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48話 オークの巣1

 古き新緑の森、浅瀬。


 ロキとドレインは森で探索しながら、オークの巣を探していた。


 目的のオークの巣だけではなく、薬草の採取や、魔物を<気配察知>スキルで発見して討伐していた。

 

 前回、オークと戦闘した場所に着くと。


 ドレインが辺りを警戒しながら、森を見渡す。


 「確かここだったはずだ。..あったなロキが隠れてた場所だ」

 ドレインは地面に視線を向ける。その場所は良く見ると、周囲の土の色と違い違和感がある。


 ロキは頷く。

 「ここであってるよ。間違いない」

 ロキは隠れてた場所を見て失敗したと思い、隠す様に地面を足で擦る。


 潜伏で使用した場所を、元の状態に戻さなかったことに対して失敗したと感じた。


 エイラ少佐の冷たい声が頭の中で響く。

 ⦅ロキ二等兵、失態だな⦆

 ⦅土の色があんなに違うは失敗しました⦆

 ⦅魔物だからと行って侮らないことだ。有機生命体よりも知能が高い魔物もいる。以前にも説明したはずだ⦆

 ⦅そう言えば前にも言ってました、次は気を付けます⦆


 ロキとエイラ少佐が会話してる時、ドレインは地面や茂みを凝視していた。


 「ロキ! ここに新しい足跡がある」

 

 ロキは近づいて、腰を下ろして指を指して確認する。

 「..ここと..ここか。足跡があるなオークか?」

 

 ドレインは頷く。

 「指の太さと長さがオークだ。間違いない」


 ロキは足跡の先に視線向ける。

 「足跡の方向が、以前倒したオーク達が向かっていた方向だ、一致しているな」

 「あぁ、同じだ」


 ロキはとドレインは立ち上がり。


 ロキがドレインに視線を向ける。

 「行こう!」

 

 ドレインは頷く。

 「あぁ、行くぞ」


 ロキとドレインはオークの痕跡を探しながら、慎重に森を進む。


 ロキの<気配察知>スキルの範囲に魔物の反応があった。しかも、複数の反応だ。


 ロキは驚いたが、直ぐに対応に出る。


 隣にいる、ドレインを静止させるため、目の前に手を置く。


 ドレインは驚き、ロキの顔を見ると――神妙な表情をしていた。


 ドレインはは小声で話す。

 「何か見つけたのか?」


 ロキは頷き小声で話す。

 「20体の魔物の反応があった」

 「オークか?」


 ロキは顔を横に振る。

 「分からない。ただ、魔物は密集している。あっちの方向だ」

 ロキは<気配察知>スキルに反応があった方向に指を指す。


 ドレインは森の先に視線を向ける。

 「近いのか?」

 「ここから..9メートルぐらいだ」


 ドレインが驚く。

 「目と鼻の先か..森が深くって助かったな」

 「一気に襲撃するか?」

 「駄目だ! ゴブリンやオークが群れを作っている場合は..【生みの親】がいる可能性がある」

 「生みの親? ..もしかして、生みの親って..」

 「基本魔物は魔素が溜まりそこから新しい魔物が生まれる。例外がある――人間を使って子供を作る方法だ」

 

 魔物同士でも子供は出来るが、妊娠はし辛い。だが、種族によって違いがある。


 ドレインは神妙な表情をして話す。

 「前に..俺がギルトン師匠の弟子になって間もない時に、アカマツ村で被害があったんだ。..メイカ姉さんは明るくって元気な人で、誰かが困っていたら助けてくれる良い人だった」


 ドレインは拳を握り締める。


 「ギルトン師匠と狩りに戻ると――村の様子が可笑しくって話を聞いたら。メイカ姉さんがオークに攫われたと、メイカ姉さんも狩人で仲間と一緒に、森で獲物を探している時に襲われたんだ。仲間の狩人が村に戻って伝えたんだ」


 ロキはドレインの最後の言葉に疑問を感じた。


 ドレインはロキの疑問に感じ取って話す。


 「仲間の狩人は――メイカ姉さんの弟だ。オークに頭を棍棒で殴られて瀕死な状態で村まで戻ってきたんだ。メイカ姉さんのことを伝えて――息を止めた」


 ドレインは悔しそうに下向きながら話す。


 「村で出れる男達は全員でメイカ姉さんの救出に向かった。俺もギルトン師匠と一緒にメイカ姉さんを探した。そして、ギルトン師匠がオークの集落を見つけ、男達全員でオークを襲い討伐することが出来た」


