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36話 風牙狼3

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 そいつは――その化け物は自らの身体を使い、目の前を邪魔するかのうように立ち塞がっていた。


 ロキはその化け物の姿を見て畏怖を感じ後ろに下がる。

 「..いつの前に抜かれたんだ、早すぎだろがエイラ少佐は気づいていましたか」

 ⦅......⦆

 「..エイラ少佐?」

 ⦅..分からなかった。ずっとナノメタルで監視はしていた。だがいつの間にか姿を消したと思ったらここにいた⦆

 

 ロキは苦笑いしながら、名前持ちの風牙狼を見て答える。

 「..はっはっはっはっはっはっ、冗談だろ」


 名前持ちの風牙狼が小さくうねり声を上げると――姿を消した。


 「えっ」

 

 そしてーー突然左肩に強い衝撃を受け吹き飛んだ。


 「がっ、がは......何が?」

 倒れた身体を上げ視線を向けると、そこにはーー姿を消した名前持ちの風牙狼がいた。戦慄が身体に伝達した。


 「い、いつの間に」


 緊張しながら風牙狼を見ると前足と後ろ足に風の靴のようなものを纏っていた。そしてどこから低いとても聞こえずらい声が聞こえる。


 「エ..エサ..キキ..キサマが..カラダニ....ツケテイルノ..ワガドウホウノ..イチブカ..エサ..ユルサンゾ!?」

 

 名前持ちの風牙狼は横に伸びている牙に緑色の粒子が纏い。そしてロキを同胞を殺された恨んで目で睨み突進してきた。


 「ドウホウノ..カタキ..シネ」

 

 ロキは風牙狼を注意して身構え避けようとした時――。

 ⦅ロキ二等兵大きく避けろ!⦆

 「っん!」


 ロキは動きを一段中止して、力を入れて大きく横に飛ぶ――。


 ――通り過ぎた風牙狼はーーそのまま突進しした。そして少し時間が経ってから左右に有った木々が前から後ろへと順番に倒れていた。


 倒れた木々で衝撃と音で、風牙狼の力に畏怖を感じた。


 「..あれは? あれが当たってたら..どうなってたんだ」

 ⦅ロキ二等兵の頑丈な身体でも切断されていた可能性もある。とにかくあの牙の横に気を付けろ⦆

 ロキは頷く。


 衝撃と音が鳴りやんだが、風牙狼が倒れた木々の上を貫禄のある雰囲気で歩いていた。


 「ナマイキナ..エサメ..ヨクモ..ワガ..”ゴルバ”ノケン..ヨケタ」 


 ゴルバと名乗った風牙狼は鋭い目に睨み吠える。


 「エサ..エサガ..ナマイキナ!」


 ロキは腰を下げ身構えながら確認する。

 「..お前の名前は”ゴルバ”っていうのか?」


 突然ゴルバが今まで以上な怒りで憤怒を上げる。

 「エサーーーー..キサマゴトギガ..”ゴルバ”..カタルナーー!? ユササンゾ..”ゼミ”サマ..カラ..アタエラレタ..ナヲ..ケガシタナーー..ユルサン!」


 ゴルバは喉の力を溜めーー怒りの咆哮を放つ。


 咆哮は強い衝撃と風圧を生み出し、前面に有ったものを全て吹き飛ばす。砂や土、石等が飛び。そしてロキも吹き飛ばす。


 ロキは腕で顔と身体を防ぐように身構える。

 「これは剣熊と同じ..魔法の咆哮かーーーーーぐわーーーーーー」

 ⦅ロキ二等兵----⦆


 ゴルバの咆哮を受け、腕や身体に石が当たりダメージを受け、風圧の衝撃で大きく吹き飛び、木々の枝をなぎ倒していった。地面に俯けに倒れる。

 

 ゴルバの渾身な咆哮を受けロキは生きていたーーロキは朦朧としながら手足を僅かに動かし。

 「......うぅぅ」

 ⦅....ロキ二等兵..大丈夫か?⦆


 今までにないほど心配してるエイラ少佐を安心させるため答える。

 「..はーーはーーなんとか、ぺっぺっ..大丈夫です..ぺっぺっ、生きてます」

 口に入り込んだ土や砂を吐きだしながら答えた。


 ⦅..ロキ二等兵ダメージが大きい回復を急げ⦆

 「腰にある袋に薬草がーー」


 ロキが腰にある薬草を確認しようとした時、怒りが混ざった声が聞こえる。


 「――ナマイキナ..マダ..イキテルカ」


 ロキが確認しようと顔を上げようとした時――。

 「どこにいる? がはっ!」

 ――頭に強い衝撃を受け頭を上げられない。


 ゴルバがロキの頭を前足で踏み倒していた。グリグリと踏み続けていると、少し考えながら顔をロキの耳元に近づける。

 「オマエ..シブトイ..エサダ..クロカミ。........イイコト..カンガエタ..オマエニモ..ドウホウ..ウシナウ..クルシミ..アタエル」


 ロキは顔を上げようとするが、ゴルバに抑えられてるため上げられないので、視線だけ向け地面にキスしながら話す。

 「..な、なにをいってる?」

 ⦅ロキ二等兵!⦆


 ゴルバは顔をある方向に視線を動かし答える。

 「オマエ..ドウホウ..タクサン..アツマッテイル..ナカマノカタキ」

 

