涙きっと枯れないけれど-ラピスside-
しばらく更新が出来ずすいませんでした。
これからは暇な時間に更新していくので、不定期更新になると思います。
だきしめられた時のあたたかさに、おかあさまを思い出してなみだがあふれた。見ず知らずの人なのにどこか安心したのはなぜなのか私にも分からないけれど、それでもこの温もりが本当なのは明らかで。
私がその人の名前を聞いたのは、ながれつづけていたなみだが止まった後だった。
「私はアリィナ。君と同じ、四族の血を引く人間だ」
旅をしている、とアリィナさんは目を細めて言う。
理由も目的も話してはくれなかったけれど、細められていた目はどこか遠くを見ていた。
だから何も聞かない。
「これから君はどうするんだ?」
家はなくなった。村もなくなった。
おかあさまを亡くした。村のみんなも亡くした。
こわれたモノ達は元にはもどらない。
どうするの?
──分からない。私はどこにいるべきなのかが。
たよれる人はいない。…私にとって村の皆はすべてだった。
むやみに人にそんざいを知られることが無いように、ひっそりと森の中で生きてきた。
おとうさまは人がたくさん住んでいる「王都」で生まれたと小さいころにきいたけれど、おとうさまのおとうさまとおかあさまに会ったことは一度もないし、顔だってわからない。おとうさまの顔だって、私はほとんど覚えてない。
ただ、やさしく私の名前をよんだ声と私と同じ目の色をしていたことだけははっきりと覚えている。
私はが一人で生きていく方が、せかいのためになるのかもしれない。でも私は一人で生きる方法を知らない。
力をもってないから。
弱いから。
ちっぽけだから。
“姫”は私のことだと、おかあさまは言っていた。
それなのに私は…。
ぐるぐると、いろんなことが回っている。
…もう、やだよ。あんな思い、したくもない。
「力が、ほしい」
そう小さくつぶやくと、アリィナさんは少しおどろいたように私を見た。
「アリィナさん、私を…弟子にしてくれませんか。私はもう、あんな思いをしたくないです。だから」
まもるための、うしなわないための力がほしいです。
でもそれは、きっとただのたてまえ。
こわそうとするすべてを、私はゆるさない。
だから…。
「…君は、本当にそれでいいのか。後悔したりしないのか?」
「………」
「力が欲しいという気持ちを否定はしない。だが力を得ることは、同時に多くのものを背負う事になるということだ。それはまだ幼い君が背負うべきものではないと、私は思う」
アリィナさんは悲しそうな顔でそう言ったけれど、それでも、私は“姫”だから。
「たぶん、このせかいでいちばん大きなものを、私は背負ってるんです」
アリィナさんだって、分かってるはずだ。
私と同じ、四族なら。
「君はまだ幼いというのに…」
「それでも、私が“姫”であることはかわりません」
私のかわりはいないから。私はまだこどもだけど、きっといつか、たたかうことになる。
さけることができないのなら、私はせかいのために強くならなきゃいけない。
それは、私の生きる意味だから。




