私がギルドに入った日
すいません、他の作品に投稿するはずだったものを上げてしまいました。
お詫びとして、この話を投稿します。
______それは、三年前のこと
私はマスターに連れられて、ギルドを訪れた。
中に入ると、にぎやかな会話がピタリと止んだ。
……私はやっぱり、ここにいちゃいけないのかな?
手を引かれるがままに歩き出したけど、顔を上げることはできなかった。
「マ、マスター。その子……」
その先にあるだろう拒絶の言葉を聞きたくなくて、思わず耳を塞ごうとした。
でも……
「「マスターにまさか、隠し子が!?」」
「黙りなさい。脳天カチ割るわよ」
「そーそー、第一マスターに恋人なんてできるわけな」
ドゴォンッ
口を開こうとしたはずのロイ(確かそんな名前のおじさん)がマスターの拳骨を食らって、床にめり込んだ。
マスターって、すごい怪力みたい。
でもその後慌てて私を見ながら、笑顔を浮かべて
「ラピス、ロイなら殴ったりしても問題はないわ」
って言うのはどうかと思うけど……。
マスターはその場のみんなに私を紹介してくれた。
「そうか、新しい仲間が増えたな!」
「そうと決まれば宴だ、宴!!」
「よし!料理できる奴、集まれー!!」
何故かは分からないけど、そこにいるみんなは盛り上がっていて。
「……マスター………これは?」
「ほら、そんな顔してないで。今日の主役は貴女なんだから」
「主役…?」
「そう。見ての通り、ここはメンバーの数が少ないからね。…誰も迷惑に思ったりなんかしない、むしろ大歓迎よ?その証拠に…ほら」
指を向けた方に振り返ってみると、宴?の準備をしてるみんなの顔は喜びに染まっていて。
私が見つめていることに気がついた男の人が、みんなに声をかける。
「おーい、皆!主役をほっといてどうすんだ!!」
「分かってるつーの。ほら、ラピスだったか?こっちだ」
腕を引かれ、このホールの中心に連れてかれた。
周りにいるみんなは戸惑ってる私を見て、苦笑する。
でもその表情の中に、負の感情は無くて……。
「全員注目ーっ!ほら、挨拶してみ?」
まだちょっと、人が怖い。
でも、そんな自分のことを変えてみたい。
意を決して、息を吸い込む。
「…はじめ、まして。マスターに…拾われて?でいいのかな…。ここに…お世話に、なります……ラピス・レイン、です。…えと………よろしく」
ペコリと頭を下げると、辺りは静まり返ってた。
私、何かしちゃったのかな…。
顔を上げてみると、みんなは驚いたような目で私をみてた。
「…っあの、私」
「「「かわいいっ!!」」
「へ……?」
「やばいぞ、皆!こいつは今から俺たちが守り抜くぞっ!」
「あったりめぇだ!」
「ラピスちゃん、安心しなさい!お姉さんが守ってあげるわ!!」
何……この状況は…?
状況に頭が追いつかない私に、マスターは言った。
「みーんな、貴女の味方。貴女は今日から、私たちの家族よ」
___家族
「…どうしたの、ラピス?どこか痛いの?」
「……え?」
いつの間にか、涙が頬を伝って零れ落ちていた。
止めようとすればする程、考えていることとは裏腹に涙が溢れてくる。
___嬉しかったんだ、私は。
あの後私が泣いてることに気づいたみんなは、すごく取り乱してて。
私を慰めようとバカなことしてる人もいた。
にぎやかで暖かかったギルドのみんな。
この日のことを、きっと私は一生忘れない。




