15話ーその胸に確かな決意を
「ねぇ、マスター。…魔族はきっと、また現れるよね?」
「!?ラピスっ、まさかあなた」
ブランシェには、ラピスが何を言いたいのかが分かってしまった。
____『私がここからいなくなれば、みんな幸せに生きることができるのかな?私はヒトというものと、関わってもいいのかな……?』
それは、ラピスがギルドに入った日に言っていた言葉。
大切なモノを失くし続けた、孤独な少女の心に秘められていた本心。
ブランシェは忘れることができない。
本心を告げた時のラピスの、人形のような瞳を。
「マスター、私はいなくなったりはしないよ。私はもう、『守る側』の人間だから。……私にとって大切な『今』を、壊させたりしない。あの時みたいな、ただ守られるだけの子供じゃない」
強い決意を秘めたラピスラズリの瞳には、あの日とは違い、光が灯っている。
立ち上がったラピスは、ただそれだけ告げると部屋を後にした。
「ラピス。もう帰るのか?」
ギルドのホールへ出て行くと、カイルがラピスに問いかけた。
本当は今日も寮から出てはいけないため、ばれない様にするにはカイルの魔術が必要だった。
「うん、寮まで頼んでもいい?」
「ああ、そのことか。いいぞ」
その言葉を聞くと、ラピスはカイルのコートの裾をきゅっ、と掴み目をつむる。
カイルの魔術は空間を操るものであり、学園側に外出していたことがばれないのは、その魔術が目的地と現在地を亜空間で繋ぐからだ。
ラピスも使えないわけではないのだが、あまり得意ではないためにカイルを頼っている。
「ほら、着いたぞ」
「……うん、ありがと」
ラピスが目を開けると、すでにそこは自室だった。
「てかお前、まだ怖いんだな。亜空間が」
「だって」
ラピスは亜空間に閉じ込められたことがあり、未だに苦手意識を持っている。
そのため、この魔術が得意ではないのだ。
「ま、別にいいけどな。これも俺の仕事の一部だし」
「…ごめん」
「気にするなって。じゃ、俺は戻る」
「うん」
「…シュリ、出てきて」
そういうと、ラピスの刀にはめ込まれた透明な精霊石が輝いた。
『どうしたの、ラピス』
光とともに現れたのは、淡い赤に光る精霊___シュリだ。
「学園を襲った魔族がどこにいるのか、調べられる?」
『もちろん!皆にも呼びかけとくよ。そうすればきっとすぐに分かっちゃう。あたしたち精霊はどこにでもいるからね』
えっへん、と胸を張るシュリにラピスは微笑んだ。
「じゃあ、お願いね」
『うん、今から行って来る!』
シュリは背に生えている羽を動かすと、窓から飛んでいった。




