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35話 風牙狼2

 風牙狼の足跡を目印の岩で見つけてから10日経ったが、あれから新しい情報は手に入らなかった。風牙狼だけではなく電子生命体の反応もなかった、気分を変えるため今日は草原ではなく森の探索に向かった。


 なにか手がかりがないか地面を舐めるように視線を動かしてあちこち探す。

 「何かないかな~足跡でもないかな~どこにいるんだ、風牙狼!」


 近くに大き目な石があり、休憩するため背中を預ける様にする。そして大きく溜息をする。

 「ふぅーー全然見つからないな。エイラ少佐はどうですか」

 ⦅...風牙狼は見つからないな⦆

 

 両手を大きく広げる。

 「あぁーーどこにいるんだ! 風牙狼だけじゃなく、グリーンウルフも見つからない」

 ⦅グリーンウルフだけではない⦆

 「えっ」

 ⦅魔物が少なすぎる⦆


 腕を組み今までのことを思いだす。

 「......た、確かに少ないですね。アカマツ村に来てから一角ウサギ、牙ネズミ、ゴブリンしか見ていない」

 ⦅ゴブリンの数も少ない、いや少なすぎる。この森や草原の規模からしてもっと生息していてもおかしくないはずだ、あまりにも少なすぎる⦆

 

 辺りを見渡して答える。

 「....この森の食料供給に関しては木の実や果実があるし食料事情ではないはずだ」

 ⦅――ロキ二等兵、今日は今まで行っていない箇所を中心的に向かう」


 頷き答える。

 「わかりました」

 

 エイラ少佐の指示の下、動き出す。向かう途中で紫色の果物を見つけ数個取る。


 「これこれ。この果物も結構自生してるよな。あちこちで見つける」

 

 果物をハンカチで綺麗に拭き、大きな口を開けて食べる。

 「しゃくしゃく。うん、うまい。見た目は悪いけどこの瑞々しさが最高だ」


 ハンカチを丁寧に大事そうにしまう。

  

 このハンカチは剣熊に襲われた日本人の荷物の中に入っていた物であり、有名な海外のブランドだった。 


 今まで探索してたのは草原寄りの森で木々の間に隙間があり太陽の日差しで照らしていたが、今いる場所は木々に隙間がないほど重なりあい日の光を遮断していた。そのため周りはうす暗く見え辛くなっていた。


 周囲を警戒しながら答える。

 「ここは初めて来る場所だな」


 周囲を警戒しながら探索していると、エイラ少佐の声が聞こえてきた。

 ⦅ロキ二等兵見つけたぞ!⦆

 「えっ、なにを見つけたんですか?」

 ⦅....実際に見た方が早い⦆

 「分かりました」


 エイラ少佐の指示の下、森を歩き続け数十分経ち警戒していると、獣の威嚇声が聞こてくる。それも一つではなく複数の声だった。


 「この声は..あっちか!」


 木で身を隠しながら、獣の声が聞こえた先に視線を向けると――。


 ――剣熊が狼に似た魔物と生存を掛けた殺し合いをしていた。


 ⦅..あの魔物は? グリーンウルフですか?⦆

 ⦅そうだ⦆

 ⦅グリーンウルフにしては大きくありませんか、転生システムの中で見たグリーンウルフより、一回りか二回り大きいですよ⦆

 ⦅相当経験値を稼いでlevelを上げてるんだろ。あともう少しlevelが上がれば進化するだろう⦆

 ⦅..進化..あれだけの数が進化するんですか⦆

 ロキは絶句した。何故かというと剣熊が相手しているグリーンウルフは一体ではなく、10体以上だった。


 ⦅....あれが全部進化するのか、進化する先は――⦆

 ⦅――風牙狼だ⦆


 ロキは唾を飲む。

 ⦅このアカマツ村付近の魔物が異常に少ないのはグリーンウルフ達の経験値稼ぎの餌食になってるからか⦆


 魔物も人類と同様に他者を殺すことにより経験値を稼ぎlevelを上げ強くなり、levelが一定以上上がると進化する。

 

 「グギャァァァァァ!」

 剣熊は叫び声を上げた、右腕はグリーンウルフに噛み千切られ鮮血が地面を濡らしていた。グリーンウルフ達は剣熊の周りを囲み威嚇する。剣熊も負けじと威嚇するがグリーンウルフには通じない、グリーンウルフにとって、もう剣熊は餌に過ぎないからだ。


 剣熊の後ろで囲っていたグリーンウルフが一斉に飛び掛かる。怪我と恐怖で注意が散漫していた剣熊は対処ができず前から倒れる。倒された剣熊は暴れるが、他のグリーンウルフ達も襲いかかり、剣熊の身体を噛み砕いていた。剣熊は腹や腕等を食べられながら絶命した。


