敬愛する師匠へ
2章完結です。
間章を挟んでから3章に移ります。
師匠の手紙、読みました。
私の事を想ってくれたという事実だけで、嬉しくてたまりません。
けれど、今私の中にあるこの気持ちをどうやって伝えたらいいのか分からないので手紙を書きました。
昔の私は狭い世界で生きていたんだと、今の私は思っています。元々人々に存在を悟られないように生きるのが四族であったし、私はそれを疑問に思った事もありませんでした。村に年の近い人はいなかったけれど、それでも大切な家族と村の皆と過ごす日々は穏やかで幸せでした。
全てが壊されたあの日が来るまでは。
師匠と出会ったとき、正直不安でした。知らない人が怖くてたまりませんでした。
けれど、師匠と過ごした三年間で沢山の事を学びました。強さとは何かを知りました。人々の営みを知りました。
そして、愛情を貰いました。
温かく優しく、時に厳しい。そんな師匠が私は大好きです。
師匠が最後に言った「憎しみで行動するな」という約束はまだ守れそうにないけれど、いつかしっかりと前を向けたらと思っています。
私には今、大切な仲間たちがいます。
一人として欠けてはいけない、欠けさせたりなんかしない位に大事な仲間たちが。
だから、安心して見守っていて下さい。
私は孤独ではなく温もりの中で生きています。
後悔をしてばかりで、どうしようもなく苦しい時もある。
それでも、それら全てが今の私の一部であると感じているから、この運命を呪ったりしません。
師匠、今までありがとうございました。
私は今、とても幸せです。
敬愛する師匠の弟子、ラピス
=============
窓を開け、私は火を使って書いた手紙を燃やした。
灰が柔らかな風に乗って飛んでいく。
目指すは大空。
天の向こう側。
(師匠に、届きますように)
手から最後のひとつまみが風にさらわれて舞い上がる。
これでいいのだと。
(私は絶対負けない。…どんな理不尽が待っていても)
瞳に、炎が静かに灯った。




