実業家としてのキシロー:4
男性は灰皿を手前に寄せ、煙草に火を付けて続けた。
「あの騒動の時はねぇ、社長みないな、と思ったらそんなことになってたのかって感じで。でもまぁ、オーナー変わって良くなったことも多いし、僕は断然会長派だね。まぁやっぱりなんのかんの言って経歴だよ、経歴。例えば社長の時は毎年障がい者枠で募集してた、でも今は実力主義、毎年じゃない。
え?差別?違うよ?区別だよ。
だってちょっとの違約金払えばいいんだし、ちゃんとそういうとこには寄付してるし。
やっぱバリアは大事。僕もねぇ、社長がFTMゲイって聞いて『えぇっ!!』って思った。会社にいるなとは言わないけど、関わりたくなかった。
狙われたらどうしようって女の子に相談したら『それはそれで』って馬鹿か!って思ったよ。
だってなんのかんの言って、いくら社長です、性自認は男性ですなんて言われても、ほら、ねぇ?
逆に会長はわかってる、ちゃんと若い女の子入れたよ」
キシロ―が捕らわれたのは、もんすたぁ社員の彼が話しから感じるような無神経さだろうか。
私は若干不快に思ったが、
「若い女性でもプログラムが出来れば戦力になりますからね」
と話を合わせた、しかし
「わかってないなぁ」
とため息をつかれた。もんすたぁ社員のなかにもキシロ―の理想に憧れてではなく、あくまで糊口をふさぐために入った者もいるということだろうか、それが悪いとは思わない。
取材を終えて、私は四季報等いくつかの資料をもとに図書館でもんすたぁに迫った。
四季報は貸出し禁止で、図書館でコピーした。またいくつかの関連書籍もあった。
それらを元に、キシロ―の会社の実績について書こうと思う。
キシロ―が友人を巻き込んで少ない資本でもんすたぁを始めたのは書いた。
下請けから、オリジナルも手掛け株式公開、『あにまる☆えっぐ』が有名。
社長のキシロ―の考えからか、『PCよりもスマホで仕事』がモットー。
実際もんすたぁはプログラムを勉強するアプリを開発するなどし「仕事が面白い」を合言葉にプログラムができない非正規社員等を教育し、取り込み、育っていった。
何人かはもんすたぁのアプリで学んだことを他で活かし、あるものはキシロ―のように自ら起業した、ITバブルは遠い昔だが、それでも仕事はあったようだ。
実際プログラムは「言語」であるので、ややキーボードに我慢すれば、スマートフォンでできないことはないらしく、出来たらメールで送ればいい、このアルバイト兼新人教育に若者は飛びつき、SNSに反応のない書き込みをしているより収入があり知識やスキルが補えると評判になった。