 ロキはゴルバの視線の先と、言葉の意味を感じ取り答える。

 「....まさかお前! アカマツ村を襲うのか!」


 ゴルバが身体に力を込めて遠吠えする。

 「ワォォォォォォォォォォ」


 森から同調するかのうように、狼の遠吠えが複数聞こえてくる。


 「カリ..タノシイ..カリ..タノシイ」

 「や、やめろ」


 ゴルバは前足に力を込めロキの頭を踏みつけ、再度顔を近づける。

 「エサ..クロカミ..オマエ..マダ..コロサナイ」

 

 ゴルバは前足をロキの頭に振り上げる。

 「ぐっ」

 ⦅ロキ二等兵!⦆

 「クルシメ..クロカミ......ガッハハハハハハハ」

 ゴルバは人間のように高笑いしながら立ち去る。

 

 エイラ少佐がずっと心配するように声を掛け続けている。

 ⦅ロキ二等兵! ロキ二等兵! ロキ二等兵! ロキ二等兵! ロキ二等兵!⦆


 ロキはフラフラしながら両手を使って上半身を上げる。

 「..大丈夫です。エイラ少佐生きてます」

 ⦅ロキ二等兵!⦆


 ロキは残っている体力で何とか立ち上がる。そしてボロボロになった身体を動かす。

 「..急がないとアカマツ村の皆が..がはっ」

 ロキは吐血した。


 血を見ながら答える。

 「お、俺の血赤いんだ。はははは」

 ⦅血の色は赤くないほうがいいのか? ロキ二等兵⦆

 「えっ、色変えられるの?」

 ⦅当然だ! 自由に色は変えられるぞ。そんなことより、吐血してるってことは、相当なダメージを受けている。直ぐに回復しろ⦆

 「い、急がないと」

 ⦅今の身体では何もできないぞ。まずは回復しろ⦆

 「..わかりました」

 渋々納得する。


 ロキは袋に入っていた薬草を掴み無造作に口に運ぶ。

 「もぐもぐもぐもぐ..苦いな。これで――」

 薬草を食べ終わると身体の痛みや重みが取れてくる。


 ロキは驚いて身体を視線で調べる。

 「これは..もしかして回復したのか?」

 ⦅そうだ! ロキ二等兵の身体は特別製だ。ナーガウロボロスと長く長く戦うため回復力を高めている⦆

 「どうやって回復力を? それと長くを二度も象徴しないで下さい」

 ⦅毒状態で永続的にダメージを受け、組織の構成を壊しながら、より強度に作り直した結果。回復力の増加を追加できました⦆

 「毒状態?」

 ⦅ロキ二等兵もしかして、私がなんの意味もなく毒キノコを食べさせたと言うんですか⦆

 「そんなことないですよ。毒キノコのおかげで<毒異常耐性>スキルを獲得しましたから、でも今回はスキルではないんですね」

 ⦅スキルではありません。身体的の能力です⦆

 「視覚機能の機能と同じか」

 ⦅えぇ、そうですね。ではこれからは、回復力増加機能と改めます⦆

 

 エイラ少佐と会話をしていると、完全に体力が回復したようだ。身体をチェックするように手足を動かす。

 

 「....ゴルバの野郎! アカマツ村の皆無事でいてくれ!」

 

 ロキはエイラ少佐の指示の下、最短の距離でアカマツ村に向かい、全力で走っている。


 視線の先の森が途切れ、草原が見えてくる。アカマツ村に視線と耳を傾けると獣のうねり声が聞こえてくる。

 「急がないと!」

 

