22話ー加護
ネライダの言葉に偽りは無く、5分と掛からないうちに準備は終わった。
四柱の精霊が自然を操る際に使われるチカラの間。
其処から加護を贈ることになった。
四柱の精霊の色が散りばめられているのに、派手という印象は無い。
『加護を贈る唄…祝福の唄は知っているでしょ?』
「うん……いつでも平気だよ。私の準備は出来た」
ラピスの言葉にネライダは力強く頷いた。
『皆、魔法陣の上に』
間の中心に描かれた魔法陣の上にラピスが立つと、四人は四方に描かれた魔法陣の上で意識を集中させた。
ラピスは深く息を吸い込み歌声を響かせる。
【神亡キ世界 かつて栄えた楽園
此処に祝福を与える者は居ない
神に代わり 唄うは姫
受け取るは精霊
精霊は庇護下に入る
姫以外の者が精霊を犯すことは敵わない
今此処より 加護を告げる】
ラピスから溢れた光が魔法陣に吸い込まれていった。
それを見た四人は精霊達のもとに加護を贈るため、詠唱を始める。
『青き水の眷属』
『真紅の炎の眷属』
『新緑の風の眷属』
『琥珀の地の眷属』
『『『『今 精霊の柱の名にて告げる 賜りし加護を受け入れよ』』』』
光の粒子が部屋を満たし、それに呼応するように魔法陣が四色の光を放つ。
やがて光は溶けるように消えた。
ラピスはチカラをたくさん使ったためか、激しい痛みに襲われる。
「っあ……ぐ」
全身が打ち付けられるかのような感覚に襲われ、手放しそうになる意識を懸命に保つ。
今までチカラを使ったときには表れなかった副作用。
(これが、チカラを使うという事なんだ…)
脳内の冷静な部分が、他人事のように現状を捉えていた。
数え切れない数ほどもいる精霊達に加護を与えるには、それ相応のリスクが必要となるのは当たり前の事だ。
(これじゃ、だめ……。こんなの、二人を喪った時に比べれば痛くなんて無い)
ラピスにとって、本当の痛みとは物理的なものではない。
体についてしまった傷ならいずれ治る。しかし心の傷が癒えるのには時間がかかる。
或いは一生治らない事もある。
『ラピスっ!!』
呼びかけてくる声が遠く感じる。
(帰るのに時間がかかったら、皆心配するだろうな……)
意識は、闇の中に落ちていった。




