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28話 馬鹿な奴等5

※残酷な描写があります苦手な方はご注意下さい。

 目の前にいるバルドは青筋を浮かべながら殺意を籠った目で睨み吠える。


 「くそガキが! ドロス達はどうした!?」


 ロキは仲間の心配するバルドに関心した。怒りのまま忘れてると思ってたからだ。


 「へぇ~~。そんな余裕まだあるんだ」

 馬鹿にするように話す。


 バルドは歯ぎしりしながら更に怒りを込めて話す。

 

 「......生意気なガキだ。もう一回聞くぞドロス達はどうした。ガレオ達を襲ったのもお前か」


 ロキはバルドの言い分に怒りを感じ大きくため息をする。襲ったのお前かだと? 声を大きく上げる。

 

 「......はぁーーーー。ふざけるなよ! 盗賊風情が! 襲ってきたのはお前達だろうが!」

 「俺達は話し掛けただけだ」

 「10人で俺の周囲を囲んで脅迫してきたのはお前達だ」

 「脅迫じゃねぇ。あの場所は俺達の縄張りだから先輩冒険者として教えただけだ」

 「金を出せと。......俺は全部知ってるんだよ。お前達が昨晩から俺のことを見張っていたのも酒場で俺を襲って金を奪うこともな」


 驚くバルド。

 

 「なっ」 

 

 ロキは驚くバルドを見ながら更に話す。


 「冒険者ギルドから追いかけて来たのも知っている。そして俺が初めてじゃねぇだろ。他にも新人冒険者を襲っただろお前ら!」

 言葉に怒りを込めて話した。


 バルドはなんで? どこから知ってるんだ。目の前にいる新人を襲うと決めたのは昨日の酒場の中だぞ、どうして知ってるんだと裏切り者がいるのかと憤りをする。そして冷静さを欠いたバルドはボロをだす。


 「......どうして知ってる? 誰から聞いた酒場での話しを誰から聞いた!」


 ロキはボロを出したバルドを見ながら考える。


 ⦅まぁ、誰から聞いたって、そりゃあエイラ少佐だよ⦆

 ⦅壁に耳あり障子に目あり⦆

 ⦅エイラ少佐に隠し事ができません⦆ 

 

 ナノメタルでの情報収集能力の高さを感じる。隠し事ができないし、どこで見てるかわからないナノメタルへの畏怖を感じた。


 バルドは何も答えず表情を変えないロキに苛立つ。


 「誰だ裏切り者はーー! ふぅーーふぅーーまぁいい、どいつもこいつも殺せばいいだ。最初からてめぇは殺すつもりだったんだ」

 大剣でロキを指す。

 

 ロキが視線を向けると、かけ声と共に大剣を振りかざすバルドの攻撃を避ける。


 「......いきなりだな。だがこちらも面増がなくていい。殺してやるよバルド」

 明確に殺意を持って、右手で短剣を持ち構える。


 「生意気なガキがーー!」

 バルドは大剣を天高く上げる。


 ーー<戦技>”パワースラッシュ”ーー


 天高く上げた大剣をロキに向かって振りかざす。大剣が地面を抉り衝撃と石飛礫が飛んでくる。


 ロキは驚き。


 「なっ、 ぐっ......」

 衝撃と石飛礫が当たりよろめく。

 

 バルドは大剣が当たらなかったことに不満があるが衝撃と石飛礫でダメージを受けたロキに喜んだ。


 「ちっ、......どうだクソガキ。痛いか俺の戦技は強力だからな」

 勝ち誇った目線を向ける。


 ロキはダメージを受けた部分を手で触りながら確認し思考する。

 

 ⦅エイラ少佐あれは大剣の戦技ですか⦆

 ⦅そうだ。一般的な大剣の戦技”パワースラッシュ”だ⦆

 ⦅一般的ですか?⦆

 ⦅ロキ二等兵。戦技は必ずしも同じ技を獲得するわけではない。今までの経験と知識で異なる戦技を獲得できる。今はそんなことよりも戦闘に集中しろ⦆

 ⦅了解⦆

 視線をバルドに向ける。


 バルドは戦技の威力に驚いて固まっていると思い口角を上げる。


 「どうしたクソガキ。俺の戦技に驚いて動けねぇのか、ざまぁねぇな」

 「うるさい奴だ。戦技は連続使用できないだろこっちから行くぞ」

 

 ロキは<闘気>を纏いながら短剣と素手で攻撃を繰り返す。バルドも上手く大剣を盾変わりにして攻撃を受ける。


 バルドは内心驚いていた。目の前にいる新人が<闘気>を纏っていたからだ、それだけでなく短剣で攻撃する時は<戦気>を纏っていた。この新人は瞬時に<闘気>と<戦気>を切り替えながら戦っていた。

