9話 探検と戦闘
外に出る前に必要なものはないか見渡す。部屋に置いてある物は鉱物や金属があり綺麗に棚に並べてある。他にはオオカミ、コウモリ、ネズミ、サルの獣の魔物骨模型が置いてある。オオカミの頭やサルの頭部分のホルマリン漬けがあったり金属と融合したネズミやコウモリ等もあり正直気分が悪い、悪趣味だ。あちこち部屋の物を見ているとエイラの声が聞こえた。
⦅ロキ二等兵。なにを見ているんですか? 私は悪趣味ではないです⦆
「エイラ少佐。使える物はないか探してたんですが、この魔物の頭とか気持ち悪いですよ」
⦅ここに置いてある物は実験に失敗した魔物ですよ。データを手にいれるために保管していただけです。ロキ二等兵も失敗してたらデータを録る為に解剖してからホルマリン漬けでした⦆
ロキは解剖と聞いて言葉を失い、勇み足でこの部屋を出ようとする。
「えっ......失敗してたら解剖......ここにいたくない」
⦅ロキ二等兵。少し待って下さい。この施設のナノメタルを全て回収します⦆
部屋のあちこちから複数の機械音が聞こえてくる。そして目の前に白いモヤが現れてナノメタル達が白いモヤの中に入っていた。
「ナノメタルはどこに?。それにこの白い物はなんだ?」
⦅ロキ二等兵。私のスキルでナノメタルを圧縮して回収しただけす⦆
スキルに興味を持ったので興奮して質問する。
「スキル名はなんですか。どんな効果があるんですか。エイラ少佐」
⦅ロキ二等兵。上官である私のスキルは教えられません⦆
「少しぐらい教えてくれてもい――――」
冷淡できつい言い方で話しかけてくる。
⦅ロキ二等兵。上官に対する態度ではないです。それとナノメタルの回収は終わりました。移動を許可します⦆
しぶしぶ顔を傾き歩き出す。
「わかりました。エイラ少佐」
乱雑に物が置かれている部屋を歩き通路の壁を見ると古い血の跡があった。
「あ、この赤い色は? もしかして自分の血か?」
血の着いた壁の前にしゃがみ込み、手で壁を触る。
「ここで死んだのか...」
⦅ロキ二等兵。前のあなたはここで死にました。今のあなたに関係ないことです。前に進みなさい⦆
「ん、少しぐらい――――」
⦅――――ロキ二等兵。前に進みなさい⦆
「わかりました。エイラ少佐」
自分が死んだ場所を後にして通路を壁伝いに歩き続けていると、たまに古い血の跡が見える。
数分歩き続けていると広い広間に出た。周りを見渡すとここでも物が乱雑に置かれていた。どうよらエイラは整理整頓ができないみたいだった。
山の様に物が置かれいる上、天井を見ると地割れのような穴が開いていた。
「もしかしてあそこから落ちてきたのか?」
天井の地割れれ部分の穴をみていると。
⦅何故あそこに穴が......詳細不明⦆
「エイラ少佐でも原因が分からないか。それにしてもこのゴミの山のおかげで助かったのか。まぁ、結局は死んだけどな。こんだけゴミがあるんなら使えそうな物があるかなとキョロキョロと周りを見渡す。
「うーーーーーーん。物は多いけど碌な物が落ちていないな。こんな棒切れなんに使うんだ、途中で折れてるから武器にも使えない。これじゃゴミ屋敷だな」
使えそうなものはないか探してみるがガラクタばっかりである。
⦅ロキ二等兵。それは直せば使えます⦆
「えっ、この棒切れですか? 直して何に使うんですか」
⦅今は使えなくっても後で使うときが来ます⦆
「エイラ少佐、もしかしてここにあるのは――――」
⦅ロキ二等兵。前に進みなさい⦆
「エイラ少――――」
⦅ロキ二等兵。前に進みなさい⦆
ロキは何かを悟り無言で歩き出す。
ガラクタが散らばっている部屋を歩き目の前に固く閉ざされているドアを見つけた。
⦅ロキ二等兵。あのドアが出口です⦆
「ようやく出口か、ゴミが邪魔で歩き辛かった」
⦅ロキ二等兵。前に進みなさい⦆
ドアの前に着き。ドアを確認する。鉄は詳しくはないが初めて見る金属だった。ドアの一部が光り幻想的に見えた。
「どうやって開けるんだ。ドアノブが見当たらない? 押しても引いても駄目だ」
ドアの前で必死に開けようとするが開けられないと途方に暮れていると、エイラの声が聞こえる。
⦅ロキ二等兵。今から言うことを復唱しなさい⦆
「えっ、はい」
⦅アクセスキー 192847⦆
「アクセスキー 192847」
ドアから機械音が聞こえドアの中心から徐々に穴が広がって開いてきた。開いてきている穴を見ていると自分が恥ずかしくなってきた。
