25話ー仲間を守る仲間
リィルはただ、見ているだけだった。
呆然としていたリィルはルカに腕を引かれ、ラピスと魔物たちから離れた。
(いつもの、ラピスじゃないの?あんな殺気、今までは一度も……)
リィルは、ラピスに『恐怖』を感じてしまった。
そして、ラピスはそれに気づいていた。
一瞬だけ向けられた、悲しみの浮かべられた瞳。
表情こそ変わらなかったけれど、ラピスの瞳は確かに揺れていた。
(私は、ラピスを…傷つけた。一番してはいけないことを、私はしたんだ…。ラピスは、私たちを守ってくれたのに)
リィルの中には、罪悪感が渦巻いている。
自分たちを助けてくれたラピス___その人に自分はあんな視線を向けた
『今まで一度も』なんて言えるほど、長い時間を過ごしたわけでもない。
(私、ラピスのことを何も知らなかったんだ。なのに…私は、なんてことを…)
知りもしないのに、勝手に怯えて、傷つけた。
赦してなんて、言えない。
「ミリアル、おいっ!」
「!え…」
ジンに呼びかけられ、考え込んでいたリィルは顔を上げた。
ジンは怒ったように、リィルを凝視していた。
「いいのかよ、あのままで」
「ジンっ!あの場に僕たちがいても、邪魔になるだけだ!」
ルカの手を、ジンは振り払う。
「同じ、8班の仲間なんだろ。仲間を見捨てるような奴に、オレは成り下がりたくなんかない」
強い意志のこもった琥珀の瞳は、再びリィルに問いかける。
「どうなんだ、答えろよ」
「…………」
リィルは、魔物たちが怖い。
もし、魔物に殺されたら?
そう考えずにはいられない。
けれど、ラピスは自分たちを守ってくれた。
(私たちのせいで、ラピスが殺されたら……?そんなこと、絶対させない。私たちの仲間を守るのは…他でもない私たち自身なんだから!)
リィルは拳を握り、意を決した。
「…いく。仲間を守るのは、仲間でしょう?」
ジンは頷き、ルカを見る。
「行くに決まってる。ジンのストッパーは、僕なんだから」
ルカはため息をつきながらもやれやれ、といった様子で言う。
「行きましょう。ラピスの所に」
_____カッ
一瞬だけまばゆい光が走る。
「何っ!?」
突如起こった出来事に、リィルは声を上げ
淡く光っている場所は、ラピスがいるはずの場所。
「ラピス!?」
「おい!待てっ!!」
静止の声も聞かずに、リィルは駆け出した。
(お願い、無事でいて…!)
ようやく辿り着いた場所には、倒れているラピスがいた。
「ラピスっ!大丈夫なのっ!ねぇ」
意識が少しだけ浮上したらしいラピスは、リィルを見て不思議そうにしている。
「なんで……」
ラピスは再び、意識を失った。




