナタリー魔道具屋で購入したマジックバックが大活躍して大量に収納することが可能になった。勿論、エイラ少佐の指示で毒キノコも回収済みだ。


 一日で生活費以上を稼ぐことが出来たので技術を覚えようと思った。今までは身体能力の高さで力づくで相手をねじ伏せていた。村上(ナポレオン)に何とか勝つことが出来たが力づくでは限界を感じた。

 エイラ少佐は実戦経験が疎いので体術の技術を学ぶことが出来ない。技術を学びたいことを、丁度、宿の荷造りしていた時に伺って来た相手に相談したら、「わたくしが教えてやる」と返答がきた。


 ロキは何も考えずに軽く感謝の言葉で返して同意した。軽はずみな返事を後で後悔することになった。


 そして、ロキは今、訓練という死合いを行っていた。

 

 実戦と同じゴルバの装備を着て、対峙する相手にシミターの先を向けて警戒していた。相手も騎士団の騎士の鎧を着てレイピアを装備していた。


 しばらく睨み合っていると――相手が先に動き出す綺麗な青い髪を揺らしながら。レイピアの剣先を向けて突き刺す、剣先はロキのシミターに激突する、それは一回ではなく連続で攻撃されシミターは弾かれ、ロキの手元から飛び出してしまう。


 ロキはシミターを失ったことで慌てながら変な声を出して隙を見せる。相手は当然、隙を逃さずレイピアをロキの喉元に突き刺す――レイピアは喉元の目と鼻の先で停止する。


 「隙だらけだロキ。武器を手放すなんて実戦なら死んでるぞ」

 訓練相手――リディア・ウタ・ノワールが瑞々しい口から言い放つ。


 ロキは両手を上げてバンザイのポーズで。


 「参りましたノワール様....」

 「ノワールじゃない、リディアだ」

 「あ、つい間違えました....リディア様」


 ロキはノワールからリディアと呼ぶようになった。本人が望んだからだ。ロキは正直いってこんな美しい人と親しくなって有頂天の気分だった――が問題があった。


 冷淡な声が響く――。 


 ⦅なにをやっているロキ二等兵! あの程度の動きに対応できないのか! まさか..有機生命体にまた見惚れていたのか......夜間訓練に覚えとけ⦆

 

 ――エイラ少佐だ――最近エイラ少佐の発言と機嫌がおかしい。リディアと親しくすると厳しい言葉が聞こえてくる。もしかして俺に気があるの?....何てことは考えてもいけない考えを読まれたら..恐ろしい結果になると分かってるからだ。

 ただでさえ最近の夜間訓練で魂が擦り減っていく感じなんだ。


 ロキが色々と思考を巡っていると、リディアがレイピアを腰の鞘に収め、騎士の兜を外す。汗と共に青い髪が現れる。

 リディアの整った美しい顔に汗が流れ、汗が瑞々しい唇に流れると、唾を飲む程の美しさと色気を感じる。


 リディアの瑞々しい唇が動く。


 「休憩しよう....ずっと訓練で流石に疲れた。それと....わたくしを女扱いするな! その視線は嫌いだ」


 リディアに注意されると――エイラ少佐の冷淡な声が頭の中に響く。


 ⦅今....見惚れていたなロキ二等兵。......覚えておけ」


 「うっ....ごめんなさい..」

 エイラ少佐とリディアのダブル攻撃で精神的ダメージを受けヨロヨロとリディアの後を追随する。


 屋敷の訓練所にある休憩所でリディアは椅子に座りながらメイドに汗を拭いて貰っている。メイドの女性はリディアと同じセリアエルフだ。


 この屋敷の持ち主はリディアだ。貴族街の一等地にあって敷地の広さは東京ドーム4個分はある。屋敷も小城並みの大きさで豪華さがある。この屋敷で働く人達は全員リディアの故郷から連れてきた人達である。中にはリディアが幼い頃から仕えている者もいる。当然、忠誠心も強くたまに執事やメイドから殺意を籠った目で睨みつけられる。

 

