55話 ナポレオンを追跡する
ロキはレイカの案内で焚き火をしてる場所に移動していた。冒険者やギルド職員が雑談しながら食事をしていたり、小屋や周辺を警戒と探索ををしている。
焚き火をしてる場所は、ボブオークが戦った小山の手前であり、小山で夜風を防いでいた。
夜道なのに明るく歩きやすい焚き火の明るさだけではないと思い、周りを見るとスポットライト――照明器具のような物があり、照明器具から明るさを照らしていた。その照明器具は一つだけではなく何か所か置かれていた。他にも馬車の近くにも見慣れない物が置かれていた。
ロキが照明器具を見てると、焚き火付近に置いてある椅子の前でレイカが手招きして声を掛ける。
「ロキ君ここに座ろう暖かいよ、もしかして..ロキ君は照明の魔道具を見るのは初めて?」
ロキとレイカは椅子に座り、ロキは照明の魔道具に視線を向ける。
「あれは照明の魔道具何ですか?」
「そうよ、ダンジョンで手に入れた魔道具ね。他にも魔物除けの魔道具も持ってきたわ」
ロキは馬車の近くに置かれている物を見て話す。
「もしかして馬車の近くにある物が魔物除けの魔道具ですか」
「そう、あれが魔物除けの魔道具ね。ロキ君は魔道具は持ってないの? マジックバックとか」
「マジックバックは持ってないです」
レイカは腰にあるポーチを軽く叩く。
「マジックバックはあると便利だよ。ダンジョンとか長旅では必須ね」
「その腰のポーチがレイカさんのマジックバックですか」
「そうよ、何度もこのマジックバックのおかげで助かたっわ。そういえばロキ君――その装備はウィリアムさん達に作成依頼した装備?」
レイカは話しをしてる時、ロキに違和感を感じ装備を見ると、真新しい装備だった。
「はい。この装備はウィリアムさんに依頼した装備です。以前装備した風牙狼の防具より軽く頑丈です」
ロキはレイカに性能の高さと効果は秘密にした、魔物がいる森の中で騒ぎになるのを防ぐためだ。
レイカはロキの防具を調べるため胸鎧部分を触る。
「確かに頑丈そうね。それにしてもこのオオカミの紋章はウィリアムさんが刻んだの?」
「いえ、ウィリアムさんが言うには完成したら自然に刻まれたそうです」
「えっ、自然に刻まれた初めて聞くわね。グレーテル城塞都市に戻たっらウィリアムさんに直接聞いてみるわ」
ロキとレイカが雑談してると、何かを持ってギルド職員が近づいて来る。
「副ギルドマスター、オークの燻製肉です」
「ありがとう。そういえばドレイン君が言ってたけど、この肉はロキ君達が燻製したものだっけ」
「気にしなくっていいですよ、持って帰れませんから皆さんで食べて下さい。はむ..結構美味いな」
「そうね。結構美味しいよロキ君」
ロキの後ろから土や石を踏む足音が聞こえて来た、後ろに視線向けると――幸せそうな顔をしたドレインだった。
「ドレイン..顔が緩んでるぞ」
「えっ、俺の顔が緩むわかがないだろ」
ロキはドレインの奥に視線を向けて声を上げる。
「あっ! ノワール様!!」
ドレインは声を大きく上げて後ろを見る。
「なに! ? ノワール様!! あれ? 居ないじゃないかノワール様!!」
ドレインがロキに顔を近づけて睨んできた、その顔を見たロキは呆れながら答える。
「ドレイン..ノワール様が美人なのは分かるけど、石のように固まるのは危険だぞ、何回も話しかけたし、身体も揺すったぞ」
ドレインが申し訳なさそうな表情する。
「うっ、悪いロキ、心配かけた」
「ほどほどになドレイン。それとレイカさん達の道案内ご苦労様。ほらここに座れよ」
「悪いなロキ」
ドレインは謝罪しながら椅子に座る。
ロキはドレインが椅子に座った時に気づいた、数人の男がロキに怒声を上げていた。顔を良く見るとドレインと同じノワール様の魅力に固まった人達だ。
