21話ー前日準備
事件から早1ヶ月が経ち、1学年は活気づいていた。
「やっぱり皆、楽しみなんでしょうね」
「なんで?」
教室がざわめくなか、ラピスはきょとんとしていた。
黒板には「野外遠征開催の報せ」と書かれた張り紙が貼られている。
そもそもこの野外遠征は本来、毎年5月の中旬に行われるはずだったが、魔族が襲ってきたせいで6月の初めになってしまったのだ。
野外遠征といっても場所は帝都から南に位置する「聖桜の森」だ。
魔族を退けるチカラをもつ大樹があるために、安全であると判断されている。
「……チーム、か」
遠征では同じクラスの中で4人班をつくらなければいけないため、ラピスは不安を隠せずにいた。
(クラスメイト、だけど…私、皆とどんな距離で接すればいいのか、分からないし)
「ラピス、一緒に組もう?」
「うん」
リィルに反射的に返事を返す。
「あとの2人、どうしよっか?」
「おい、そこの2人、オレ達と組まないか?」
声に振り返ると、そこには2人の男子生徒。
1人はジン・スノウウェル。
もう1人は萌黄色の短い髪にワインレッドの瞳をした生徒、ルカ・サヴォールだ。
ルカはSクラスに狩った7人のうち1人で、両手剣のリーチの長さを利用した戦いをしていた。
そんな2人が来たことにラピスは驚いていた。
班のメンバーは同性のみであっても平気なはずだ。
というのも、Aクラスは男子の方が人数が多いからというのが理由である。
「私はいいけど。ラピスはこのメンバーでいい?」
「……うん」
はっきり言って、ラピスは男が苦手だ。
ギルドのメンバーのように長い時間を過ごした仲間なら大丈夫だが、それ以外の男性には異常なまでの警戒心というものが残ってしまう。
昔ほどではないにせよ、苦手なことに変わりはない。
だがラピスはリィルを困らせたくなかったため、その提案に肯定した。
「じゃ、よろしく。ミリアル、レイン」
「ええ」
ルカとリィルは握手をし合った。
「よろしくな」
ジンの言葉にラピスはペコリ、と会釈を返すだけだった。