 大剣で攻撃を受けるたびに腕に衝撃を受ける。level2以上の力を感じる。ありえねーと思った。


 ロキは右足でバルドを蹴り後ろに吹き飛ばす。

 「吹き飛べーー」


 吹き飛ばされたバルドは苦虫を嚙み潰したように大剣を天高く上げる。

 「ぐっ」


 ロキはこのタイミングを待っていたかのように前に出る。バルドの戦技を警戒しながら右左とジグザグに向かう。


 バルドはイラつきながら戦技を振りかざす。


 ーー<戦技>”パワースラッシュ”ーー


 ロキは戦技を警戒しながらバルドに近づき短剣を突き刺すが横から強い衝撃を受ける。


 バルドが放った戦技は途中で軌道を変え横に振りかざしていた。

 

 ロキは戦技の攻撃で吹き飛び転がる。

 「がはっ.......」


 バルドがロキの様子を見ながら声を上げる。

 「舐めるなよクソガキが年季が違うんだよ。Cランクの俺を舐めるな!」


 ロキはバルドを侮っていた。ロキの攻撃で身を固めていたバルドに。まさか攻撃のチャンスだと思っていた戦技”パワースラッシュ”が軌道を変えて横に振りかざすとは思わなかった。


 ロキは直ぐに立ち上がりダメージを確認する。戦闘に支障がないことを確認し、先程の戦技の使い方を考える。

 

 ⦅まさか、戦技”パワースラッシュ”が上から下に振りかざすのではなく、上から横に振りかざすとは思わなかった⦆

 ⦅流石の私も驚いた。あの有機生命体が器用よく使えるとは思わなかった⦆

 ⦅いい勉強になりました。今回で一番の収穫かもしれない⦆


 バルドは戦技で受けたロキが痛みで絶叫することもなく立ち上がる姿を見て恐怖する。

 「どうして立ち上がれるんだ。あのガキは化け物か」


 ロキはバルドに視線を向けると戦技の使用で大きく体力が削られ疲弊していた。これが最後だと思い構える。

 「化け物か? ....まぁ..ね」


 ロキは両足に力を込めて地面を蹴る。恐怖で身を固めているバルドに攻撃を仕掛ける。


 近づきながら短剣をバルドに投げる。バルドは大剣で短剣を受け流して瞬間に大剣を構え治す。

 

 大剣を構え治したのを確認して今まで躊躇していた闘技を使う。


 ーー<闘技>”鋼槍貫き手”ーー

  

 <闘技>”鋼槍貫き手”を横に一閃切り裂いた。


 切り裂いたのはバルドの大剣と両手首だ。大剣と両手首が地面に落ち。切断箇所から血が噴き出す。


 「ぎゃぁぁぁぁ。お、俺の手がぁぁぁぁぁぁ」

 バルドは痛みで絶叫しながら、失った両手を交互に見る。見るがどうすることもできない、手当するにも手が無いのだから。


 ロキの頭の中に声が響く。

 ⦅<戦闘モード>終了⦆

 

 痛みで暴れているバルドに近づき、それに気づいたバルドは目で懇願する。


 「た、助けてくれ頼む」

 「お前らが殺した冒険者は助けたのか」

 「そっ、それは......そんなことより助けてくれ。いやなんでお前が<闘技>が使えるんだ。おかしいだろ俺が何年かけて<戦技>を獲得したが、その手が無い俺の手がない助けてーー」

 痛みや失った力で頭の中は混乱していたバルドを蹴りあげ昏倒させる。


 「これでCランクか、オークメイジの方が強かったな。まぁ、魔法があったからな」


 バルドの両手首をロープで縛り止血する。両足を潰し逃げられなくする。ロープはバルド達の荷物に入ってだ本当は俺に使う予定だったのだろ。


 「簡単に死なれたら困る。そんため<闘技>スキルを使わなかったんだからな。さて他の奴等も連れてくるか」 

 周囲を見渡し前に出る。


*************************************


 バルド達10人は見通しのいい平地に運ばれいた。バルドは薄っすらと目を覚まし両手足の痛みで覚醒する。周囲からも呻き声が聞こえる。バルドの冒険者仲間が全員集まり痛みで声を上げていた。なんとか立上がろうとする者もいるが潰された足の痛みで立ち上がることができない。バルドの名前を呼び恨み節をする。