 ゴルバの襲撃を防ぐため、急ぎアカマツ村に向かっていた。身体能力を向上させるため<闘気>スキルを纏っていた。


 背丈が高い植物で身を隠していたーー魔物が奇襲を仕掛けて来たが。


 「急げ急げ....っん! そこか!」

 <気配察知>スキルで魔物の居場所が分かり反撃をする。


 殴られた魔物は背丈が高い植物を潰しながら倒れるが、直ぐに立ち上がり身体を震わせる。身体に異常がないか確認するかのように調べる。


 身体に異常がないことを確認すると、うねり声を上げロキを睨み大きく吠える。

 「ギャンギャンギャンギャン」


 ロキは魔物を見たときグリーンウルフだと思ったが違った、ゴルバと同じ特徴の持つ牙を持った風牙狼だった。ゴルバではないかと思ったが体格が違った2周り程小さかった。


 ロキと風牙狼はお互いけん制するかのように殺意を持って睨んでいた。ロキはじりじりとゆっくり近づいていき攻撃を仕掛けようとした時――。


 ロキの周囲から6体の風牙狼が出て来た。一匹の風牙狼が殴られた風牙狼の顔を見て心配してる声を上げるとお互いに身体を摺り寄せていた。


 「なんだ家族か? それともリア充か?」


 風牙狼は7匹でロキの周囲を囲み呻き声を上げ威嚇していた。まるで足止めをしてるかのように威嚇していた。


 ロキの焦りが決断を早める。

 「..こいつ等..まさか足止めのつもりか! その手でくるんならこっちから仕掛ける!」


 ゴルバの指示で人間が多く集まる場所に行く人間で、我等が同胞の一部を身体に着けている人間だと言われた。その人間は直ぐにわかった。ゴルバに足止めをしろと言われた。


 その人間は深手を負ってろくに動けないはずだと教えられ、完全に油断をしていた風牙狼達そして――。


 ーー<闘技>”正拳突き”ーー

 ――ロキは目の前で油断していた風牙狼の頭を殴り潰す。


 あと6匹。


 風牙狼達は前足と後ろ足に風の靴を纏い、素早い足でロキの周りを回り目で追いつけず攪乱しようとしてる。


 ロキは身構え――気配を読み取ろうと集中する。


 《<気配察知>のlevelが上がりました》


 <気配察知>スキルのlevelが上がり、風牙狼達の気配がより読み取れようになった。

 「これなら..いける」


 後ろから気配を感じ裏拳を与える。次は右、次は左、左、後ろ、前、右、右と気配を読みながら反撃を繰り返す。


 反撃を繰り返してると風牙狼達はフラフラと順番に倒れていった。


 「ゴルバに比べると弱いな」

 ⦅ロキ二等兵、ネームドモンスターと比べるものではない、所詮はランク2の魔物だ⦆

 ロキは頷く。


 ロキは腰に掛けてある短剣を両手で持ち替え、<闘気>から<戦気>スキルに切り替える。<戦気>を短剣に纏い、倒れている風牙狼の急所目掛けて止めを刺していく。

 

 最後の一匹に中腰にんって止めを刺していく。

 「これで最後だ。..ふぅーー」

 最後の一匹が終わり、全身の力を抜きリラックスすると――。


 ――茂みに隠れていた風牙狼が大きな口を開けて迫ってきた。


 ロキは下を向きながら呟く。

 「--気づいていたよ! お前を!」

 顔を上げ風牙狼を睨む。短剣をクロスさせて――。


 ーー<戦技>”強刃十字切り”ーー


 風牙狼の口の中が十字に切り裂かれ、歯や舌が空に舞い鮮血が散った。切り裂かれた風牙狼は苦悶の声を上げ倒れ絶命した。

 

 ロキは短剣を腰に収め、また瞬時に<戦気>と<戦気>スキルを切り替える。


 顔をアカマツ村に向け。

 「間に合ってくれ」

 <闘気>スキルを身体に纏い走り出す。


*************************************


 ゴルバ視点


 ゴルバは同胞達と共に人間が多く集まる場所に向かっていた。この襲撃は本当はまだ先だった。同胞の数をもっと揃え訓練させ、強くさせるために他の魔物を襲い進化させていた。そして自らも後少し経験値を稼げば進化すると思っている。


 ゴルバはかつて餌である人類に同じ時に生まれた同胞を殺された。ゴルバが狩りから帰ってくると同胞が血だらけで地面に倒れ、身体の一部が奪われていた。ゴルバは鳴き叫び願った。


 「強くなりたい! 同胞を守る力が欲しい!」と強く願った。


 そして――突然、頭の中で声が響き”魔物の神 ゼミ”から”ゴルバの名を与えられ歓喜した。


 ゴルバは同胞を集めーー人類への報復の準備をしていた。


 同胞のグリーンウルフ達の訓練に向かうと、なにか異様な雰囲気を感じた。同胞と共に追いかけーー見てみると、黒髪の餌だった。しかもその餌は同胞の一部を見に纏っていた。腹の底から怒りが沸いて来た。


 ゴルバの力で追い詰め餌を瀕死な状態までにした――止めを刺そうと思ったが、良い余興を思いついた。


 餌が多く集まる場所で同胞達と一緒に同胞の仇を祝い、そこで黒髪の餌を殺して進化しようと。


 ゴルバの鼻が餌の匂いを嗅ぐ。そして周りにいる風牙狼やグリーンウルフも鼻で匂いを嗅ぎ嬉しさで尻尾を横に振る。餌が近い喜びを表現していた。


 ゴルバが立ち止まると、他の風牙狼達も立ち止まり静かにその時を待っていた。


 ゴルバは大きく吠え同胞達の士気を一気に上げる。


 一斉に風牙狼やグリーンウルフが吠える。そして餌を同胞の仇を討ちに走り出す。

 

 その様子を眺めゴルバは語る。

 「クロカミのエサ..ハヤクコイ..クロカミ..カテニ..シンカ..スル」


 ゴルバは勝利の遠吠えし走り出す。

 

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