18話ー瀕死
それは、カイルが自室で双剣の手入れをしていたときのことだった。
夜も更けてきた頃。依頼に備え、カイルは早めに寝ようか、と考えていた。
ドゴォッ
「__は?」
突如として響いた轟音に、呆気にとられたカイル。
眠気も吹き飛んでしまった。
窓を開け外を見ると、地面に光る物体がめり込んでいるのが見えた。
「おーい、シュリか?何やってんだよ」
カイルは光る物体___シュリに声をかける。
『カイルっ!』
ガバッ、と飛び上がるようにして起き上がったシュリの声は、ひどく焦っているようだった。その瞳には涙を浮かべている。
そしてようやく、カイルは異常な事が起こっているのを理解した。
「…何が、あったんだ?」
『お願いカイル、急いでミアちゃんを呼んで!早くしないとっ…』
シュリは気が動転しているようで、早口でそれだけ告げた。
顔を青ざめさせ、その手も小刻みに震えている。
「あれ、カイル。何か用?こんな時間に………」
ギルド“紅天の盾”の前に降り立つと、背後から声がかかった。
声の主はミアの妹である、アミ・キースだ。
彼女は不思議そうにカイルを見つめている。
「アミ、ミアさんはいるか?」
「ん?ミアだったら自分の部屋だと思うけど、呼んでこよっか?」
「ああ。急いでもらえると助かる」
アミはギルドへ入っていった。
5分が経ったころ、二人はやってきた。
「で、どうしたの」
ミアが口を開いた。
「いや、俺よりもこいつに聞いてくれよ」
カイルはシュリを指差す。
シュリは『あ…言ってなかったっけ』と目を泳がせる。
『西の森、わかるでしょ?……ラピス、大怪我を負って、あたしたち精霊は限られたものしか治癒が使えないの。だから、ミアちゃんに来てもらいたくて』
「!?ラピスは」
『無事、だけど、反動が大きすぎて……』
「カイル!早くラピスの所へっ!!」
ミアがカイルを激しく揺さぶる。
「分かってる。俺の服を掴んどけ」
「なによ、これ………?」
辿り着いたそこは、血の臭いが充満していた。
辺りを見ると、大きな血溜まりの中に、人の頭部と思わしきものが転がっている。
「おいっ、ラピス!!」
カイルは倒れていたラピスを見つけると、叫んだ。
駆け寄り、ラピスの身を抱き起こすと、その腹部から鮮血が流れ出ていることに気がついた。
「ミアさんっ!!」
「分かってるわ、ラピスをここに寝かせて!」
ミアが魔法陣の描かれた場所を指差した。




