50話 オークの巣3
小山の上から”餌”に見下さたボブオークは怒りの怒声を上げる。
「ブギャァァァァァァァァァ!!」
仲間のオーク達も連動してロキ達に向かって吠える。
「「ブガァァァァァァァァ!」」
ボブオークとオーク達の咆哮で小山が揺れる、積まれていた骨が崩れ、灰が振動で空を舞っていた。
ドレインはオーク達の声がうるさいため耳を手で塞ぎながらロキに話し掛ける。
「ロ..聞..える..か..?」
ドレインの言葉はオーク達の声で遮られていてロキの耳には届かない。
ロキはオーク達や周辺を見分けるため、小山を一周するように歩く。
ドレインはオーク達に囲まれ不安な気持ちであった、過去にオークに仲間が酷い目にあい殺された事を思い出す。
だがロキの友達の――こんな状況でも諦めていない覚悟をしている真っ直ぐな目を見た。
ドレインは息を飲む――。
「ゴク! ロキ..お前は諦めないんだな! 俺だって負けてたまるか!!」
――覚悟を決め弓を持ち構える。
ロキはドレインの雰囲気が変わったことを感じ取る。
お互いに覚悟を決め不敵に笑い合図する”オーク共を一匹残らず殲滅してやると”残り少ない時間を使い決死の作戦を決める。
「ドレイン覚悟は決まったか?」
「大丈夫だ! 一匹残らず俺の矢で射抜いてやる!!」
「作戦はいつも通りだ、前衛は俺、後衛はドレイン! お互いフォローしながら戦う」
「それは作戦かよロキ」
「仕方がないだろ、周りはオークに囲まれている、ここには灰と骨だけだ、作戦なんて出来る訳がない」
ドレインは少しから買うように話す。
「なんだロキは諦めるのか」
ロキはドレインの冗談を受け不敵に笑う。
「大それた作戦は出来ないが..嫌がらせぐらいはしてやるさ」
ロキはドレインに嫌がらせという作戦を説明した。
”餌”に馬鹿にされたボブオークは顔を真っ赤にして怒っていた。持っている杖を振り回し暴れる、仲間のオークが止めようとするが怒りは収まらない。
ボブオークは餌がいる小山を睨み、低い知能を使い思考を巡る――。
....あの場所はと思い出し口から大量の涎を垂らす。そしてオーク達に命令する『餌は食事場にいるぞ』と吠える。
「ブギャァァァァァァァァァ」
オーク達は喜色な声を上げる『餌だぁぁぁぁ!!』と涎を垂らしながら、一斉に小山に駆け上がる。
「「ブガァァァァァァァァ」」
小山に駆け上がったオーク達は目と鼻を使い”餌”を探す、ギラギラした目で周囲を見渡し、鼻をヒクヒクさせて匂いを探す。口から下品な涎を垂れ流す。
そしてオーク達は”餌”を見つけ――お預けをしていた犬がようやくご飯を食べれる許可を貰ったように、口の左右から涎を垂らし喜色の声を上げてロキ達に襲い掛かる。
ロキは襲い掛かってくるオークに真っ直ぐ目で捉え――。
ロキとエイラ少佐の声が頭の中で重なる。
⦅<戦闘モード>開始!!⦆
身体能力が向上して――戦闘態勢に入る。
ドレインはロキの後方で弓を持って、いつでも矢を射掛けるように構えている。
ロキはオーク達が限界まで近づいた時に不適に笑い――。
闘気を纏い両手を重ねーー<闘技>”狼牙衝撃波”ーー
――解き放つ!!。
解き放れたオオカミの牙は眼前に迫っていたオーク達を襲う、最前列にいたオーク達は身体に無数の牙に切り裂かれる。後ろにいたオーク達も牙と強い衝撃を受け吹き飛ばされる。また周囲に積もれている灰も一緒に吹き飛び舞い上がり、辺り一帯を灰色の世界に変えた。
ロキ達は灰が多く積もっている上で、オーク達が来るのを待機していた。数が多いオーク達に対抗するため嫌がらせという目くらましを仕掛けた、灰が辺り一帯に舞い、ロキ達の匂いを消す。
ロキは小声で話す。
「ドレイン仕掛けるぞ」
ドレインは頷く。
「ロキと一緒ならやれる!」
ドレインは一番近くにいたオークの急所を狙って矢を放つ――放たれた矢はオークの眉間に当たり絶命して大きな音を立てて倒れる。仲間のオークが倒れたことで狼狽える、敵を探すため周囲を見渡すオーク達だが見つけることができない。
