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蒼銀の死神ーRapis Silver Jokerー  作者: 折鶴夏葵
2章 夏期休暇
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1話ー暫しの別れ

2章スタートです!

ざわざわとしている教室の窓際。

そこに彼女の姿はあった。


「ラピス!明日から夏期休暇ね」


ソプラノの声は、心なしか弾んでいる。

見た目は大人びた少女なのに、はしゃぐ姿の影響で幼く見える。

少女の視線の先には蒼銀の髪を風に揺らす、見るからに儚い少女。

ラピスと呼ばれた少女は友人のはしゃぐ姿をじっと見つめている。


「リィル…夏期休暇って、楽しいものなの?」


紡がれた言葉にリィルと呼ばれた少女はずっこけそうになった。


「当たり前じゃない!一ヶ月も自由に過ごせるのよ!?」

「だって私、予定、入ってるから」


ガーンっ、っと口をあんぐりと開けたままにして硬直するリィル。

こてん、と首をかしげるラピス。

それを見守るクラスの女子達。


リィルは我に返ると、ラピスの肩を掴む。


「えぇっ!?予定あるの」

「うん。…だから夏期休暇はほとんどそれに費やされちゃう」

「な、なんですってぇ!?…ラピスが暇なら一緒に遊ぼうと思ったのに……」


がっくりと頭をたれ、どんよりとしたオーラを纏うリィル。


「ごめんなさい…」


しゅん、としながら申し訳なさそうにするラピス。

それに身悶えする「ラピスを見守る会」の女子達。もとい、クラスの女子達。

…1ーA以外の女子まで廊下から顔を出してラピス達のやり取りを見守っている。


「なぁ、あそこら辺一帯にいる女子は何なんだ…?」

「廊下から他のクラスの女子達も顔を出してるし」

「何か一気に人口密度が増してないか?」


男子たちがヒソヒソと話すのも無理はない。

少し前にあった野外遠征で森に一番早く着いたことから、8班のメンバーの顔は学年中に知れ渡っていた。

リィルはある日の昼休みにキョウと一緒にいたことから、当然キョウに挑む勇者が現れるはずもない。

現れたとして、無謀すぎる。

8班の男子二人は内部生のために「またあいつか」程度で済む。


だがラピスは違う。

容姿端麗な外部生であり、そういう噂もない。

当然、学園の男たちは関わりを持とうとする。


…Aクラスにそういう者はいなかったが。


彼らは知っていたのだ。

「ラピスを見守る会」なるものの存在を。

そしてこれは懸命な判断だった。



ある日、男子生徒が無理矢理ラピスに詰め寄った。

すぐにリィルが来たためラピスは助かったが、その怯えようは尋常でなかった。

そのときのリィルを見ていた者曰く

「とんでもないもんが出てきたと思った…何せ基本的に温厚なミリアルが、どす黒い何かを背負ってた」

らしい。


次の日、例の男子生徒は何かに怯え続けているようだったそうな。

何かあったのかと聞いても、男子生徒は顔を青ざめさせ意識を飛ばしているようだったらしい。


Aクラスの男子達は「ついにやったか…」と頭を抱えるが、そんなものとは裏腹に、女子達の間では「ラピスを害虫から守ろう」と団結が強まっていた。


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