表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
蒼銀の死神ーRapis Silver Jokerー  作者: 折鶴夏葵
2章 夏期休暇
54/85

14話ー獣使い


(赦さない、赦さない……アカリの命を奪った事。絶対に、殺してやる!!)


青年は顔を上げ、魔族に射殺す様な視線を向けた。

魔族は臆する様子もなく、青年に近付いてゆく。



甲高い遠吠えが辺りに響き渡った瞬間、青年の中の何かが弾けた。


「俺は、お前を赦さない。…後悔しながら地獄に堕ちろ」


青年の傍らに、いつの間にか三匹の獣がいた。

獣は確かな敵意を魔族に向けている。


グルル、と唸り今にも襲い掛かりそうな勢いだ。


「ほう、少しは楽しめそうだ…」


魔族は口角を上げ、好戦的な笑みを浮かべた。


魔族の影が揺らぐと同時に獣が走り出す。


一匹目が魔族の背後に回り、神速の勢いで跳び掛かる。

魔族はそれに即座に対応し、異形の腕を獣に振りかぶった。


『ガウッ!?』


避け切れなかった獣は魔族の腕を受け、吹き飛ばされた。

飛ばされた先にあった木が倒れ、砂煙が舞い上がる。

獣はぶるぶると首を振ると魔族をじっと見つめた。


「!?」


魔族の胴体に、二匹目の獣が噛み付きその肉を抉る。

突然の事に反応しきれなかった魔族に一匹目の獣と三匹目の獣が襲い掛かった。

すかさず剣を振りかざす青年。


…その瞳に込められているのは憎悪のみ。


「アカリの、仇!!」


鮮血が飛び散る。

生々しい音を立てて、男の腕が切断された。


「な…!?」


___が、それは無駄な事だった。

ぐちゃりと音を立て、魔族の腕は再生してゆく。

さらなる異形へと変化を遂げて。


「…こんなに面白いのは、久しぶりだ」


金の瞳が、爛々と輝く。

___ゾクリ


青年は一瞬だけ怯み、隙を作ってしまった。

それを好機と見た魔族が青年に異形の腕を振るう。

我に帰った青年は後方へと跳び、詠唱を始めた。


『顕微せよ 白き炎』


辺りを支配するのは白い炎。

魔族めがけて魔術が力を奮う。


「…凪ぎ払え」


異形の手を炎に向けると、突如として竜巻が猛威を奮った。

白炎は突風を受けその勢いを増し、青年に襲い掛かる。


消失ロスト!』


魔術解体の言葉が唱えられると、白炎は消え去った。


「ワンスペル、か」


魔族が感心したように頷く。


「はは……逆手に取られるとは、思ってなかったな」


乾いた笑いを浮かべ、青年は魔族を睨み付ける。

ニィ、と口角を吊り上げた瞬間、魔族を獣たちが襲った。



一匹目___疾風の速さで駆ける。


二匹目___その凶悪な牙を剥き襲い掛かる。


三匹目___大きく鋭い爪を振り翳す。



一斉に行なわれた猛攻に、砂塵が舞い上がる。

魔族は重症を負ったのか、肩膝を地面につくと苦悶の表情を浮かべた。


「ぐっ……」

「地獄に堕ちろ…『四方獣封スレクション』」


現れたのは四匹目の獣。

魔族の四方を獣達が囲み、高く高く吼えると金銀の光が交錯し合い、魔族を囲みひとつの箱となった。





やがて獣が箱と共に姿を消すと、辺りは静寂に包まれた。


「アカリ」


青年は妹であった残骸に歩み寄り、口から嗚咽を漏らす。


「アカリ。ごめんな、怖かったよな……俺のせいで、俺がお前から離れなければ、こんな事にならなかったよな。…最低の兄で、ごめんな」


サァ、と風が吹き、青年の髪を揺らす。


___お兄ちゃん!


青年の頭の中に、自身を呼びながら笑う妹の顔が浮かんだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