10話 剣熊と弔い
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外への入り口が開き。何年も使われていないため、ドア周辺から砂埃が舞っていた。砂埃を避けるように顔を下向きながら外に出る。外の風景を見ようと顔を上げるが見辛く確認ができない。
「埃が凄いな。外はどうなってるんだ......見えない」
呆れたようにエイラが答える。
⦅ロキ二等兵。暗視機能を解除しなさい⦆
暗視機能を使っていたのを忘れていた。そのため日の光が目に入って見え辛かった。暗視機能を解除するイメージをする。
「暗視機能解除......ふぅーーできた。見える外の風景が」
森の方に一歩一歩歩み身体で森林浴を感じる。身体全体で息をして森の香りと土の匂いを感じていた。自分がどこから来たのか確認するため視線を後ろに戻した。ドアの周りには木々が囲って落ち葉等がドア周辺に落ちていた。落ち葉等でカモフラージュをして分かりづらくなっていた。また発見したとしても開け方がわからないだろ。
身体で森を感じているが感覚的には1日ぐらいしか経ってない。しかし外の時間は2年程経っている。
周囲を見ながら呟く。
「まずはどうするか」
ロキの頭の中でエイラが助言をする。
⦅ロキ二等兵。ステータスを確認しなさい。先ほどの戦闘でlevelが上がってるはずです。サポートスキルの確認もしなさい⦆
「levelが上がった場合は世界の声やファンファーレは聞こえてこないんだ」
level時のことを考えながらステータス画面を表示させる。
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名前 ロキ
種族 混成鋼体
性別 男性
種族level level2 1アップ
職業 なし
称号 異世界人 転生者
HP 358 30アップ
MP 189 37アップ
腕力 47 10アップ
体力 41 6アップ
俊敏 55 13アップ
魔力 35 6アップ
精神 31 5アップ
装備
武器
右手 なし
左手 なし
防具
頭 なし
身体 ナノメタル変化服セット(身体・腕・足・靴)
腕
足
靴
アクセサリー
首 なし
腕 なし
右指 なし
左指 なし
魔法
なし
闘技
<正拳突き>
スキル
常時スキル
<闘気level1> <基礎格闘技level1> <身体操作level1> <自己治癒率アップlevel2>
発動スキル
<腕力一時向上level1> <俊敏一時向上level1> <闘技level1>
ユニークスキル
<完全適用level7> <負けず嫌い>
NS因子スキル
<生存本能level2> ??????
サポートスキル
<戦闘モードlevel1>
兵装
なし
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「levelが1上がってる。腕力と俊敏が二桁上がってる」
エイラもロキのステータスを確認している。
⦅ロキ二等兵。1levelアップですか、魔物の討伐数を考えればもう1level上がってると思ったんですが。しかしHP・MP・腕力・体力・俊敏・魔力・精神値が上がっています。全て上がると......興味深い良いデータが録れた⦆
「1levelアップ少なかったか次回頑張れば上がるだろう。よし次はさサポートスキルの確認」
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サポートスキル <戦闘モード>
説明 levelに適した能力でエイラの指令の元半強制的に精神力を高め戦闘に対する集中力が向上する。又腕力・体力・俊敏・魔力・精神値が上がり身体能力が向上する。
効果 10分間戦闘に対しての集中力が300%向上する。腕力・体力・俊敏・魔力・精神の値が50%向上する。クールタイムは60分 精神的・肉体的にも負担が大きい
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「<戦闘モード>かロボットみたいなスキルだけど、このスキルのおかげで助かった。戦闘中の集中力が向上するのはいいな。いくら転生システムの中で訓練したとしても実戦の緊張感が凄かったし複数の相手は身体が委縮して動けなかった」