 ロキはグリーンウルフが剣熊だったものを食べている様子を伺っていた。

 ⦅..これが魔物同士の戦いか⦆

 ⦅どこの世界も同じ弱肉強食だ⦆

 ⦅えぇ。日本も同じ弱肉強食でしたからわかります⦆

 ⦅そうか日本も同じか..それでどうする。ここから立ち去るのか⦆

 ⦅エイラ少佐も冗談言うんですね。こんな隙だらけのチャンスはないですよ⦆ 


 食事に夢中になってるグリーンウルフ達に奇襲しようと、腰にある短剣を持とうとした時奥から物音が聞こえ――。


 ――奥の方から獣の遠吠えと共にオークが5体慌てて、食事中のグリーンウルフ達の前に出てきた。そして奥からグリーンウルフとは違う狼の魔物が数十体出てきた。


 グリーンウルフに似てるが、大きく鋭い牙が飛行機の翼のように横に伸びていた。体長もグリーンウルフよりも大きく見える。毛の色は深い緑色だ。


 ⦅ロキ二等兵あれが風牙狼だ⦆

 ⦅あれが....⦆


 ロキが風牙狼を見てると、更に奥から風牙狼が出てきた。その風牙狼の大きさは牛程の大きさで、体長1.5~1.7メートルぐらいだ。 


 ロキは危険を感じ身体を背中から隠れるように木で身を隠す。

 ⦅..あれも風牙狼か....でかすぎだろ⦆

 ⦅あれはもしかしたら..⦆

 ⦅もしかしたら何ですか⦆

 ⦅名前持ちの可能性がある!⦆

 ⦅名前持ちネームドモンスターだ。ごく稀に魔物の中で人類のように名前を持つ者が生まれる。だが人類と違って魔物で名前持ちは脅威だ。通常の同種の2~3倍の強さを有している、あの魔物は危険過ぎる⦆

 

 名前持ちの風牙狼が大きく吠えると、食事に夢中だったグリーンウルフ達が食事を辞め、オーク達に威嚇始めた。名前持ちの風牙狼がグリーンウルフ達に視線を向けて吠える。号令を受けたかのように、グリーンウルフ達は一斉にオークを襲いかかる。オーク達は叫びながら抗っている


 ロキはオーク達の叫び声を聞こえながら考える。

 ⦅..エイラ少佐ここは一旦引きます⦆

 ⦅えぇ、今は撤退を許可します⦆

 ロキは足音を立てず静かに移動する。


 ロキが移動した後、名前持ちの風牙狼はロキがいた先に視線を向け睨みつける。そして大きく遠吠えする。仲間達に狩りの始まりと呼ぶように。


 ロキは風牙狼から遠ざかろうと移動を開始し、少し時間が経った時に狼の遠吠えが聞こえてきた。


 「な、なんだ!」

 ⦅ロキ二等兵急ぎなさい。急いで撤退しなさい⦆

 「急ぐ? まさか!」

 ⦅..動きが早い..来ます⦆


 後方から複数の足音が聞こえ、周囲の茂みからも足音が聞こえてくる。


 ロキが後ろを振り向き周囲を警戒するとーー。


 突然、茂みからグリーンウルフが牙を向けて襲いかかる。

 「..くっ! グリーンウルフか」

 グリーンウルフに攻撃を避け..ロキの周囲を見ると、いつの間にかグリーンウルフに囲まれていた。


 「..いつのまに」


 グリーンウルフ達がロキの周囲を囲み逃がさないとばかりに威嚇する。


 「「ギャンギャンギャンギャンギャンギャンギャンギャン」」


 ロキはこれでは逃げれないと感じ..戦闘態勢になる。


 「エイラ少佐行きます」

 ⦅<戦闘モード>開始⦆

 ロキとエイラ少佐の声が重なる。身体能力が向上し、グリーンウルフ達に囲まれていた恐怖を抹消する

 

 ⦅ロキ二等兵、風牙狼とグリーンウルフを討伐せよ⦆

 「了解」


 ロキは<闘気>を身体全体に纏い気合を入れ戦闘を開始する。

 「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」


 そして一気に<腕力一時向上>と<俊敏一時向上>も発動する。


 ロキの周囲からーー森全体から獣の呻き声が聞こえてくるからだ。


 最初に飛び掛かってきたグリーンウルフ頭を蹴り上げ吹き飛ばす。吹き飛ばされたグリーンウルフは木にぶつかり、悲痛な叫び声を上げる。

 「ギャンッ!」

 そのまま動かくなった。


 気を抜く間に右から2匹のグリーンウルフが迫り襲ってくる。2匹同時で体当たりをしてきた、一匹、目の体当たりは避けることに成功したが、2匹目の体当たりが腕にぶつかりよろける。


 「..くっ、早い! 2匹同時に来やがった! こいつら連携が出来てる!」


 ロキは体当たりが当たりグリーンウルフに睨む。

 「舐めるなよお前ら!」

 

