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蒼銀の死神ーRapis Silver Jokerー  作者: 折鶴夏葵
2章 夏期休暇
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4話ー対面

「お久しぶりです、グランドマスター」


恭しくお辞儀をするブランシェ、並びに“黒曜の旅団”メンバー。


「そんなにかしこまるなって、柄でもねぇだろ?」


ガハハ、と笑うのは強面という言葉がよく似合う50代位の白髪の男。

その右腕には太陽を象った刺青が彫られている。


「そう?じゃ、お言葉に甘えて…。久しぶりね、カラギア」

「おう!お前の後ろにいるのはお前んとこの精鋭ってことか?」


四人の顔を順々に見ていくカラギア。

その視線が自分の所で一瞬だけ止まったのを、ラピスは見逃さなかった。


(この人が、マスターの言っていたフェルマータ。…道理でマスターとカーミナに伝言を頼むことができた訳だ)


話が何についてのものであるかは、知らされていない。

だがある程度の予測はついていた。


「明日からの長期依頼についてだが、今回の依頼の内容は皇国周辺の調査…って表向きにはなってるが、魔族の目撃情報が出てる」

「……!」

「魔族の目撃情報ですって!?」

「ああ。最近になって動きが活発化してるみたいでな。だからこそ五大ギルドに参加を呼びかけた」


その場に落ちる沈黙。

カイル、ロイ、ルイスの三人は考え込むように黙り込む。

平静を装っているラピスだが「魔族」という単語を聞いたとき、確かに動揺していた。


(なんで皇国に魔族が…?皇国の近くにもがいるの?)


「ま、今できる話はこんぐらいだな。詳しくは明日、この総本部前の広場に集合したときに話す。……ああ、嬢ちゃんは話があるから残ってくれ」

「分かりました」

「さ、皆ホールへ戻りましょ。話が終わるまで待ってるから、大丈夫よ」


未だに状況が飲み込めていない三人を連れて、ブランシェは部屋から出て行った。

部屋に残されたのはラピスとカラギアのみ。





先に口を開いたのはカラギアだった。


「俺はカラギア・ラルタ。…つっても姓は偽名だけどな。理由は分かるだろ?」

「もちろん。私はラピス・レイン。姓はお父様の物だから、間違ってはいません。結界は張ってあるのですか?」


用心深いと知りつつも、ラピスは問う。

自分の素性を明かすためには、まず他の者に知られてはいけない様にする必要がある。


「三重に張ってあるから心配はない。…まぁいい、シェイリルの姫。俺が何者かは精霊から聞いただろ?」

「フェルマータの民。…私のように、宿命を背負った者でしょう?」

「そう。俺の本当の名はカラギア・フェルマータ・ディラ・ルタ。狩人の血を引く者。直系ではないが……お前も本当の名を言っていいぞ?それに、畏まらずに素で話してくれ。何か落ちつかねぇからな」


それを聞きラピスは一瞬戸惑ったが、すぐに自身の本当の名を口にする。


「ラピス・シェイリル・トナ・レイン。精霊使いの血を継ぐ者。古の盟約に従って、断罪の任に就く者」


決意の篭った藍色の瞳が、鋭い光を湛える。


それは覚悟が決まっていることを表していた。

ふっ、とカラギアは笑う。


「本当にそっくりだな、ヴィオレッタとレンに」

「……私の両親を知ってるの?」

「ああ。お前の父親であるレンはお前が生まれる少し前まで、俺のギルドのメンバーだったからな。それもあって、ヴィオレッタと会ったこともある」


ラピスは目を見開いた。

両親のことを知っている人は、もういないと思っていたからだ。

母曰く、父方の祖父母は存命らしいが、会ったことも無いのにそう呼ぶのは流石に気が引けた。


「レンは見た目人畜無害なくせして戦い方がえげつないからな…大抵敵の首を落としてたな。容赦なく」

「え?普通だよね?」


半端に傷付けるよりも、その方が手っ取り早く且つ楽に終わらせることができると考えているラピスは少し驚いた。


「…お前は見た目はヴィオレッタに似てるのに、性格はレンに似てるな」

「でも…何故か嬉しい。私が生まれたとき、お父様はもういなかったから…」


カラギアは、ラピスの言葉に目を見開いた。


「いつだ、それは」

「詳しくは分からないけど、お父様は村を守りぬいたって…お母様は言ってた」

「まさか、それは魔族が…?」


その時、ラピスの中でピースがあてはまった。


(村の大人達は「何故今になって来た」って言ってた…。村が滅んだ時の襲撃は、二回目だった…?なら私たちのような民は………監視されてる?)


はっ、となって窓を見る。

確かに感じた視線。


窓から身を乗り出し、外を見る。


「……誰かが…いた」

「本当なのか!?」


ガタリッ、と椅子から立ち上がるカラギア。

ラピスは地面に生えている草が、誰かに踏まれていたかのように倒れているのを発見した。


それは、何者かが二人を監視していたという、決定的な証拠だった。


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