13話ー久しぶりに会う人達
「ギルドが真新しくなった気がするけど?」
ラピスは1ヶ月ぶりのギルドを前にして、カイルに問いかける。
「ああ、それな。俺が帰ってきた時には、もうこうなってたぞ。
マスターいわく、『ちょっとドーゴと言い争いになっちゃって、このギルドが半壊しちゃったから…。これを機に造り直してもらおうと思ったのよ』、とかいってたな」
「マスター、私を呼んでくれればよかったのに。……そうすれば半壊しないうちに終わらせたのに」
「いや、だめだろ。オッサンが重症負い過ぎて問題になるぞ」
「だってあの人、会うたびに私のこと『チビ』っていうんだもん。
イラつく…」
口を尖らせ、ラピスは言った。
(……オッサン、今のうちに冥福を祈っとくよ)
カイルは内心、手を合わせた。
ガチャ
「マスター、ただい「ラピス久しぶ」
ドガンッ
物凄い勢いで突進してきた緑色の物体をラピスはひょいと避け、緑色の物体は閉められたドアに激突した。
ドアにはひびが入っていた。
すると今度は緑色の髪をした少女が小走りでやってきた。激怒しながら。
「ミアさん、怪我人がいます」
ラピスは少女___ミアに声をかけた。
「何をしてるのよ、アミ、あんたには常識がないのかっ!!」
ミアは倒れていた物体____もといアミの胸倉を掴み、勢い良く揺さぶる。
「うぅ…ミア、気持ち、悪くなるからやめてよ……」
「だったら人に迷惑を掛けないの!」
同じ顔をしているのに、こうも性格が違うと違和感がある。
「第一っ、あたし悪くないもん!ラピスが可愛いのが悪いんだもんっ」
「それは当たり前だけど、だからっていきなり体を触ろうと突進していくのは変態のすることでしょうが!あぁ、こんな妹を持ったわたしの方が泣きたいわ」
「平気ですよ、ミアさん。もしもの時は斬…追い払うので」
(((今、『斬る』って言いかけたよなっ!?)))
ラピスの言葉を聞いていたメンバー達は顔を青ざめさせた。
「リク、貴方のギルドの双子、いつもああなの?」
「そうだ、気にしてるときりがないぞ。特にアミは」
話しながらやってきたのは、このギルドのマスターであるブランシェと、このギルドと仲のいい“紅天の盾”のマスター、リクだ。
「マスター!」
目を輝かせて駆け寄ったのはラピスだ。いつも無表情なのに、今は満面の笑みを浮かべている。
「ラピス、1ヶ月ぶりかしら?学園はどう?」
「……分からない。でもね、よく一緒にいる人は1人いるよ。気配りのできる子なの」
嬉しそうにラピスは笑った。
「ふふ、よかったわね。友達ができたってことかしら」
「友…達、って何?」
「うーん、親しく関わる人、かしらね?」
ブランシェの言葉に、ラピスは首をかしげたままだ。
ラピスにとっては、『友達』よりも『仲間』という言葉のほうが馴染み深いのだろう。
「ラピス?ほら、私の部屋にいきましょう」
「えっ、うん」
ブランシェとラピスは、その場をあとにした。
二人が移動した後、リクと“紅天の盾”のミアとアミは帰っていった。
「なぁ、いつも思うんだけどよ、結局どっちのラピスが素なんだ?」
ギルドのメンバーであるロイが告げた。
その言葉に、カイルが答える。
「どっちもだろ。単に人見知りなだけで。初対面のヤツがいれば無表情だけど、付き合いが長いヤツにだったら普通に笑うし」
ラピスのは人見知りを通り越して、人間不信な気もするが。
それでも極たまに、ギルドのメンバーに笑顔を向けるときはある。
本当にたまにだが。
カイルの言葉を聞いたロイはニヤニヤとした笑みを向けた。
「よく見てるなぁ、ラピスのこと」
「なっ、なんだよ」
カイルは顔を赤らめ、ロイに聞き返す。
「いやぁ、青春してるなと思っただけだ」
「そ、そういうのじゃねぇよ!」
ギルドのメンバー達は、カイルに微笑ましいものを見るような視線を向けていた。