レイカが椅子から立ち上がり、額に青筋を浮かべ一喝する。
「黙りなさいあなたたち恥ずかしくないの! 休憩してたぶん仕事をしなさい。あとのことは班長に聞きなさい」
レイカはロキに視線を向け軽く詫びて、椅子に座り直す。
「ごめんねロキ君」
「全然気にしてないので大丈夫です」
「ありがとロキ君。ドレイン君は気を付けなさい、あいつ等みたいに40になって冷静さを失うのは危険よ」
「はい、すいませんでした」
ロキはドレインが謝罪してるところを見て思い出す。
ロキはリュックサックから、風牙”ゴルバ”の短剣と風牙”ゴルバ”のマントを取り出す。
「ドレインこれ、前に約束した装備だ」
「えっ」
ドレインはロキが持っている装備を見て驚く。
「ロキ..前に言ってたのは短剣だぞ、マントは言ってないぞ」
「このマントはドレインの戦いの助けになるから使ってくれ」
「短剣だけでもかなり性能が良さそうだぞ。その上マントも――」
ロキは遠了してるドレインに無理矢理渡す。
「――気にするなドレイン! 俺達は友達だし仲間だろ、これで俺がピンチになったら助けてくれ」
「ありがとロキ! 俺の弓でロキを”絶対に助けるよ”」
レイカが話し掛けてくる。
「ロキ君達は明日はどうするの? この魔物の巣の調査や、犠牲者の確認はギルドで行うけど」
ロキはドレインに視線を向けて答える。
「ドレインどうする」
「ロキに任せるよ」
「わかった。俺達はもう少し奥に行ってみようと思います。レイカさん達は当分ここにいるんですか?」
「この小山の上に行ったけど人骨が多く見つかたっわ。とにかく明日、明るくなってから犠牲者の数を確認しないといけないから当分はいるわ」
三人は明日の予定を確認して寝ることにした。ロキとドレインは案内だけなので夜間の見張りはしなくっても大丈夫と言われたので、連日の疲れを癒すため先に休憩することにした。
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ロキとドレインは冒険者ギルドの職員が調理した料理を食べて、レイカに挨拶してから森の奥に向かう準備をしていた。
「暖かい料理は身体を温めるなドレイン」
「久しぶりの温かい料理だった、準備も終わったし森の奥に行ってみるか」
ロキとドレインは風牙”ゴルバ”のマントを羽織、森の奥へと出発する。
ロキはレイカ達から離れた場所で、ドレインにマントの効果を説明する。
ドレインは驚愕した表情する。
「なっ! ダンジョン産の装備じゃないのに効果が付与されたのか..しかも効果が、隠密効果向上と認識妨害効果って、狩人にとって理想な効果だぞ」
「だからドレインに上げたんだ」
「本当にいいのか、こんないい物貰って。だけど、なんで今言ったんだ、昨日でも良かったんじゃ」
「レイカさんだけなら大丈夫だけど、他の冒険者も居たから言わなかったんだ。騒ぎになったら大変だろ」
「騒ぎになるな間違いなく。本当に有難うなロキ」
「気にするな」
ドレインはマントの効果を練習しながら歩いていた。そこで気づいた欠点があった、仲間であるロキにも効果が発動して見失うことだ、注視してれば把握出来るが気を抜くと見失うことになる。
ロキは苦笑いしながら答える。
「まさか、こんな欠点があるとは思わなかった」
「まぁ、でも一緒に行動して注視してれば見失うことはない。本当に素晴らしい装備だよ」
ロキとドレインは風牙”ゴルバ”のマントの効果を使いこなすため、魔物が近くにいると練習台にしていた。
しばらくマントの効果を練習しながら森を進んで行くと、大勢の魔物の獣声と血の匂いが漂ってきた。
ロキ達はその場でマントを頭まで被り、身を隠す様にしゃがむ。
ロキは警戒しながら小声で呟く。
