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蒼銀の死神ーRapis Silver Jokerー  作者: 折鶴夏葵
2章 夏期休暇
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3話ー総本部へ


朝の活気に満ちた市場を、ラピスは歩いて行く。


(朝の空気は綺麗だから好き。…でも人が沢山いるのは嫌い)


今の季節は夏。

まだ朝だと言うのに、汗が伝う。

ラピスはそれがこの上なく不快だった。


すれ違う人々、活気づいた市場の熱気。

目的地に着いた頃にはクタクタだった。


「ただいまぁ…マスター」


覇気のない、らしくない声だと知りつつも、ラピスはそこまで気を回せるほど元気がなかった。

唐突に頭がクラクラし、よろめいてしまう。


「おい、平気か?」


そんなラピスの腕を咄嗟に掴み、カイルは顔を覗き込む。


「ん………もう平気。大丈夫」

「そうか?…にしてもラピス、疲れてんじゃねぇのか?」

「…平気」


ラピスの言葉はあながち嘘でもないようで、カイルが腕を放してもふらつくこともなかった。


「ラピス、本当に無理とかはしてない?」

「マスター、そんなに心配しなくても大丈夫だから…」


現れたブランシェは眉をひそめラピスに話しかけるが、ちょっと過保護な気がしてならない当の本人。


「それならいいけど……」


まだ何か言いたげなブランシェは口を噤むと、ギルドのメンバー達に呼びかける。


「みんな。これから総本部まで行って来るから、留守を頼んだわよっ!何かあったらすぐに念話すること。いいわね?」

「おうっ」 「分かりました!」 「いってらー」「もうそんな時期か…」





約三十分後、ブランシェ、ラピス、カイル、ロイ、ルイスの五人は総本部に着いた。


「…暑い」

「我慢しろ、ラピス。……気持ちは分かるが」

「説得力ねぇっつーの、カイル」

「ロイ、お前は黙れ。暑苦しい」

「…ルイス、それ遠回しに俺がうざいと言ってるんだな」

「何が悪い」

「こらこら、皆うるさいわよ。___沈められたいの?」

「「「「……………」」」」

「さ、静かになったところでグランドマスターの所に行きましょ」


殺気を放ったブランシェの言葉に、黙り込むことを決めた四人だった。



「おい、あのギルドって...」 「五大ギルドのひとつ“黒曜の旅団”だ...」

「マジかよ、あの黒曜が何でここに...」 「滅多に来ねぇのに...」


建物の中に入ると、ヒソヒソとした話し声が聞こえてくる。


それもそのはず。

五大ギルドが一つ“黒曜の旅団”は五大ギルドの中でもメンバーが少なく、二十人弱しかメンバーがいない。

マスターであるブランシェがその実力を認めた者しかメンバーになることが許されないからだ。

そのためメンバーの実力は折り紙つきで、五大ギルドの中でも一番強い。

また女性のマスターというのはとても少ないため、注目を浴びるギルドでもある。


ブランシェはヒソヒソと話すそれらを無視し、グランドマスターの部屋へと足を進めていく。

四人は黙ってブランシェに続いていく。


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