 ロキはこの屋敷の一室を貸してもらって寝泊まりしている。断ろうとしたがリディアは押しが強く半場強制的に連れてこられた。訓練するんなら近い方がいいだろし、家に訓練所があるから便利だぞと教えられた。


 初めて敷地の広さに驚いて、屋敷のでかさにビックリした。屋敷で働くメイドを見て驚いた。屋敷以外の建物も複数建っており、よく使うのが今、居る訓練所と馬舎だ。訓練と一緒に馬の乗り方も教わっている。


 そんなこんなで、とてもお世話になっているので、一日は冒険者ギルドで依頼を完了して、その報酬金を全額渡そうとしたのだが断れてしまった。色々説明して稼ぎの半分だけ受け取ってくれた。

 

 リディアの汗を拭き終わると別のメイドがワゴン――食品運搬台車を押していた。その上にコップと水が入った容器があった。メイドは容器を持ちコップの注がれる。水は冷えてるのかコップの周りに結露が発生する。メイドは結露をタオルで拭き取るとリディアに手渡す。


 コップを受け取ったリディアは口に近づける。


 「ん......汗をかいた後の水は美味しい」

 

 ロキは水を飲んでいるだけなのに絵になるなぁ~と思ってると――鋭い目つきで近づいて来るメイドがいた。


 メイドは長い青い髪をツインテールにしていた。ツインテールのメイドは周りに聞こえないように小さな声で――。


 「お嬢様を邪な目で見るな。ゴブオクの餌にするぞ!」


 ――ロキを脅迫する。このツインテールメイドは古参で古くから仕えている、名前はアーシヤだ。リディアを助けたことは感謝されたが、リディアと親しく話していると横から邪魔するように入ってくる。たぶん、俺のことが嫌いなんだろ、ツインテールの可愛い系美女なのに嫌われいて残念だ。ちなみにピンク色が好きだ。リボンや小物入れがピンクだからだ。

 

 アーシヤはリディアに見えないように乱暴にタオルを手渡し、棘のある言い方で話す。


 「お客様..汚い汗が流れています。お嬢様の屋敷にお客様の汚い汗が落ちますので早く拭いて下さい」


 ロキは我慢して頬をヒクヒクさせながらタオルを受け取る。


 「あ、ありがとうございます。汗を拭きとりましたよ。それで――」

 「――タオルは差し上げます」

 アーシヤはロキの話しを遮り、ロキを言葉で斬り刺す。


 エイラ少佐が冷淡な声で。

 ⦅中々やるな..あの有機生命体は⦆


 ロキは返そうとしたタオルを持ち上げたまま固まっていた。


 「くっ、ど、どうしてアーシヤさんは....そんな言い方するんですか?」


 リディアはロキの言葉に反応して少し考え込んでから話す。


 「お客様....お嬢様に邪な目で見ないで欲しいんです。どうか..お願いします」


 アーシヤは深くお辞儀する。全てはお使いするリディアのために。


 ロキはアーシヤのお辞儀を見て、過去に何かあったのかと考えるだけで質問はしてはいけないと感じた。


 「わかりました、アーシヤさん。リディア様の魅力に負けないようにします」

 「よろしくお願いします、お客様」

 アーシヤは軽く笑いながら答えくれた。


 ロキがアーシヤと和解してると、リディアが声を出す。


 「ロキこっちに来てくれないか、訓練結果の内容を話し合おう」

 「わかりました今行きます。アーシヤさんタオルありがとうございました」

 

 ロキはタオルを首に巻きリディアがに歩み寄る。

 

 「ロキ椅子に座ってくれ」

 「はい」


 ロキはリディアの隣の椅子に座る。


 「今日で4日目の訓練して分かったことがある。ロキが言った通りシミターを使った短剣術に関しては技術は絶望的だ。体術も同じように感じた。基礎が出来ていないのは本当のことだった驚いたよ。身体能力の高さだけで、あのナポレオンを倒したのだ」


