実業家としてのキシロー:3
彼のメールを原稿に写していると、私の携帯が鳴った。
○日新聞からだ。
「もんすたぁ社員さん取材許可出ました、今から喫茶店来れます? ××」
えてしてそういうものだが、これで取材を終わろうと思っていたら二回目の許可が出た。
私は早速支度して待ち合わせの喫茶店へ向かった。
喫茶店には、メールを送ってくれた同僚と、三十代らしい若者が席に座っていた。プライバシー保護の観点から男性という以外特に特徴は書かないこととする。
「始めまして、お越し頂きありがとうございます。○日新聞の○○です」(名刺を出す)
「・・・社長になんの用ですか記者さん?また何か?」
男性は自己紹介もせず名刺をしまうと明らかに苛立って言った。
「あ?えぇっと、社長?」
「現社長は『会長』キシロ―さんは『社長』、社員のジョーシキ。
何?あれだけ叩いといてまだ足りない?もっと他にネタないの?」
どうやら、モモさん同様、ここ最近の過熱する報道に飽き飽きしていられるようだ、
「叩く為ではないです、むしろそれを反省する自戒の意味も含め『誰かを待ちながら』というキシロ―現象を取り上げた本を考えている所です。
つきましては社員の皆さんにもインターネットにない話等を話して頂きたく・・・」
私は簡単にこの本の事を説明した。
「ネットに乗ってないことねぇ、一応うち(もんすたぁ)IT企業なんだけど?あぁ、社長の本(『空の飛びかた』のことか?)もねぇ、あんなことで飛べるって言われても、オタク信じる?」
男性は私を睨んだ。
「私は、あれで空は飛べると思いますよ。また匿名性が高いとはいえ、インターネットでは言いにくいこともあるかと思いますけどどうでしょう?」
私があっさり答えると男性は神経質風に首をかしげ、足を組んだが
「まぁお宅はそうだろうけど、僕はそう思えなかったな。なんかごまかされた感じだった、社長にはもっと、『飛んで』欲しかった」
ようやくもんすたぁについて話してくれる気になったのだろうか、男性はアイスコーヒーを一口飲んで続けた。
「僕より若いよね、最初はなんで、『こんなんに使われなきゃならないんだ!』とか思った」
正直に、第一印象を述べてくれ、角砂糖入れから角砂糖を一つ食べて続けた。
「だから馬鹿正直に言ったんだ『年下じゃないですか、どっちが経験ある?』って、そしたら社長『あぁ、そうですね。僕経験無いです』派遣上がりの平社員な俺にへぇこらしてんの、馬鹿か!って、そっからちょっとずつ腹をくくって話すようになって・・・」
ちょっとずつ、話してくれた。
「社長のいいとこは『ほっとけない』とこ、業界の常識にホント疎くって、なんかみんなカバーしちゃうんだよなぁ。欠点も一緒。
そこいくと会長は頼りになるんだ、やっぱ実績ある人は違うね」




