23話ー隠された苦悩と面影
目を開くと飛び込んできたのは、アネモの泣きそうな顔だった。
『ラピスっ!!』
「また私、気を失ってたんだね…」
少しだけ疲労感の残る身を起こし、ラピスは自分の弱さに落胆した。
これからはもっと小さなチカラから使い始め、体を慣らしていくしかない。
然るべき時、満足にチカラを操れるように。
「…私、どれくらい寝てたの」
『半日って所だよ』
ラピスはため息を吐くとベッドから降りた。
倒れたとはいえ、魔族と戦った時のような痛みは無かったからだ。
『ちょ、ラピス!?』
「もう平気だから。…それに早く行かなきゃ」
『加護の受け渡しは終わったんだから、ゆっくりしてくれても大丈夫なのにー』
「里にいる皆にいるマスターやグランドマスターに悪いから」
口を尖らせながらも、ラピスの言葉にアネモは嬉しそうだった。
そんなアネモの様子にラピスは首を傾げる。
「どうしたの?」
『ううん、ラピスにも大切な仲間が出来たんだなって思っただけ』
「じゃあ、そろそろ行くね」
ラピスは支度を終え、城門で四人に別れを告げた。
『…魔族には気をつけて』
『危ないと思ったらすぐにこっちに来てくれて構わないぞ』
『ラピスー、また来てね?』
『精霊達にはお前が来たら協力するように伝えてある。無理はするなよ』
ネライダ、ピュール、アネモ、ガイアは名残惜しそうにラピスを見つめる。
『あ』
ネライダは何かを思い出したように声を上げると、ラピスに耳打ちした。
『魔族の長に会ってしまったら、すぐにこっちに転移して』
「………え?」
トン、と呆然としたままのラピスの背中を押しネライダは手を振った。
ラピスは光に包まれ、アオバの里へと戻っていった。
『君は、どうして変わってしまったんだ…?オーウェン』
苦悩を秘めたネライダの呟きは、精霊界の空に溶けていった。
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「長いわね…」
「まぁ、少なくともここにいるよりは安全だ。心配しなくても平気だろ」
アオバの里の里長の家で、ブランシェとカラギアはラピスの帰りを待っていた。
心配で気が気ではないブランシェにカラギアが声を掛けても、彼女は応答しない。
(…やっぱりあいつらの子供だな。過保護な所も良く似てる)
彼の脳裏に浮かんだのは自身の親友と従姉の姿。
今は亡き二人を思って、カラギアはため息を吐いた。
___タンッ
「ありがとう、リラ」
『お気になさらず、姫。…里長の許へ行きましょう』
「そうだね」
祭壇から降り、二人は歩き出した。




