20話ー四柱との再会
白を基調とした城の中をラピスはふわふわと飛んでいるリラの横を歩く。
向かう先は王達、つまり四柱の精霊の待つ柱の間だ。
「変わらないね、此処は」
『特別変える必要もありませんから。…お気に召さないようでしたら、今すぐ変える事も可能ですが』
リラがパチン、と指を鳴らすと城の内装が薄紫を基調としたものに変わった。
壁には花の模様が画かれている。
「変えなくてもいいのに。…あ、この花って」
『はい、貴女の母君が好きだった花です』
「懐かしい…。燈り花、だよね?」
リラはラピスの言葉に頷いた。
(ありがとう…)
ラピスは心の中で感謝の言葉を呟く。
そして、今は亡き母に思いを馳せた。
『ラピス!!』
「久しぶり、アネモ。…皆も」
柱の間の入るなり抱きついて来たのは新緑の髪と瞳を持つ、ラピスよりも背丈の低い少女。
そしてラピスの視線の先には三人の精霊。
こちらも普通の精霊の様な手のひらサイズではなく、人間と変わらない大きさだ。
『やっほー、ラピス』
はじめに挨拶を返したのは水色の髪と瞳の少年、ネライダ。
いつも眠たげな二重瞼は相も変わらず。
『本当に久しぶりだな』
そう言ったのは真紅の髪をひとつに纏めた同色の瞳の女性、ピュール。
男らしい話し方だが、女だ。
『最近はどうだ?』
最後に気遣いを見せたのは琥珀色の髪と瞳をした男性、ガイア。
根っからの世話好きでもある。
ラピスは懐かしい面面を見て、少し顔を綻ばせた。
「皆も元気そうでよかった…」
『そっちこそ。…あ、話をするからこっちに来てよ』
五人はローテーブルの所にあった椅子に腰掛ける。
最初に口を開いたのはネライダだった。
『ま…世間話はこれくらいにして、本題に移ろっか』
眠たげだった目は鋭くなり、先程の面影もない。
初めに生み出された精霊の威厳すら感じさせる。
事実、間違ってはいないが。
『今回此処に来てもらったのは、魔族の監視を振り切る為だよ。…きっとラピスの事だから監視には気づいてるだろうけど』
「…この前、気づいたばかりだけどね」
自嘲するラピス。
『ほんとは、僕達も協力したい所だけど、柱は精霊界から離れられないから……』
「十分協力してくれてるよ。私の事、助けてくれてるもの」
三年前、もし助けられていなかったらと思うと恐ろしい。
魔族に見つかり、殺されていたかもしれない。
そんな考えがラピスの頭をよぎった。
『はいはい、深刻にならないでよ!こんな時は…』
「…?」
『お菓子を食べるの!』
『駄目だ』
『ピュールのケチー』
『なんとでも言え』
『三人とも、早くした方がいいぞ。今ラピスには連れがいるみたいだからな』
ガイアが声を掛けると、三人はぴたりと大人しくなった。
「それで、本題は」
『…魔族が精霊を封じる術を作り出したんだよ』
「リラが閉じ込められた石の事、だよね」
魔族の仕業だろうと確信していた。
精霊が閉じ込めらているという状況下で民が魔族に殺された以上、無関係である可能性は低い。
『うん、それに今までこんな動きはなかった。…きっと、終焉の鐘が鳴る時が迫ってる』