次々と正確に矢がオーク達を捉えてくる、その恐怖で狼狽え吠えるオーク達。
「「ブガァァァァァァァァ?」」
ロキ達は攻撃を放つ前に灰を身体中に付着させていた、そのおかげで灰色の世界に溶け込むことができ、また体臭も消すことが出来た。
ドレインの矢が正確に当たるのはオークの肌色のおかげである、灰がオークの身体に付着しても意味がない、この灰色の世界では緑色の肌を持つオークは目立つ――オークはドレインにとっていい的になっていた。
ドレインの矢がオークを捉えている時――ロキも灰色の世界に溶け込むように動き、狼狽えているオークの背後に周り奇襲を仕掛ける。
ロキは灰で真っ白な顔をして、歯を食いしばり拳に力を籠める――オークの背骨を破壊するよう拳を叩きこむ。
「グッガァァァァァ」
――オークは自分の背骨が折れた音を聞き、白目を剥いて、口から血を吹き出し後ろに倒れる。――オークが息絶える最後に見た映像は”白い悪魔”が仲間のオークを次々と襲ってる映像だった。
ロキはオークを倒し、次のオークを探そうとしてる時――近くにあった灰の山の中からオークが後ろから襲い掛かって来た。
オークはロキの”狼牙衝撃波”を受けて気絶していたようだ、オークは仲間の叫び声を聴いて目を覚ました、身体に力を入れ飛びかかるようにロキに襲い掛かった。
ロキは後ろから羽交い絞めにあっていた、突然のことで上手く力が入らない、指や腕を外そうとするがオークの力は強く簡単に外すことができない、肘でオークの鳩尾の攻撃を加える、オークは苦悶な声を上げるがそれでも外すことができない。
「くっ! 離せ! このこのこのこの!! こいつ痛くないのか」
⦅ロキ二等兵! オーク達が来てるぞ、早く外しなさい!⦆
「くっ! まずい」
――仲間のオーク達がロキ達に気づき、復讐者の目でロキに迫る。
オークが迫ろうとした時――羽交い絞めしていたオークの眼球に矢が突き刺さる。
「グッガァァァァァ!?」
――痛みで絶叫するオーク、腕の力が緩む。
ロキは緩んだ腕を掴み、前屈みになって力を込める、背負い投げの要領で迫って来るオーク達に向かって投げ飛ばす。
「くっ..いつまでも抱き着いてんじゃねぇー! 気持ち悪いんだよ!!」
「ガァァ!」
「「グギャッ!!」」
オーク達はぶつかり合い痛みで呻き合っていた。そこに矢がいくつもオークの身体に突き刺さる、オーク達は矢を恐れ身を縮めて委縮する。
ロキはドレインに向けて感謝の合図をするため、親指を上げて感謝を込める。
「ドレイン助かった! ありがとう」
ドレインは右手を上げ軽く横に流して合図をする。感謝を受け取ったドレインは次の矢を準備する。
ロキは右腕に<力を溜める>スキルを使用する、腕にマグマが溜まっていく力を感じる。腕を前面に出して防御しているオーク達に向かって――。
ーー<闘技>”正拳突き”ーー
――拳をオークの防御を壊すように解き放つ。
解き放たれた拳はオークの腕、腹部を破壊する。背後にいたオークに血しぶきや内臓がかかる、そして拳の力が貫通して後方に吹き飛ばす。吹き飛ばされたオーク達は貫通した力で内臓を破壊され息絶える。
オーク達は倒れ、舞い上がっていた灰も空から地面へと落ちていき、灰色の世界は終わりに近づいていく。
ロキは全てのオークが倒れるのを見て安堵する。そしてドレインに勝利の声を上げようとした時――ロキの身体に巨大な影が差す。
ロキは影に驚き焦る。
「な、なんだ..この影は?」
⦅ロキ二等兵! 上だ!!⦆
影の正体を確認するため顔を上に上げると――。
「な..なに..」
――そこには”ボブオーク”が空から飛び掛かって来た。
ボブオークはロキに向かって杖を振りかざす。
「ロキ! 避けろ!!」
ドレインの声で我に返り回避行動に移る。