 シミターはナポレオンとの戦いで失っていた。リディアはナポレオンの拠点で探して見つけてくれたようだ。ロキは感謝の言葉でお礼した。


 リディアはこの4日間でロキの素人技術を見抜き――どうやったらこの、世界樹のような大きな才能の器でどう育てようか考えていた。1日目の訓練に見せた技を吸収したように2日目の訓練で同じ技を仕掛けてきた。3日目も4日目も同じだ。

 真剣勝負の訓練で何度も首筋がヒヤッとすることがあった。油断してると負けるところだった。


 「ロキのために色々考えた。そこで、短剣術含めた武器を使った技をわたくしが教えよう」

 「ありがとうございます」

 「命の恩人の頼みだ気にすることはない。それと武術に関してわたくしは教えられない」

 「武技はよく使うので残念ですけどしょうがないです....」

 「勘違いしないでくれ。わたくしが教えられないだけだ。替わりにアーシヤが教えてくれる。....アーシヤ」

 「はい。リディアお嬢様」

 

 アーシヤがいつの間にかリディアの隣に現れ一礼してくる。


 ロキは武術を教えてくれるのがアーシヤと聞いて驚き。また、呼ばれた次の瞬間に現れたことに驚いた。


 「えっ! アーシヤさん?」


 リディアは軽く笑みを零す。


 「驚いたかい。アーシヤはこう見えてもわたくしの護衛でもある。そして、ラグナアーツの使い手で免許皆伝だ。その上、武術大会で優勝経験もある強者だ。わたくしの体術の基礎の師匠でもある」

 「えっ! えーーー!? アーシヤさんが武術の達人!」

 「やはり驚いたか。アーシヤ構いないか、ロキにラグナアーツの基礎でもいい教えてやって欲しい」

 「リディアお嬢様の頼みでしたら承りました」


 アーシヤは深くお辞儀して、不適に笑う誰にも気づかれずに。


 リディアは安堵した笑みをする。


 「アーシヤが受けてくれて助かる礼をいう」

 「いえ、私はリディアお嬢様様の頼みなら何なりと....色々と準備がありますのでラグナアーツの修行は明日からでよろしいでしょうか」

 「あぁ、構わない明日からでいい。こっちの修行もそのつもりだ」

 「では、私はこれで失礼します」


 アーシヤは一礼して立ち去る。


 リディアはメイドが入れてくれた水を飲む。


 「それにしてもロキは不思議だ」

 「何がですか?」

 「戦気と闘気のことだ。わたくしは両方の使い手を知らない」

 「えっ、本当ですか」

 

 リディアは同意するように相槌を打つ。


 「本当のことだ。事実わたくしは闘気は扱えないし、当然、闘技も獲得していない。わたくしだけではなく昔会ったことがある、Sランク冒険者も戦気だけ扱っていた」

 「Sランク冒険者も....」


 ロキは戦気と闘気のことで思い出しエイラ少佐に質問する。


 ⦅....前にエイラ少佐に教えて貰った時は、戦気と闘気を同時に使用した場合は身体が耐えきれず爆発するって言ってませんでしたか? リディア様の説明だと..どちらか一つしか獲得出来ないみたいですけど....⦆

⦅....私も....研究していた兄弟から聞いた情報だ。有機生命体の言葉が事実なら..兄弟は何を....いや。私は信じるぞ..爆発するんだ⦆


 エイラ少佐は電子生命体の兄弟の研究成果を信じたようだ。ロキは当然、爆発したくないので疑うことにした。また、自分しか戦気と闘気を同時に獲得出来ないと思い特別な感じをした。


 「それと、アーシヤは逆に戦気を扱えない闘気だけだ。ロキみたいに戦気と闘気を獲得したものはいない。当然、戦技と闘技もだ。こんな不思議で....楽しいことはない。明日から本格的な修行をするぞ」