「エイラ少佐、ドアの開けたか早く教えてくれませんか。意味がなかったじゃないですか」
⦅ロキ二等兵。前に進みなさい⦆
「は~~。進みますよ」
ドアの外を出る。目の前は壁で左右が通路になっている。通路を見ると明かりなどはなく真っ暗で先が見えない。
「真っ暗でなにも見えないな。エイラ少佐明かりは付かないんですか?」
⦅明かりは付けらない。ドアから先は何千年前に廃止しているので明かりは付けられない。
復旧するには修理型ナノメタルが必要だ⦆
「修理型ナノメタルは?」
⦅全て使用して壊れた⦆
「なんで修理型ナノメタルが壊れたのか理由は聞きませんが明かりを付けないと......松明でもあれば」
⦅ロキ二等兵。松明は必要ありません。目の機能に暗視があるはずです。使ってみなさい⦆
目の機能と言われ動揺する。
⦅ロキ二等兵。あなたはもう以前の人間ではありません。今は新しい種族の混成鋼体と進化してます。鋼体生命体であるなら使えるはずです。鋼体生命体は標準の機能として備えられていました。暗視機能は切り替える感じで使えるはずです⦆
エイラに暗視機能の使い方を聞いて瞳に集中してイメージをする。
「切り替える。目を瞳を切り替えるイメージを......暗い中でも見える......切り替えるイメージ。おぉぉ、できた。凄い見える通路が見える」
目に暗視ゴーグルを着けた感じで真っ暗な空間でも見えるようになった。
「見えるようになりました。エイラ少佐」
⦅うまく切り替わったようですね。前に進みなさい⦆
「では左右どっちが出口ですか」
⦅どちらからでも出口に繋がっています。壁伝いに歩けば上に行く階段があります⦆
道に迷うのはごめんだから右手法を使って歩き出す。右側の壁を見ながら壁沿いに歩き出す。
通路の壁沿い歩いてるとどこからか鳴き声が聞こえてくる。周囲を確認すると通路の端になにかいる。「あれは牙ネズミかずいぶんでかいな。訓練の時はもう少し小さかった」
ネズミの大きさが地球の大型犬ほどだった。
⦅ロキ二等兵。魔物の大きさは環境やマナの濃さによって変わります。訓練で覚えてると思いますか牙ネズミの特徴は鋭い牙と素早さです。訓練と実戦は違います気を付けなさい⦆
「ふぅー初めての実戦か」
短剣や武器も無いので素手での戦いになる。相手はまだ俺に気が付いていないので一撃で仕留める方法を考える。
「こちらに気が付いていないなら<闘気>スキルで身体能力向上させて<俊敏一時向上>スキルで素早く移動して攻撃をする。何度も訓練したんだ行くぞ」
息を整え、前屈みになって右足に力をいれる。<闘気>と<俊敏一時向上>スキルを使用する。身体能力が向上した。牙ネズミに向かって素早く移動する。牙ネズミはまだ気づいていない。右拳を握りしめる。牙ネズミのの顔面に向けて全力攻撃をする。
《<闘技> を獲得しました》
《<闘技> ”正拳突き” を獲得しました》
世界の声が聞こえ。
獲得した正拳突きが牙ネズミの顔に当たると威力が高すぎたため破裂し牙ネズミの残った身体は壁に激突した。
「うっ、うわ、なんだ」
突然、世界の声が聞こえ<闘技>と<正拳突き>スキルを覚え威力の高さに驚いた。
「あんな風にスキルを覚えるとは思わなかった」
この世界に転移して初めて世界の声を確認した。以前は死ぬ寸前で聞こえた声なのでまともに聞いたのは初めてである。
「凄い威力だった。<正拳突き>スキルはまさか牙ネズミの顔がはじけ飛ぶなんてこれがスキルか。でもなんで<正拳突き>なんだろう」
⦅新しいスキルの取得おめでとう良いデータが録れた。スキルの獲得は不明が多い、その時の能力に反映して<闘技>や<戦技>スキルを獲得する⦆
エイラの説明を聞いながら<正拳突き>の説明を確認した。
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発動スキル <闘技>
説明 levelに適した能力で習得した技の攻撃力を上げる。
効果 使用した技の10%攻撃力を上げる。
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発動スキル <正拳突き>
説明 levelに適した能力で強力な一撃を敵に与える。
効果 腕力値の3倍を敵に与える。クールタイム60秒
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「<正拳突き>スキル強い連続使用はできないけど3倍ダメージだ」