 ドレインは下唇を噛む。


 「オークが作った簡易的な小屋の前でギルトン師匠から『お前はここで待て』と言われ待つと、少し時間が経つと小屋の中から悲痛な女性の声が聞こえた」


 ドレインは顔を上げる。

 「俺は居ても経っても居られなくって小屋の中に入った。誰かの静止も聞かずに入ると――ギルトン師匠が目の前に立っていた。女性の声が聞こえ視線を向けると――身体中ボロボロな恰好で、虚ろな瞳で、殺してと懇願していた。いつもの明るいメイカ姉さんには見えなかった」


 更にドレインは話しを続ける。


 「俺がメイカ姉さんさんを助けようと動こうとした時、俺の存在に気づいたギルトン師匠に抑えられたんだ。ギルトン師匠が『ドレイン待ってろと言っただろ! 誰かドレインを外に..後は俺がやる』ギルトン師匠が綺麗な短剣も持って、メイカ姉さんに近づいて行った。俺は外に連れてかれて」


 ドレインは悲痛な表情をする。


 「しばらく待つと、ギルトン師匠が小屋から出て来て、手元を見ると綺麗だった短剣が真っ赤に染まっていた。俺は頭に血が昇りギルトン師匠とに怒鳴ったんだ。顔を見ると泣きそうな悲痛の表情をしていた。あれからギルトン師匠は――」


 ドレインは何かを思い出した様に話す。

 「――そうだった。ギルトン師匠は酒を全く飲まない人だった、あの日から酒を飲むようになったんだ。――ギルトン師匠とメイカ姉さんは仲が良かったんだ。今頃思い出したよロキ。俺、今頃気づくなって..」


 ドレインは悔しそうな顔をして肩を震わせる。


 ロキはドレインの肩に手を置く。

 「ドレイン..お前は優しい奴だよ。上手く言えないけど、他人の悲しみを感じ取れるいい奴だ」

 「だ、だけど俺は、今頃気付いたんだ」

 「それでもだ。それでもお前が悩むんなら、友達として仲間として助けてやる。ドレインお前の力を貸してくれ」


 ドレインは少し笑みをこぼす。

 「わかった、ロキありがとな。お前の力を貸してくれ」


 ロキは頷く。


 ドレインは森に視線を変える。

「ロキこっちでいいんだな、俺が先行する。マントを頭から被れ」

 ドレインは再度ロキに魔物がいる方向を確認してた。森の探索が得意な狩人のドレインが指示をする。森に擬態できるようにマントを頭から被るように指示を出す。


 ドレインはしゃがんで、忍び足で茂みの中に入る。ロキも同様にしゃがんで、ドレインの後ろを付いていく。

 

 エイラ少佐の冷たい声の中に笑い声が聞こえる。

 ⦅ロキ二等兵、随分と臭いセリフだな。漫画の読み過ぎだ。――ぷっ⦆

 ⦅今、笑いませんでした。笑いましたよね、エイラ少佐⦆

 ⦅しょうがないだろう、ロキ二等兵が『お前は優しい奴だよ。上手く言えないけど、他人の悲しみを感じ取れるいい奴だ』『それでもお前が悩むんなら、友達として仲間として助けてやる』と臭いセリフを言うからいけないんだ。漫画やアニメの見すぎだ。――ぷっ⦆

 ⦅俺だって恥ずかしいですよ。改めて考えると恥ずかしいですよ。だからって笑うことはないじゃないですか⦆

 ⦅ロキ二等兵、ぷっ⦆

 ⦅最近変ですよ。エイラ少佐バックってませんか! ウィルスにでも侵されましたか!!⦆

 ⦅ロキ二等兵、ぷっ⦆

 ⦅ひつけーーーー!!⦆

 ⦅ロキ二等兵、ぷっ⦆


 ロキとエイラ少佐のくだらない会話を繰り返す。


 ロキは無言で表情を豊かに変えながら、顔を歪めドレインを追いかける。


 ――この様子を誰かが見ていればこう思うだろう、同姓のお尻を見て顔を歪め喜んでいる、変態だと思われるだろう間違いなく。

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