⦅ロキ二等兵。<戦闘モード>はかなり強力ですが身体への負荷が大きいため、今後も私の指令の元スキルを使用します⦆
「はい。お願いします。戦闘後の疲弊がありましたので使いどころはお任せします」
ロキは自身のステータスを確認して動き出す。
森を探索して数時間経っていた。2年前に剣熊に襲われた時は発見できなかった事がわかった。エイラの指示のもと薬草やキノコ等を見つけ採取していた。
「これが薬草ですか」
見分けがつかないロキには只の雑草にしか見えない。
⦅薬草です。名称はヒール草です。そのまま食べたり煎じて飲んだりでHPが回復します。薬師や錬金術師のジョブやスキルがあれば、ヒールポーションが作れます⦆
「この草を食べればHPが回復するのか、このキノコは何ですか紫色で毒々しいですか」
⦅そのキノコは毒キノコ、後で食べなさい⦆
「はっ、毒キノコですよ」
⦅毒キノコを食べて耐性スキルを手に入れるためです⦆
毒キノコを食べろと聞いてふざけるなと思ったが耐性スキルが手に入るんなら食べるかと決意する。
「そんな方法で耐性スキルが手に入るのか」
⦅ロキ二等兵。良いデータが録れるでしょう⦆
「データですか、スキルを手に入れるためですよね。エイラ少佐」
⦅日本の四字熟語であるでしょう。一石二鳥。良いデータを期待してます。それとふざけるな聞こえますよ今回は不問とします⦆
子供をあやす様に伝えてきた。
「な......」
なにも言い返せなかった。言えたとしても多分意味はない。エイラとは転生システムの中で2年程一緒だった。エイラが決めたことは絶対だ。絶対に実行されると感じた。あとは毒で苦しまないと切に願った。
森で薬草やキノコを採取しながら探索していると大木が目についた。その大木に爪で引っ掻いた跡があった。
「この爪の跡は」
⦅間違いなく剣熊でしょう。そして真新しい爪跡です。剣熊の縄張りの印です⦆
剣熊と聞いて緊張が走る周囲を見渡し安全を確認する。近くに剣熊が見渡らないことに安堵する。
「いないな」
⦅ロキ二等兵。剣熊を討伐しなさい⦆
「えっ、どうして」
⦅剣熊との実戦データのためです。それに何度も対剣熊相手に訓練したはずです討伐は可能です⦆
「討伐可能か......何度も訓練したんだ」
転生システムの中で自分を殺した剣熊相手に何度も訓練していた。倒す目標として目指していた。
「エイラ少佐。剣熊を討伐します」
エイラに確認して気合を入れる。
「確実に討伐できるよ指示をお願いします」
⦅ロキ二等兵。確実な指令を下しましょう⦆
剣熊の縄張りから移動していた。エイラの指示のもと剣熊の足跡を見つけた。正直俺には見分けがつかないがなんとか足跡を辿っている。
足音を立てずに進みんでいる、たまにエイラから注意を受ける足跡ばっかり見ていないで周囲も警戒しなさいと指示を受ける。素人の自分には狩りの仕方はわかならないため素直に受け入れている。
剣熊の縄張りから数分程経った場所でエイラから丘の上に登り身を隠せと指示を受ける。
8メートル程の丘を登り近くにあった茂みに身を隠す。
⦅ロキ二等兵。丘から右下に討伐対象がいます目視しなさい⦆
丘の下に奴が剣熊がいる手に汗がつく息を殺しながら進み下をのぞき込む。
「......いた。奴だ」
2年前に襲われた剣熊だった。身体の大きさは変わらず特徴ある右目は傷で塞がっていた。左目が治っていた。俺が2年前に付けた傷がなかったと考えていた。
⦅剣熊のスキルでしょう⦆
「スキルですか......でも右目は治っていませんが?」
⦅治せないのが正確です。あの傷は決闘で負けた証になります。誓約で誓った決闘ではルールがあります⦆
「誓約で受けた傷は治せないか」
あの時のように右目は死角になってる弱点だと思った。
剣熊を見ながら戦い方を考える。真正面から戦う。あり得ないこれは試合ではなく殺し合いだ。一撃で仕留める程甘くはない。だが奇襲による最初の一撃で行動限定させたい。転生システムの中で何度も剣熊相手に訓練したパターンを思い出す。
大事な事を思い出した奴は魔法を使う、あの咆哮を先に潰したい。色々と作戦を考え俺の力で討伐したいと考えていた。だが実戦はそんなに甘くはない間違えれば死ぬ確実に討伐するため答えを出した。