スキルの説明を見て喜んでいたがのんびりしすぎていた。牙ネズミの血の匂いに釣られて魔物が寄ってきた。ウルフとビックバッドが後ろから現れ、前からは猿の魔物の棍棒猿が現れた。
オオカミ型の魔物ウルフは体長は地球にいたオオカミと同じサイズで群れでの狩りが特徴だ、ビックバッドは中型犬ぐらいのサイズで吸血攻撃が特徴だ。この中で最も危険なのは棍棒猿である。特徴は大きさはチンパンジーと同じ大きさだが片手しかなく、だけど大きさが異常で棍棒の様に見え、棍棒の腕で叩かれるとかなり危険である。こいつらは群れで狩りをする。
後ろを確認するとウルフが6匹現れ、天井にはビックバッドが3匹いてこっちの動きを見ていた。前にいる棍棒猿は8匹現れ逃げ道を塞がれ絶体絶命になる。
「一難去ってまた一難かよ。なんでこんなに魔物がいるんだ」
あきらかに動揺してるロキに向かって一斉に襲てくる魔物。
攻撃を躱し続けるが、数の暴力には勝てず疲弊してきた。スキルを使って打開しようと思った時にエイラの声が聞こえる。
⦅ロキ二等兵。スキルを使用してファローします。憑いてきなさい⦆
エイラの声が今までと違い頼もしく感じた。
<戦闘モード 開始>
エイラの声を聴き終えたと同時に今まで乱れていた精神が治り、戦闘の集中力が増し力が漲ってくる。
後ろから襲ってきた棍棒猿の攻撃を横に避け、棍棒猿の腕を捕まえ一気に引き千切る。痛みで絶叫する棍棒猿の声を潰しそのまま、目障りなビックバッドに投げる。勢いよくぶつかり、衝撃で落下するビックバッド達、落ちたところを棍棒猿の腕で頭を潰し絶命させる。恐怖で動きを固めたウルフと棍棒猿を強襲した。
10分後全ての魔物を倒し終わった時にエイラの声が聞こえてくる。
<戦闘モード 終了>
終了と同時に張り詰めていた肉体と精神が押し寄せてきた。膝から倒れ息を切らした。身体と脳が酷く疲れた状態だ。
⦅ロキ二等兵。限界時間ギリギリでした⦆
ロキは息を切らしながら質問する。
「今のはなんですか? 身体が酷く疲れている」
⦅サポートスキルの<戦闘モード>です」
「サポートスキル?」
⦅ロキ二等兵。ステータスにサポートスキルがあったでしょう。私はロキ二等兵に移動してから身体を調べていました。その結果サポートスキルの<戦闘モード>を取得することに成功しました⦆
「ずっと調べてたんですか」
⦅緊急事態なので説明もしないで使用しました。<戦闘モード>スキルは半強制的に戦闘への集中力を高め身体能力の向上させるスキルです。身体の操作をしやすいように私がファローをしています。強力な力ですが問題があります。脳や身体への負担が大きい事です。後で自分でステータスを確認して下さい。今は体力が戻るまで休憩して下さい⦆
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30分ぐらい休憩していたが魔物に襲われることはなかった。冷静になった頭で考え事をしていたら魔物達はどこかで見たことあると思い出していた。
「それにしても4種類の魔物がいるなんて。話しに聞いたダンジョンみたいだ。でも違うか......最近あの魔物を見たことがあるような気がする」
⦅ロキ二――――。⦆
ロキがエイラの声を遮る。
「――――あーーーーーー実験室で見た、魔物の標本だ。エイラ少佐」
⦅ロキ二等兵。なにが言いたい⦆
「エイラ少佐。魔物の廃棄はちゃんとやったんですか」
⦅ロキ二等兵。良い実戦データが録れた。魔石を回収後、移動を開始する⦆
「エイラ少佐。誤魔化さないで――――」
⦅――――ロキ二等兵。私語を慎め。魔石を回収せよ。直ぐに移動する⦆
理不尽だと思いながら魔物から魔石を回収する。魔石は貴重な資源だ。なにかの役に立つだろう思いウルフの牙を使い魔石を回収した。
魔石を回収後、移動を開始し壁沿いに歩き階段を発見して上に上がって行く。他の階のフロアを探索せず。まずは施設を出ることを優先して移動を続けた。何度か戦闘があったが1匹か2~3匹だったので苦労せず倒していった。
移動続けること数刻、目の前に広場にあった同じドアを見つけた。
「エイラ少佐。アクセスキーを教えてください」
⦅336419⦆
「336419」
復唱すると目の前のドアが開き始めた。
ようやく外の光が見えてきた。日の光が見え安堵した。約2年ぶりの日の光である。