ボブオークの攻撃は落下の力と腕力によって、地面を大きく陥没するように破壊した、激突した衝撃で石、砂、灰を横に吹き飛ばす。
回避行動が遅れたロキに石や砂が当たる。
「ぐっ! なんて威力だ!! 地面が抉れてるじゃないか」
石や砂が当たった悔しで顔を歪めながら、ボブオークを見る。ボブオークの足元は灰色から土色が多く見える。先程の攻撃で灰は横に吹き飛んだいったようだ。
ボブオークを見ると荒々しく身体を震わせている、仲間のオークが殺され怒っているようだ。
「..怒っているのか? 当然か仲間が殺されれば..そういえばドレイン大丈夫なのか」
ドレインの状況を確認するため視線を向けると――。
――ドレインは目を開き驚いていた。――ロキは視線の先が気になり視線を追いかける。
追いかけた先には巨大な柱があった。柱は細く人が二、三人程の太さだ。だが高さがロキ達がいる小山よりも高い。
ロキは驚き声を上げる。
「..こんなのなかったぞ! さっきまで柱なんかなかったはずだ!!」
⦅私の記録にも柱は無い、気を付けろロキ二等兵⦆
ロキ達が見上げる柱はオーク達と戦闘を始める前は無かった、忽然として目の前に現れた柱。
ロキ達が柱を見上げていると、ボブオークの怒声の声が響き渡る。
「ブギャァァァァァァァァァ!!」
――ボブオークの悲痛な叫び声を上げる。
ボブオークは怒りを込めロキ達を睨む、牙をガチガチと噛み威嚇をする。身体を上下に荒々しく揺らして怒りを表現する、杖をロキに向ける。
ロキは警戒しながらボブオークを見る。
「あいつ何をやるつもりだ?」
ボブオークが何かを唱えると、杖に先から”土色の槍”が現れる。
ロキは驚き声を上げる。
「ま、まさかあいつ魔法が使えのか!」
ボブオークが声を上げると――土色の槍を解き放つ。
「プガァ!」
――解き放たれた槍はロキに迫る。
ロキは警戒していたため瞬時に回避行動に移るが、槍がロキの目の前で爆発した――。
「この速さなら避けれる。 なっ! 爆発した! くそ!!」
――爆発した槍の破片がロキに被弾する、ロキは衝撃で横に吹き飛ぶ。
エイラ少佐の冷たい声で心配そうな声が響く。
⦅ロキ二等兵大丈夫か⦆
破片はロキの顔や肩に当たり、顔から赤い血が流れた。ロキは肩を抑えながら立ち上がり、手で血を拭う。
⦅エイラ少佐大丈夫です。見た目程ダメージはありません⦆
ロキがエイラ少佐に返答していると、ドレインの大きな声が聞こえる。
「ロキ大丈夫か! ..ロキ顔から血が出てるぞ!」
視線はボブオークに向けて心配してるドレインに声を上げる。
「大丈夫だ傷は浅い。それよりもボブオークは魔法を使うぞ。しかも土の魔法だ気を付けろ!」
「魔物が魔法を使うのは初めて見た。嫌、魔法そのもの初めてだロキはどうだ?」
「俺は前にオークメイジで火の魔法を見たことがある」
「オークメイジは強かったか」
「あぁ強かった。だが魔法を避けて近づけば倒せる。こいつも同じのはずだ」
ロキはチラリと柱を見る。
「あの柱はボブオークの魔法で創ったのか――」
「土魔法を使うんだ、間違いないだろ。あの柱はボブオークが創ったんだ」
「――羨ましい。俺も土魔法を覚えたら..山..壁..家..城を創ってやる!!」
漫画や小説で活躍した主人公がチート魔法で創った城等を思い浮かべる。
ドレインは驚き呆れるように話す。
「..ロキこんな状況で言うことかよ。まったく魔法馬鹿が..これで魔法適正が無かったらどうなるんだ」
ドレインは不吉なこと、フラグを立てるが魔法馬鹿になっているロキの耳には届いていない。
エイラ少佐の冷たい怒声が頭の中で響き渡る。
⦅ロキ二等兵! 集中しろ!!」
エイラ少佐に声で我に返るロキ。
――息を一息飲み真っ直ぐボブオークを視線で捉える。
ロキは前屈みになって構える。
「行くぞ」
ドレインはロキの雰囲気が変わったのを感じ頷き、弓を構える。
「援護は任せろロキ」
ロキは<力を溜める>と<俊敏一時向上>スキルを発動してボブオークに向かう。ボブオークは準備が終わりロキを待ち構える。