「エイラ少佐。サポートスキルのファローお願いします」
⦅ロキ二等兵。それが答えですか⦆
「確実に討伐するためです」
⦅ロキ二等兵。指令を下しましょう。準備ができ次第討伐を開始します⦆
丘の上で立ち上がり戦いの準備を始める。
「エイラ少佐。指令をお願いします」
⦅<戦闘モード> 開始。指令剣熊を討伐せよ⦆
剣熊を討伐することだけを一点に集中した。
「行きます」
丘から飛び降り<闘気>と<腕力一時向上>スキルを使用する。飛び降りた勢いのまま剣熊の左肩を足で破壊する。
突然左肩からグチャと嫌な音が鳴り左肩の骨が粉砕され肉が抉れ破壊された剣熊は絶叫した。
剣熊の左肩を破壊した衝撃を利用し宙回転をして落下速度を低下させて地面に着地した。
痛みで絶叫している剣熊に向かって挑発する。丘の上で落ちてた石で剣熊に投げた。剣熊は怒りの表情でうねり声と共に睨みつけてきた。
「借りを返しに来た」
馬鹿にした感じで挑発を続けた。
剣熊は怒りのまま額の角を最大に伸ばし突進してきた。
ロキは剣熊の動きを注意しながら<俊敏一時向上>スキルを使用して俊敏値を向上させ突進を回避する。身体全体を右に避ける。足に力を込めて一気に近づき左手で剣熊の角を掴み、根本部分にーー<闘技>”正拳突き”ーーを与えた。
見事、角は破壊され左手で掴んだまま、身体を回転させて剣熊の角を剣熊の喉に刺した。刺した角に攻撃を与え深く角で刺した。痛みのまま暴れいる剣熊の腕がぶつかり吹き飛ぶ。特にダメージもなく直ぐに態勢を整える。
戦闘態勢を整えながら剣熊の様子を見る。痛みで暴れまわり喉は角で潰され空気が空いたような声が聞こえてくる。次第に動きが遅くなり膝から倒れ動かなくなった。
ロキは動かなくなった剣熊を数分待った。獣の中では死んだふりをして攻撃をしてくるものもいるので警戒した。石を投げ反応を見たが動かなかった剣熊は絶命したようだ。ロキが警戒しているとエイラの声が聞こえた。
⦅<戦闘モード> 終了⦆
肩から力を抜け安堵した。
「作戦通り討伐できた」
何度も剣熊の訓練してわかったことは短気。剣熊の特徴はキレやすく動きが単調になる。まずは左肩を破壊して攻撃の選択を減らした。そのあと挑発して突進をさせる。脅威である剣熊の角は伸びきると強度が弱まることを知っていたのでスキルで破壊した。咆哮や魔法を防ぐため角で喉を刺して咆哮を防ぐことができた。
⦅ロキ二等兵。見事でした剣熊の討伐完了です⦆
ロキはエイラの指示のもと剣熊を解体している。使える部分の角・牙・爪・魔石を回収した。他の皮や肉をそのままにした。他の魔物が食べるだろう。そういえばここまで移動するのに時間もかかり戦闘もしているのにお腹が減らないし喉も乾かない。疑問に思ってるとエイラが話しだした。
⦅ロキ二等兵に食事は必要はない。マナで身体を補っているため食事は必要ない⦆
「そうかもう人間じゃないから必要ないのか。うーーーーーーん食べるの好きだったのにまぁ、便利だからいいか」
剣熊の解体が終わり、あたりを確認すると人骨が見つかりその周辺を探すと少し古くなった荷物が見つかった。ここは剣熊の住処で戦利品として遺体と共に荷物も持ってきてたのか。
使える物はないか探しリュックサックや手提げ袋を見つけた。リュックサックと手提げ袋に魔石や魔物の素材を入れた。そして財布の中から身分証がわかるものを抜いた。
丘の上に登り中心に大木があり、その目の前を2メートルほどの穴を荷物から拝借した金属製の板で掘り続けた。掘った穴に人骨や荷物を入れ埋めた。その上に<腕力一時向上>スキルで運んだ大きい石を墓石代わりにした。墓石に身分証に書いてある名前を剣熊の爪で何時間も一夜中削っていた。
墓石の名前掘りが終わるころには朝日が上がっていた。この世界の太陽も一つのようだ。泥だらけになった顔や身体で墓石に向かって深く一礼する。
「みなさんの仇は討ちました。俺も死んだので俺にとっても仇討ちです。墓石にみなさんの名前を彫らせて貰いました。こんな事しかできませんが安らかにお休み下さい」
もう一度深く一礼し後ろを振り向いて歩き出しだ。
「エイラ少佐。一日付き合ってくれてありがとうございます」
⦅ロキ二等兵。実に興味深い行動だった。荷物を回収して森を抜けるぞ⦆
「はい。エイラ少佐」




