20話 変態筋肉
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すっかり太陽は真上を通過し午後になった。商業地域には当然色んな飲食店が立ち並んでいる。いい匂いに釣られた人達が各々食事をしていた。
「結構長い時間ナタリー魔道具屋に居たんだな。丁度いいかお昼にしよう。なにかないかな」
美味しそうな匂いがする店を何件か見て周った。
「匂いに釣られて料理を見たけど肉が多いな......まんぷく亭はオークの肉しか食べていないから、今日は鶏肉だ」
見て周った店を思いだそうとすると。
⦅ロキ二等兵。3番目に行った店が鳥料理だ⦆
⦅えっ、3番目か確か......あそこか」
思い出して鶏肉料理に向かう途中に礼をいう。
⦅エイラ少佐ありがとうございます⦆
⦅う、うむ。研究のためだ⦆
お店の前に並んで料理をしてるところを覗くと焼いた肉にたれを着けていた。そうしてもう一度焼くと美味しそうな匂いが漂ってきた。たまらないこの匂い。焼き鳥の匂いだ。
「いらっしゃい」
「これはなんの肉ですか?」
「あぁ、これか。ビックカエルの肉だぞ。うめぇぞ」
カエルの肉は鶏肉に似てると聞いたことがあるので気にしない。
「1本下さい」
「200ゼニーだ」
お金を渡して鶏肉もといカエル肉を受け取る。
近くにベンチがあったので座る。
「頂きます」
うまい。味は焼き鳥だ。量も多く大満足だ。カエル肉最高!
カエル肉を食べながらエイラ少佐に魔法書のことを聞く。
⦅エイラ少佐、魔法書は2857年前も同じぐらいの価格ですか⦆
⦅高すぎるな⦆
⦅高すぎですよね⦆
⦅魔法書は諦めるのか⦆
⦅諦めません。ダンジョンにいきます⦆
⦅駄目だ⦆
⦅わかってます。今は強くなります。食べ終わったので武器屋探します⦆
腹を満たし満足し立ち上がる。まぁ、腹の物は分解されMPに変わる便利な身体だ。
商業地域を適当に歩いてると怒鳴り声が聞こえてきた。
視線を向けると2人組の男性冒険者が建物に向かって声を上げていた。
「ふ、ふざけるな」
「俺達は客だぞ」
建物から出てきたのは身長が2メートルぐらいの男性で鍛え抜かれた筋肉でがっちりしていた。
「生ちょろい筋肉しやがって鍛えてから出直しこい」
マッスルポーズをとって2人組の冒険者に自慢気に見せた。
「変態だ~」
「噂を聞いて来たのに変態だ~」
冒険者達は叫びながら逃げ出した。
「ふん、青二才が筋肉を鍛えてこい」
変態が色々とボーズを変えながらマッスルをしていた。
俺は変態に近づきたくないので別の道を探そうとすると、誰かに肩を叩かれていた。俺は気づいていたこれはフラグだと。
「小僧、中々いい筋肉してるじゃねか。おぉ、その恰好は冒険者だな」
一瞬のことで固まって動けない身体を変態が触る。
⦅ロキ二等兵。大丈夫か⦆
思考まで固まってしまった。
余りの出来事で固まっていると女性の声が聞こえてきた。
「おとうさんなにやってるの」
「おぉ、ハルカ。この小僧の筋肉が素晴らしくってな我を忘れていた」
「冒険者さん大丈夫ですか」
女性の声が聞こえてくると固まっていた身体が少しずつほぐれていき思考が回復していった。
ハルカと呼ばれた女性を見ると、年齢は20代ぐらいで身長が170ぐらいで青い瞳の美女だ。金髪のストレートで腰まで伸びていた。物腰も柔らかく優しそうな人だ。だがこの女性は変態をお父さんって呼んでいた。全然似てねぇ。
「母親にですか? 良かったですね」
俺の変な質問に素っ頓狂な表情をして笑い出した。
「えっ、くすくす。初めてですよ、母親にですかと言われたの」
「俺も初めて言いました」
「小僧、親父の前で娘のナンパか」
変態に向かって当たり前のこと言う。
「娘さん母親にで良かったですね」
変態は禿げ頭を掻きながら笑い出す。
「まぁ、確かに母親にだ。あはははははは」
ハルカは美女だが、変態とは関わりたくないので退散する。
「俺はこれで武器屋を探しているので失礼」
変態とハルカさんに軽くお辞儀した。
「小僧、家を探してたのか」
変態が笑いながら肩を叩く。
「?家じゃないです。武器屋です」
「だから家だろ」
「うちじゃなくて、武器屋です。うちに行かないです。突然身体を触ってきた人のうちに行かないから」
「だから家だろ」
俺と変態で同じことを何度も繰り返してると。
「だから家――――」
ハルカがお父さんの話しを遮る。
「お父さん黙って」
ハルカの気迫に黙る変態。
「えーーと。冒険者さん。私の家が武器屋をやってます」
あ、あ、うちか、だから変態はうちかと連呼してたのか本当に紛らわしい。
そのまま俺は変態に武器屋に連行された。
