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蒼銀の死神ーRapis Silver Jokerー  作者: 折鶴夏葵
1章 初めての学園生活
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24話ー予期せぬ出来事



「あれ、もう拠点作ったの!?」


ラピスのもとへ現れたのはリィルだ。

目の前にある葉でできたテントをまじまじと見つめている。


(よかった、気づいてないみたい)


「おい、どこだ!」

「どこにいるのー」

「ここだよー、2人とも」


リィルが大声でそういうと、ジンとルカがやって来た。

2人はテントを見ると、驚いた様子でラピスとリィルの方へ振り返った。

するとリィルはラピスへ視線を向ける。


「ラピスが作ったのよ、これ」


リィルは自慢げに胸を張った。


(私が作ったと思ってくれてよかった。…あの子たち、大丈夫かな。ここの長のところにいるなら、心配ないと思うけど……)


ラピスは精霊たちの去っていった方角を愛しそうに見つめていた。

その表情が、ジンに見られているとも知らずに。





「じゃあ、そろそろ戻ろうか」


食料となる野うさぎや野草を狩り終えた8班は、ルカの言葉に賛成し、拠点へ戻ることとなった。



____ゾクリ


「!?」


悪寒を感じたラピスは、自身の刀を抜いた。


グオオオォォォォッ


現れたのは、禍々しい空気を纏った狼のような魔物。

ラピスにとっては見覚えのある魔物。

だがそれは、ここにはいるはずがないモノ。


「な、んで」


ラピスの額を、一筋の汗が伝う。


(魔族は、倒したはずなのに。…私が、この手で)


力強く、刀を握り直す。

今、ラピスの後ろにはリィル達がいる。

自分に比べ、経験も浅い彼らはここにいては危険だ。


「皆、先に行ってて」


ラピスは刀を正眼に構えた。



魔物が、牙を剥く

その身からは、禍々しい紫色の魔力を発して

魔物の姿が霞む

その身は風のように駆ける


____ボトッ....

魔物の鮮血が、辺りに飛び散る

真っ二つに断ち斬られた残骸が、音を立てて地面に落ちる

誰かが、息を呑む音が聞こえた。


「ラ、ピス」


リィルが声を絞り出した。

リィルには、信じられなかった。


ラピスが、何の躊躇もせずに魔物を殺したことが

ラピスが、顔色を変えずに命を奪ったことが

ラピスが、機械のようにその残骸を見つめていることが




『恐怖』をリィルが感じていることに、ラピスは気づいてしまったのだろう。

その瞳に悲しみを浮かべ、ラピスはリィルに背を向けた。


「…先に行って。死にたくないのなら」


再び、ラピスは刀を構えた。



次々と現れる魔物

だが、それらは斬撃を受け絶命してゆく

鮮血を散らして 残骸となって




(数がっ、多すぎる)


ラピスは息を上げはじめた。

一体、どれ程の魔物を斬っただろう。

1人だけでこの数を相手にしたことは、今まで一度もない。

個々の強さは魔族に比べると低い。

だが、目の前にいるのはそれをも覆す数。


『ひめっ!』

「何でっ、」

『ぼくたちが、チカラをかしてあげる!ひめ、うたって!!』


精霊たちから、先程とは比べ物にならないチカラをラピスは感じ、その目を見開いた。


「あなた達は…。お願い、少しだけでもチカラを貸して」

『『もちろん』』


強く頷く2人。

ラピスは木の上へ跳躍し、その手を胸にあてた。


【我、精霊の姫にして 民の姫 望むはこの地に存在せし悪しきモノの浄化】


とても短い、唄の一部。

それに呼応するように、辺りが柔らかな光に包まれていく。


やがて光が消えると、ラピスは木から飛び降りる。

着地し、精霊たちに笑顔を向けた。


(ありがとう…)


___バタリ


ラピスはその場に崩れ落ちた。

(久しぶりに、使ったからかな…?)

そこでラピスの意識は途絶えた。



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