 「お前のせいだバルド」

 「なんで俺がこんな目に」

 「いてぇよ」

 「痛くって動けねぇ」

 「あのガキはどこにいった」

 「ちくしょう俺の手が足が」

 「ポーションは無いのか」

 「誰か助けてくれ」

 ロキにやられた冒険者達が身勝手に叫んでいる。


 地面から振動を感じ足音が聞こえる。


 「誰かいるのか助けてくれ」

 「ポーションを持ってないか」

 「俺はCランクのバルドだ街に戻たっら金を出すから助けてくれ」

 バルド達は必死に助けを懇願するが、若いまだあどけない声が聞こえてくる。


 「へぇーー。お金あるんだお前ら」


 バルドは声を聞き、声の主を覚え出す。

 「あぁぁぁぁ、頼む許してくれ。金を出すから許してくれ」

 「バ、バルドもしかして、この声の主はあの新人なのか」

 「す、す、すまなかった。助けてくれ」

 「頼む命だけは許してくれ」

 

 ロキは見下ろしながら軽蔑した目で語る。


 「......準備は終わった報いを受けろ」


 バルド達は動揺し声を上げる。

 「準備?」

 「なんの準備だ」

 「そんなことより助けてくれ」


 ロキは表情変えず淡々と語る。


 「お前達がやったことと同じだ。周囲に魔物の血肉をばら撒いた。....分かるだろ。じゃあな」

 ゆっくりとバルド達から遠ざかる。


 バルド達は恐怖する。ロキの遠ざかる足音と俺達がやったことを思い出す。


 思い出し恐怖し身体が震える。そして周囲の森から複数の足音が聞こえ。獣の呻き声や魔物達の歓喜の声が聞こえてくる。


 魔物達は血の匂いを感じ近づく、そして直ぐそこに餌の人間の匂いもする。口から大量の涎を垂らしながら森を駆ける。森が抜けた平地に着くと餌が集まっていた。周りからはライバルの魔物達が我さきと餌に群がり奪い合う。


 バルド達は両手足を潰され逃げることもできず魔物達に生きたまま食われる。腕は力づくに千切られ、腹は肉と内臓を食われ飛び散った内臓を奪いあう。バルド達は泣き叫びながら食われていく。そしてバルドが最後に見た映像はオークが棍棒を振り上げ、脳みそが食いてぇと涎を垂らして棍棒を振りかざしていた。


 ロキは大木の枝の上でバルド達が魔物に食われて殺さている地獄絵図を見ていた。


 何故ロキは楽に殺さず、このように魔物の餌にしたのか、それはこいつ等バルド達が襲った冒険者達をしてきたことだからだ。エイラ少佐から教え貰ったのはこいつ等の特徴だけではなく。酒場の中での自慢話しも聞いたからだ。

 

 自慢の内容は余りにも酷かった。バルド達は俺を襲ったように囲って襲い、わざと逃がして追い詰める。男なら集団でリンチして動けない状態にする。女性なら品格を奪うように犯し何度も行う。助けを懇願してもやり続ける。その中には十代前半の子供もいた。最後は生きたまま魔物の餌にする。そんな非道のことを酒の肴に自慢話しをしていた。


 だから許せなかった。こいつ等を同じ目に合わせると決めた。


 「......これで仇はできたかな。同じ新人冒険者として」

 ⦅同じ種族同士で奪いあうとはな、有機生命体は意味がわからないな⦆

 「......そうですね」

 ⦅それでどうするのだ。街に戻るのか? いいデータがたくさん録れたから構わないぞ⦆

 「いえ。せっかく魔物が集まってるんで討伐しますよ。エイラ少佐協力お願いします」

 ⦅わかった⦆


 ⦅<戦闘モード>開始⦆

  

 疾風のように飛来し魔物達を襲う、食事に夢中で気づかない魔物や、魔物同士で餌を奪いあい傷つき弱っている魔物を討伐するのは簡単だった。


 「この短剣は流石にもう限界だな、街に戻たっら補充だ」

 ⦅ロキ二等兵は大分慣れたものだな⦆

 「なにがですか?」

 ⦅魔石の回収と有機生命体の頭部分の破壊だ⦆

 「ゾンビになって動き周れても困りますから」

 

 人間も魔物も適切な処理をしないと、死体がマナを吸収し魔力が変換され歩く死体として蘇る。何故マナを吸収すると蘇るかは不明である。人間であれば聖なる力、そう教会の力で浄化することでゾンビ化を防ぐことができる。だが外だ、教会がない場合は火葬か頭の破壊により防ぐことができる。首から下はどうなるなかというとゾンビ化はしない不思議な現象だ。そのため秘密裏に研究している者もいる。


 ロキは足元に潰れているバルドだった物を見る。頭蓋骨が破壊され脳みそが9割以上食われ悲痛な表情な死体だ。


 表情を変えず淡々と語る。


 「馬鹿な奴等だ」

 死体を見下ろして、直ぐに視線を前に向ける。

 

 馬鹿な冒険者達が大地に還る。


 残酷で命が安い世界では当たり前の風景である。

 

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