25話ー推測
ヒカルを紹介した後、報告会は始まった。
各グループが調べてきた情報がどこまで正確なものなのかを確かめる為でもある。
それぞれが東西南北に分かれ、皇国を守護する力の源が隠された祠を巡っていた。
…例外として、ラピス達は里に赴いたが。
報告の内容を纏めるとこうだ。
北の山の“黒の祠”の首飾り。
南の洞窟の“朱の祠”の耳飾り。
西の遺跡の“白の祠”の指環。
東の杜の“青の祠”の腕環。
それら全てが本来置かれるべき台座の上に置いていなかったのだ。
台座の近くに落ちていたものの、これらは台座の上に無いと只の装飾品である。
台座と依代は対。二つが一つ。
何者かが故意的に台座から依代を落としたのは明らかだ。
「どうすれば……」
ぽつりと呟いたのはブランシェだ。
依代は魔族やそのチカラを持つ者が触れたり壊そうとすると、防衛本能からか敵の身を侵す。
奪い去られたり破壊されたりしていない以上、魔族が関係しているのは明らかである。
しかしこちら側にとって、魔族は神出鬼没でどこにいるのかさえ分かっていない。
台座に乗せて来た依代がいつ動かされてもおかしくは無いのだ。
「私たちに出来る事は、何もないよ」
口を開いたのはラピス。
カラギアとブランシェを「分かっているでしょう?」と言わんばかりにじっと見つめると、部屋を出て行ってしまった。
「…そうね」
「お前ら、もう報告の時間は終わりだ。戻っていいぞ」
「なっ……」
唖然とする周囲を放置して、解散が告げられた。
ガサリ、と茂みが音を立てる。
「ここに、負の存在がいるの?」
ラピスは傍らのシュリに問いかける。
確かに感じる“善くないモノ”の塊の気配からか、確信に満ちた声で。
『いるよ。…絶対に外に出してはいけないモノが』
返事は、硬い声だった。
端から見れば何もないように見えるだろうが、二人の目にはしっかりとその宮が見えていた。
___隠されし四つ目の宮、悪霊という負の存在を封じ込めた牢獄。
それが此処“ヒイラギの宮”。
ラピスは誰に教えられた訳でもなく見つけてしまったこの場所の封印が溶けかかっている事に気づいてしまった。
そして決めたのだ。
負の存在を分かつ事を。
負の存在とは、全ての者の負の感情が集まって生まれたモノであり、其故に完全に消し去る事は出来ない。
ならばどうすればいいのか。
答えは実に単純明快だ。
「……いくよ、シュリ」
『気を抜いたら、殺されるよ。負というモノは他人を殺すことで強くなる』
一歩、足を踏み出した。