 ロキが気合いを入れる様に吠えると、グリーンウルフ達も負けすに吠え2匹同時に左右に分かれ突進してくる。


 「同じ手が通じるか」

 ロキはグリーンウルフ達よりも高くジャンプし、攻撃を避ける着地した瞬間に左のグリーンウルフの腹を上から蹴り上げる。そしてそのまま、もう一匹のグリーンウルフの目を潰す様に渾身の一撃を与える。グリーンウルフの右目部分の骨が砕け陥没して倒れる。上に蹴り上げたグリーンウルフも口から血を吐き息絶えていた。


 仲間をやられたグリーンウルフ達は怒りの咆哮を上げ一斉に動く。爪で攻撃してくるグリーンウルフを見て避けようとした時、身体が動かないと左足を見ると、一匹のグリーンウルフが足に喰らいていた。


 正直痛みを感じない<闘気>スキルや<戦闘モード>スキルで身体能力が向上し防御力が上がっている。それに混成鋼体の身体はとても頑丈だ。


 右足に喰らい付いてるグリーンウルフは無視し、爪で攻撃してきたグリーンウルフの前足を掴み、邪魔な右足に喰らい付いてるグリーンウルフに叩きつける。

 

 「邪魔だ! クソ!」

 「「ギャンギャンギャンギャン」」


 叩き付けられたグリーンウルフはダメージが大きく立ち上がることが出来ない。ロキは止めの一撃を入れるため踏みつける。

 

 「邪魔だ潰れろ!」

 「「ギャンッ」」

 叫び声が最後に息絶える。


 数匹のグリーンウルフを殺し囲い隙間が生まれた。

 ⦅ロキ二等兵このままで駄目だ。後ろは数が少ない突破しろ⦆

 「了解」

 後ろを振り向き一気に蹴り上げて、グリーンウルフの囲いを突破する。


 ロキの撤退を邪魔しようとグリーンウルフ達が集まり壁を作る。


 「なっ、動きが的確だこいつら」

 ⦅ロキ二等兵!⦆

 「任せて下さい。集まっているんだ好都合だ!」


 両手を重ね溜める感じで放つ。


 くらえーー<闘技>”狼牙衝撃波”ーー


 前方に狼の牙が無数に攻撃を加える。衝撃波のため後方にいたグリーンウルフ達もダメージを受け吹き飛んで倒れている。


 <闘技>”狼牙衝撃波”当たったのはグリーンウルフだけではなく、木々も当たり木の葉が舞い枝が落ちて来た。


 木の葉が舞っている中心を目指す。

 「良しこれで行ける」


 ロキが撤退をしている、その背中を見ながら吠えて、追跡を始めるグリーンウルフ達。


 ロキは森を抜ける為に走り続ける。

  

 「エイラ少佐方向はこっちで会ってますか?」

 ⦅..大丈夫だ。..ロキ二等兵右から一匹来るぞ!⦆


 ロキが視線を向けると、茂みを超えてグリーンウルフが口を大きく開けて牙を見せる。ロキは足を止め右腕をグリーンウルフの下顎にアッパーカットを与える。

 「..くらえ!」

 アッパーカットを受けたグリーンウルフは牙が砕け血をまき散らし、ふらふらと身体が揺れ倒れる。


 ロキはグリーンウルフが息絶えるのを見届けているとーー。

 ⦅ロキ二等兵後ろから3匹来るぞ⦆


 ロキは後ろに気配を集中する。グリーンウルフ達の動きを予測しロキは身構える。

 「今の俺なら出来るはずだ」


 全神経を後ろに集中し気配を感じるそして――。


 《<気配察知>を獲得しました》


 世界の声が聞こえ――今までに感じたことのない感覚になる。

 

 ロキは<気配察知>スキルで後ろから来るグリーンウルフの気配を感じる。グリーンウルフ達は獲物が後ろを向いたままで隙だらけと思い同時にロキの背中に向かって飛び掛かる。


 ロキは左足を軸に身体を捻り後ろ回し蹴りをグリーンウルフ達に与える。

 「こっちはお前達の動きは把握済みだーー!」

 一番端にいたグリーンウルフの横腹に蹴りが当たり、3匹同時吹き飛ぶ。グリーンウルフ達が立ち上がる前に止めを刺しに行く。

 

 「これで止めだ!」

 グリーンウルフの顔面目掛けて殴り飛ばし、動かなくなるのを確認する。


 「良しこれで終わりだ」

 ⦅ロキ二等兵新しいスキルを獲得したようだな⦆

 「<気配察知>スキルを覚えました」

 ⦅戦闘に有効なスキルを覚えたな⦆

 「視野が一気に広がった感じです」

 ロキは拳を握りしめる。


 「..まずは森を抜けます道案内をお願いします」

 ⦅ロキ二等兵右に真っ直ぐ行けば森を抜けられる⦆

 「了解」

 

 森を抜けるため再度走り続ける。スキルの温存のため発動スキルは全て解除した。


 次第に陽の光が差し周囲が明るくなってきた。いつも探索した森に戻ってきたと安堵していたら、前方からとても強い気配を感じる。


 そこにいたのは名前持ちの風牙狼だった!。

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