22話ー8班
足場の悪い岩場。
そこに制服を着ている4人の姿があった。
4人の内3人は肩で息をしている。
「はぁ、はぁ、ラピス…歩くの、速くない?」
リィルが膝に手をつき、自分より前を歩くラピスへと視線を向けた。
ラピスはその言葉に振り返り、リィルの傍へ歩み寄った。
「大丈夫?リィル。…私、運ぼうか?」
「そんな迷惑は掛けられないわよ。第一ラピスが私を運ぶにも、無理があるでしょう」
ラピスはリィルの言葉も気にせず、その背にリィルを乗せた。
リィルの方が身長は10センチ程高いのだが、ラピスが軽々と立ち上がり歩き出す。
それを後ろから見ていたジンとルカは目を見開いた。
「はは、笑うしかないな……」
「男の僕たちでさえこれなのに。……凄いね、Aクラスであることを疑うよ」
変わらぬペースで歩き続けるラピス。
そんなラピスが岩場を歩いて汗ひとつかかない事に2人は驚いているが、それはラピスの中の「当たり前」だ。
3年前にギルドに入ってから、いくつもの依頼を受けてきた。
火山、森、洞窟.....ギルドに所属する者だからこそ行くことのできた危険な場所に慣れてしまったからこそ、この程度で音を上げたりしない。
それは、当然のことだった。
帝都を出発してから、4時間ぐらいが過ぎたころ
岩場を通り、辿り着いたのは目的の「聖桜の森」だ。
森の入り口にあるコテージの扉を8班のリーダーであるルカがノックした。
ガチャリ、と扉が開き出てきたのは学年主任の教師。
「あれ、お前ら早くねぇか?っと、Aクラスの」
「8班ですよ、先生」
「少なくとも7時間はかかると思っていたんだが…。転移じゃねぇよな?」
8班の面面を不審そうに見回す。
ラピスが一歩、前へ出た。
「…歩いてきました。近道を」
「近道って何処を通ってきたんだ?」
「川の近くの岩場を通ってきたんです、私たち」
教師の問いに、リィルが答えた。
「あそこを通ってきたのか!?…道理で早いはずだ。あそこは足場が悪くて通るやつはいないかと思っていたが」
感心したように頷きだした。
「喜べ、お前らが1番だぞ」
「そういう言い方されると、何かムカつくな」
「ジン、素直に喜ぼうよ。……たしかに癪に障るけど」
「お前ら、俺の扱いが酷くないか」
教師はがっくりと肩を落とした。




