実業家としてのキシロー:5
面白いことに、プログラムの出来を『スコア』で表示し、ランキングがあり、上位の者には昇進や昇給があったという。
「仕事がゲームみたいに面白かったらいいのに」
キシロ―の理想だったそうだが、実際にやる行動力は目を見張るものがある。
一度そのランキングを何者かが外部から操作を試みた跡があったとかで騒ぎになったが、振り帰ってみればランキングが公平だったことの証明にしかならなかったように思える。
仕事がゲームみたいといえば、会社を大きくするためインターネット事業にも手を出し、まずしたことはHTMLタグなどを(HPを作るために使う言語らしい)をタイピングゲームにして覚えやすくすることだったらしいから徹底している。
変わったところでは、自社以外のゲームや本等を買うと『手当』があるようだ。自社以外でも面白いゲームをやれば、あるいは面白い本を読めば、それだけ面白いゲームが作れる、という話らしい。
あにまる☆えっぐのヒットにあぐらをかかないためにも、他のシリーズも沢山出している。
同志に何年も愛されてたシューティングゲームの版権を買い、その行為には反感もあったようだがともかく続編を作った。
「ファミコンっぽい」
が褒め言葉になるようにしたというそれは、温かく見守られるようになったりもした。
「っていっても僕ファミコンリアタイじゃないんです、動画サイトで見たかなぁ」
とは本人の談だ。
震災の時は、ゲーム内で会話できることで連絡がついた例も報告されている。
幸い自社ビルは大丈夫だった。
社員に被害者も出たが、「前も向かず、後ろも振り向かないで」目の前の仕事だけをしていた。もちろんやれることはやったが、基本的にゲームの会社であることは忘れないようにしたらしい。
他にもRPGやアドベンチャー、しかし他の会社でもそうだが、もんすたぁの本質はそのゲーム会社としての資質ではなく社会貢献にあるように思える。
もんすたぁでは障がい者枠がない。なぜなら皆障がい特性によって向いている仕事が違うし、同じ障がいでも各々向き不向きがあるというのがその理由だそうだ。
そればかりではなく、障がいのある子供を預かり教育する施設も手掛けているという。また性的少数者、及び障がい者の出会う様々な問題をこまめにサポートする自助グループとも提携し、できるだけ一人で困難に立ち向かわないようにすることをモットーにしている。
これは、キシロ―自ら性的少数者の為、一人で悩んだこともあった時に『あったらいいな』と考えたものだという。
理想はおおむねわかった。
その理想に向けて働くことは、賛否両論あったようだがうまくいったこともあった。
死屍累々だというIT企業においてまだ会社が残っているのが何よりの証拠だろう。