ボブオークの周りに浮いてる槍が6本がロキに矛先を向ける。
ロキは脚力を生かしジグザグに跳躍して不規則に移動する。
ロキは真っ直ぐな目でボブオークを見て、槍に視線を向ける。
「あと少しだ。撃てるもんなら撃ってこいよ!」
ボブオークはロキの挑発に苛立ち声を上げる。
「プガァァァァ!!」
ボブオークはロキを見ながら、ドレインにも注意するように視線を向ける。
ロキは繰り返しジグザグに移動する、左足で着地した場所は小石が多く最小の力で飛ぶことが出来ないため、いつもより力を込め大きく飛ぶ。右足が地面に着地する瞬間、ボブオークが声を上げ槍をロキに放つ。
ロキに向かって3本の槍が迫り近づいて来る。
槍を見ながら――口角を上げる。
「待っていたんだよ。槍を放つ瞬間を、な!」
前屈みになって両足に溜めていた力を爆発させる。
ロキは事前に<力を溜める>スキルを両足に集中させていた。闘気を腕や足に一か所に終了させることが出来るんなら可能なはずだと思った。それに<力を溜める>を腕に集中させることが出来るのだからと考えていた。そしてロキは賭けに勝った。
爆発的に向上した脚力で地面を思いっ切り蹴り上げる。ロキの後方で3本の槍が爆発の音が聞こえてくる。
向上した脚力が上手く制御できずボブオークの後方の場所まで移動してしまう、両足と片手で土煙を出しながら地面を削るように勢いを止める。
「くっ、止まれ。上手く制御出来ないが..これはこれでチャンスか」
ロキの視線の先にはボブオークの背中が見える。ボブオークは攻撃を避けられ動揺している。そしてその遥か先には矢を構えているドレインがいる。
「挟撃だ!!」
ロキは両足に残っている力を先程よりも小さく込める。
ロキはボブオークとドレインにアピールするように声を上げて飛ぶ掛かる。
「うぉぉぉぉぉぉぉおぉぉぉ」
ドレインは気づき矢を解き放つ。
ロキはボブオークの顔に向かって拳を放つ。
ーー<闘技>”正拳突き”ーー
クールタイムが終わった<正拳突き>をボブオークの顔面に解き放たれた瞬間――地面から土色の壁が現れた。その壁がボブオークの周囲に四方八方に出現して、ロキの<正拳突き>とドレインの矢を防いだ。
ロキは壁の出現で驚き固まっていると、腹部に強い衝撃を受け吹き飛ぶ。
「なっ、壁が..俺が土魔法を覚えたらやろうとがはっ!!」
壁から突起物が伸びてきてロキの腹部を攻撃した。
腹部に攻撃を受け後方に吹き飛んだだロキは苦痛の表情でボブオークに視線を向ける。
「こいつ見た目と違って頭がいいのか? それとも経験の差か」
ボブオークの知能は低い、この攻撃方法を覚えたのは経験の差と父親のオークメイジの教えである。
ロキは痛みを堪えながら、壁の隙間から見えるボブオークを見る。
ボブオークはロキの視線に気づき、チラリと視線を向けて薄気味悪く笑うと――ドレインに視線を向け3本の槍の矛先を向ける。
ロキはボブオークの不気味な笑いを見て不安を感じる、回避に集中すれば槍の爆発もドレインなら避けられるはずだ。
ドレインに視線を向けると弓を手放し手、必死にその場から逃げようとするが姿が見えてくる。
ドレインは必死な声を上げている。
「く、くそ! なんで行き成り地面が砂になるんだ足が上がらない、まさかこれもボブオークがは魔法でやったのか」
ボブオークはドレインの足元の土を砂に変え流砂のようにして身動きが出来ないようにした。何故かボブオークが遠くにいるドレインの地面を変えることが出来たのは、この小山もボブオークの魔法で創られたからだ。
ロキはドレインが焦っている姿を見て動揺する。
「ドレイン..まさか動けないのか」
ロキの呟きにボブオークが涎を垂らしながら大きく笑い――そして凶悪な槍がドレインに解き放たれる。
ロキは前屈みになって手を伸ばす。
「ドレインーーーー!!」
誤字脱字は後々修正します。