「ドレインこの匂いは血だ」
「しかも大量だ、ロキ、魔物の位置は分かるか」
ロキは視線と指をさす。
「あそこに多数の魔物の反応がある」
「一箇所に集まてるのか?」
ロキは悲痛な表情で話す。
「......たぶん食事中だ」
「そうか..この血の匂いじゃ生きてるか分からないな。どうするロキ」
「..行こう。死んでると決まった訳じゃない」
ドレインは頷く。
ロキ達はマントで身体を隠しながら魔物が食事してる場所に近づいていく。一歩一歩近づくたび肉と骨を噛み砕く音が聞こえ、血の匂いも充満している。
ロキ達は大きな木の影になりながら魔物達を覗く――魔物はオオカミ型の魔物でバトルウルフだった。バトルウルフは通常のウルフよりも1.5倍ぐらい大きく、両足が太く強靭な爪を持つのが特徴だ。そのバトルウルフが10頭、競うように食事をしている。
ロキは生き残りはいないか辺りを凝視するが、動いている人間はいない――皆死んでようだ。
ロキはドレインに視線を向けて合図するように頷く。
ドレインはゆっくり立ち上がり、木に隠れながら弓を構え、ロキに視線を向け頷く。
ロキは中腰の姿勢になって、腰にあるシミターを両手に持ち<戦気>を纏って準備する。
ドレインは一番大きいバトルウルフの額に狙いを定めて息を止め――矢を解き放つ。
解き放たれた矢は吸い込むように、食事中のバトルウルフの額に突き刺さる。突き刺さたバトルウルフは何も気付かずに食事していた死体の上に顔から倒れる。
他のバトルウルフ達は仲間が殺されたことに気付かずに食事に夢中になっている。
その様子を見ていたロキは足を止め、ドレインに視線を向け(どんどんヤレ)頷く。
ドレインは口角を上げ、次々と矢をバトルウルフの急所を狙って放つ。バトルウルフ達も仲間が次々と倒れたことで異変に気付く。
バトルウルフは顔を動かして周囲を見るが敵が見当たらない。鼻をヒクヒクさせて匂いを嗅ぐか、血の匂いが充満していて異物が分からない。
群れの中で頭の良いバトルウルフは、仲間のバトルウルフを見て額に人間の武器が突き刺さってる事に気づいて、敵が正面にいることが分かると、残った仲間に一声吠えて知らせ――。
「グゥ、ワンワン!!」
――バトルウルフ達は一斉に前に突っ込む。
ロキはバトルウルフが動き出す前に走り出していた。ドレインはロキの様子に気づき、矢を構えるだけにした。
ロキはシミターを前に十字に構えた――バトルウルフ達は突然、現れたロキに動揺する。その場所には誰も居なかったはず――バトルウルフ達はロキを認識することが出来なかった。
ロキは動揺して動きを止めたバトルウルフ達に――。
ーー<戦技>”強刃十字切り”ーー
――十字の刃が襲い掛かる。
バトルウルフ達は切りつけられ吹き飛ばされ地面に転がり倒れる。ダメージが少なかった2匹がうねり声を上げながら立ち上がろうとしていた。
ロキは即座に動くシミターを放して、腰にある短剣を2本取り出し<戦気>を纏う。前方に飛び上がり短剣を1匹のバトルウルフに向かって投擲する。
「くらえ!」
短剣はバトルウルフの首と胴体に突き刺さり血が流れ、フラフラと身体を揺らして倒れ動かなくなる。
ロキは対峙していたバトルウルフが倒れるのを確認すると、もう一匹のバトルウルフに視線を向けると――矢が急所に突き刺さり息絶えていた。
ロキは警戒しながらシミターと短剣を回収してると――後ろから足音が聞こえてくる。この足音は何度も聞いてるので安堵して待ってると。
「ロキ上手くいったな」
ロキは顔を少し傾けて視線を向ける。
「ドレイン! 完璧な攻撃だよ」
「ロキがくれたマントのおかげで攻撃に集中出来たよ。それよりも生き残ってる人達は..いないな」
「あぁ、いないと思うけど調べてみよう」