武器屋の中を見渡すと、色んな形や大きさが違う剣が壁に飾られていた。他にも槍、斧等の武器類も置いてあり金属類の匂いがした。武器以外にも鎧や籠手等の防具類、皮製の鎧、宝石が付いた指輪等も置いてある。
入り口近くのカウンターにハルカに似た女性がいた。ハルカより年上に見える、お姉さんかなと疑問に思ってると。
「おぉ、マリ。客を連れてきたぞ」
変態は肩を叩いてくる。痛いから何度も叩くな。
「あら、お客様ですか、旦那がすいません」
一部おかしい単語があった。これはフラグ回収のため答える。
「旦那って誰ですか? マリさんはハルカさんのお姉さんですよね」
懇願する思いで聞く。
変態に聞いてないのに変態が答える。
「そういえば自己紹介がまだだったな。俺はこの店の主でウィリアムだ。そして妻のマリだ。ハルカは俺の娘だ」
変態は聞いてないのに自己紹介をしてきた。変態の名前はウィリアムだった。どこかの国の王子と名前が一緒だった。マジ不釣り合いだ、名前も奥さんも。
自己紹介されたし挨拶しないと。
「俺はロキです。成りたての冒険者やってます」
「ウィリアムの妻でマリです」
「あ、私は娘のハルカです。よろしくね」
マリとハルカは笑顔で挨拶した。
「それで小僧は武器屋になんのようだ」
名前教えっただから小僧っていうなと言いたいが変態には無理だと悟る。
「予備の武器と魔法装備です」
「魔法装備か......それならあそこにあるのがそうだ」
ウィリアム変態が指した方に視線を向ける。
その一画にある武器は他と違うものを感じた。それは真っ赤な炎を思わせる大剣だった。クレイモアだが見たものを圧倒させる感じだ。
「これが魔法装備ですか」
「あぁ、俺のご先祖様が昔手に入れたらしい」
「なんか凄い力を感じます」
「まぁな。魔法装備の中でもかなり上位な付属効果があるらしいからな」
「どんな付属効果ですか」
「二つだけ分かってる。1つは炎を生み出し、炎を飛ばすことができる。もう1つは炎を吸収して力を倍増できる付属効果だ」
「凄い。それで二つだけの理由は」
「鑑定したが効果が読めないらしい。まぁ、俺の親父がそう言ってた。俺は俺達はこれを超える武器作ることが目標だ」
ウィリアム変態は変なポーズを取りながら語っていた。
「武器を作るってことは鍛冶もやってるんですか?」
「おう、俺は鍛冶が専門だからな、皮製の装備はハルカが作ってる。他のアクセサリーとかはマリだ」
「一家全員が職人か」
「まぁな」
ウィリアム変態は胸を張る。
「予備の武器も見たいと言ってたな。どんなの使うんだ」
「短剣です。後、格闘もできるので籠手も見たいです」
「短剣と籠手か。その図体で短剣とは面白いな」
「予備の短剣だったらこれだな」
短剣を見せくれた。性能を聞くと冒険者ギルドから借りてる装備と一緒だった。なんと作成したのはウィリアム変態だった。そして防具の方はハルカが作成したものだ。
「籠手はハルカに聞くんだな」
ハルカに視線を向けた。
「うーーん。今あるもので、この装備以上の性能はないかな」
ハルカは今着ている。風牙狼の装備を触れながら語った。
「風牙狼以上の素材があれば作れるよ」
「その時はお願いします」
「任せてね」
ハルカは笑顔で挨拶した。
「小僧、短剣はどうする」
「じゃあ、2本お願いします」
「おう、10万ゼニーだ。それとこれはサービスだ。ちゃんと手入れしろよ」
短剣と研石を渡された。
「そういえば追い出された冒険者は。何をやったんですか」
あの冒険者達はなにをやったのか、普通に買えたから疑問に感じた。
「あいつらかマリとハルカにナンパしてきたからな、それと筋肉の鍛え方が甘すぎる。だから追い返した」
また変なポーズをとる、ウィリアム変態。
ウィリアム変態は無視してマリとハルカに挨拶する。
「今日はいい買い物ができました」
「いいえ。またのご来店をお待ちしております」
2人は笑顔で挨拶した。
「小僧、また来い。筋肉を語るぞ」
またまた変なポーズをとるウィリアム変態を無視して外に出る。
外はすっかり夕方になっていた。
まんぷく亭に戻る。
⦅今日は色々勉強になった。ナタリーさんから魔道具屋や魔法書のことを聞いてためになった。ウィリアム変態の店で魔法装備を見せて貰って感心した⦆
⦅確かにな⦆
⦅今日は充実した日でした。まんぷく亭に戻ります⦆
まんぷく亭でレッドオークとブルーオークのステーキを食べた。とにかく美味かった。料理の評論家ではないので細かい味や素材の味は分からないが美味かった。
部屋に戻り日課の毒キノコを食べる。まんぷく亭で食べた食事の味が変えられ、口の中はグチョグチョと気持ち悪い食感が残っている。エイラ少佐に文句を言う前に半強制的にスリープモードになった。
結局最後の締めは毒キノコで終わった。