 「えーーと、お手柔らかにお願いします、リディア様....」


 リディアは満面な笑みで。


 「ロキ..お前は本当に面白い。.......期待してるぞ」

 リディアは最後に意味深な言葉を残し、この日の訓練は終わった。



*************************************


 「.......夢か? 変な夢だったな。異世界に行って熊の化け物に殺された。ははははは、疲れてるな、残業のやりすぎか....今日は酒を飲まないで早く寝るか。それにしても..エイラ少佐か....少佐はないよな。少佐って言っても名ばかりで戦闘経験が全くないからな、ただの研究馬鹿だ。ふぅーー.....」


 ガタンコトン..ガタンコトンと電車が走る音が聞こえる。何故か懐かしい感じがする、いつも乗っている千代田線の電車だ。周りには仕事帰りのサラリーマンが疲れ切った顔で椅子に座ったり、つり革に掴まって身体を預けている。勿論、”斉藤 一”も同じだ。

 つり革に掴まりながら窓から見える風景――代わり映えのない地下鉄のコンクリートを見てると――あなうんアナウンスの声が聞こえてくる。


 「次はーー筋肉一丁目。筋肉一丁目になりまーーす」


 アナウンスの言葉に怪訝そうな表情をして。


 「はっ? 筋肉一丁目? 青山一丁目だろ。ドッキリか? 何かのイベントか?」


 疲れた脳で色々と考えてると、ドアが開く音が聞こえる。視線をドアに向けると、そこには――鍛えられた身体を隠しきれないピチピチなタンクトップを着た、むしろ隠すつもりすらない、筋肉隆々な男達が大勢入って来た。


 突然、大勢の筋肉隆々な男達に驚き声を上げる。


 「うわっ! はっ....す、すいません。えっ....なんで.....」

 声を上げてしまったことを周りの人達に謝罪して顔を上げると、さっきまで椅子に座っていたサラリーマンやつり革に掴まって寝ていたサラリーマンが忽然と消えた。

 

 サラリーマンが消えた代わりに、マッスルな男達が次々と車両に入ってくる。あっという間にすし詰め状態になり、斉藤の身体は潰され身動きが出来ない状態になる。


 「す、すいません。降ります。お、降ろして電車から降ります」

 

 手を伸ばして懇願するが無情にも電車のドアが閉まる。斉藤にとって閉まる音は恐怖が始まる音だった。


 絶望した顔で固まり、電車が動くと筋肉隆々な男達に挟まり、顔だけ上げて電車の天井を見ていた。早く次の駅に止まってくれと願うが、次の駅に着かない体感的にはもう着いてるはずだ。


 疑問に感じてると背中から思いっ切り肩を掴まれる。恐怖でビクビクしながら顔を動かし――。


 「ロキ筋肉鍛えてるか? 一緒の鍛えようぜ!」


 ――ここにはいないはずの、ウィリアムが自慢の筋肉を見せつけていた。


 「えっ! なんで夢じゃないのか? どうなってるんだ! 来るな! 俺にそんな趣味はない。 くるなーーーー!?」


 周りの男達も自慢の筋肉を動かしながらが迫って来る。

 

 斉藤――ロキは恐怖で動けなくなる。電車は決して止まることはない、終わるはずのない地下鉄を永遠に走り続ける。


 この恐怖はエイラ少佐が仕組んだことだ。


 ロキをスリープモードで休眠状態にする。一部記録を改ざんして、エイラ少佐が創り出した世界に疑似体験させた。ロキが最も恐怖を感じたものを材料にして。そして、スリープモードを終了すると全て思い出す、全てをだ。


 全てはロキに<恐怖異常耐性>スキル獲得のために毎晩行っていた。 


 ⦅聞いたぞ本音を....名ばかりで戦闘経験が全くない..ただの研究馬鹿....上官として許す訳にはいかないな。上官への侮辱は規律が乱れる。杭が出ない内に叩き折ってやる。.....もっと恐怖度を上げてやる....ロキ⦆


 エイラ少佐の私情を挟みながら日々恐怖度を上げていく。


 リディアから短剣術等の基礎や技術を学ぶ。


 アーシヤからラグナアーツの武術や体術を学ぶ。


 そして、エイラ少佐から<恐怖異常耐性>スキル獲得のため修行を行う。

 

 ロキは強く育ってゆく。

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