ロキが死体を調べようとした時、エイラ少佐の声が頭の中に響く。
⦅ロキ二等兵、新しい武器の切れ味はどうだった⦆
⦅以前の武器と比べると天地の差ですね、流れるように肉と骨を断ち切りました⦆
ロキが切りつけたバトルウルフを見ると、綺麗に両断されて切断面が見える。
ロキが死体を見ると冒険者のような恰好ではなく、騎士が着ている鎧だった。ロキは違和感を感じ死体の顔を見る――確認すると前に見たことがある人がいた、思いだそうと記憶を巡るが思い出せない――その時、エイラ少佐の声が響く。
⦅ロキ二等兵、この有機生命体は以前にあった、青髪のエルフと一緒にいた奴だ、ロキ二等兵が思い出せないから記録から確認したぞ⦆
⦅青髪..それはノワール様!!⦆
⦅有機生命体の名称に興味はないが、ロキ二等兵の記録ではそう言われているな⦆
ロキは驚き周囲の死体を見てノワールがいないか確認する。いないことに安堵してドレインに向かって声を上げる。
「ドレイン大変だ! この騎士はノワール様と一緒にいた騎士達だ!!」
ドレインは驚いて、直ぐに確信をもった表情する。
「やっぱりそうか、この騎士の顔に見覚えあったんだ、昨日ノワール様と一緒にいた奴だ」
ドレインは青い顔をしながら死体を見る。
ロキはドレインを安心させるために声を上げる。
「ドレイン大丈夫だ、ここにノワール様はいない」
「だが、どこにいるんだ! ここにいる騎士達は間違いなく昨日一緒にいたぞ」
ロキとドレインは何かないかと周辺を探す。
ロキは死体から少し離れた場所を探していると馬の蹄を見つけた。
ロキはドレインを呼ぶため声を上げる。
「ドレイン来てくれ!」
「なんかあったのか!」
ドレインが近づくとロキは馬の蹄に指をさす。
「ロキこれは..馬の蹄か?」
「そうだ馬の蹄だ。騎士の死体はあるのに馬の死体がなかった、ノワール様は魔物に襲われたんじゃない人間だ! ノワール様は”攫われた可能性が高い”」
「ノワール様が攫われた! 直ぐに助けに行かないと!!」
ドレインが動こうとするのを、手を上げて静止する。
「待てドレイン冷静になれ」
「ふざけるなロキ」
「話しを聞けドレイン..ノワール様を攫った奴は..ノワール様より強いってことだ。ノワール様は3番隊の隊長なんだ弱い訳がないし、俺は初めて出会った時にノワール様は俺よりと感じた。そのノワール様を攫う実力がある奴がいるってことだ」
ドレインは苦虫を嚙み潰したような表情をする。
「なっ! ノワール様より強い奴、だけど......」
ドレインは悔しく拳を握りしめる。
ロキはドレインの様子を見ながら丁寧に話す。
「一旦、レイカさんがいる拠点まで戻って報告する」
「ここまで来るのに半日はかかるんだぞ! それじゃ間に合わない可能性が高いぞ」
「もう一つは....俺達だけで”ノワール様を助ける”..当然危険だ。向こうにはノワール様より強い奴がいるからだ」
ドレインは拳を上げ声を上げる。
「それでも俺は..ノワール様を助けたい」
「死ぬかもしれないぞ」
「..俺だけでも....助けに行く」
ロキは大きく息を吐く、そして覚悟を決めた目になる。
「俺達は仲間だろ! どこまでも一緒に行くさ――そこが死地でもな」
「ありがとロキ。お前がいてくれれば心強い!」
ロキとドレインはお互いに頷き、決意を固める。
ロキ達は足元の馬の蹄を見て、視線の奥にある馬の蹄を見つめる。
「ドレイン! 馬の蹄を追いかけるぞ、そこにノワール様がいるはずだ」
「あぁ、行こうロキ! 絶対にノワール様を助けるぞ!」
ロキとドレインはセリアエルフのノワールを助けるため森の奥――死地に向かって行く。ロキ達は知らないそこにはナポレオン――ロキを”斉藤 一”を間接的に殺した、村上がいることは知らない!。




