表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
蒼銀の死神ーRapis Silver Jokerー  作者: 折鶴夏葵
1章 初めての学園生活
19/85

14話ー“私”を知る、唯一の人

白を基調とした家具の置かれている、ギルドの一室。

そこに、ラピスとブランシェはいた。

二人はテーブルを挟み、向かい合って座っている。


「『望むはこの場と周囲との隔絶 遮断インタラプト』」


ブランシェが唱えると同時に、部屋全体が透明な膜に覆われた。


「さ、これで大丈夫よ。ラピスはもちろん知ってるわよね?魔族が学園を襲ったこと」


その言葉に、ラピスは強く頷く。


「うん。詳しくは知らないけど」

「まぁ、生徒にはなるべく知らせたくはなかったでしょうから。ラピスがあまり知らないのも無理はないわ。…あと、今日伝えようと思ったのは私達ギルドマスターと、帝国の上層部しか知らないことよ」

「やっぱりあっちは気づいてるの?……“私”に」


ラピスははっきりとした声で、ブランシェに問いかけた。

それに対して、ブランシェは意を決したようにラピスを見つめ、答える。


「____“シェイリルの姫は何処にいる”って、教師を脅しながら尋ねたと。リクがここに来ていたのは、それを伝えるため」


ラピスの手は、小さく震えていた。

だがそれは、『怯え』ではなく、確かな『怒り』と『憎しみ』で構築されたものだった。




『愛しい故郷』と『家族』を壊され、独り残された少女のその感情を、誰が知ることができたのだろうか?


『尊敬する師』と出会ったにも関わらず、紡がれるはずだった『幸せ』を自分の手で絶たされた少女を、『本当の意味』で救える者はいるのだろうか?


『宿命』と『喪ったモノ』を背負い生きる少女に、その心に触れる者など、存在しないのだろうか?




今、少女の前にある『幸せ』。

それが他人には当たり前であっても、少女にとっては『かけがえのないモノ』であるという事実が変わることなど、永遠に訪れないのだろう。


(私は…今度こそ、この『幸せ』を守ってみせる……!!)


『喪うくらいなら、いらない』と、何度も思った。


それでもヒトの手を取ってしまうのは、『孤独』こそが絶望だと知ってしまったから。


それでも守ろうと足掻くのは、ぬくもりの尊さを知っているから。


それでも生きるのは、『自分にしか果たせない宿命』を背負う義務があるから。


『死』を何もせずに受け入れることなど、決して赦されない。




孤独に生きている少女を突き動かしているのは、たったそれだけだった。

そして今、握り込まれている華奢な拳には紅い血が滲んでいた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