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7話ー過去に囚われた夢
タタタッ
幼い少女が、森の中を駆ける。その手に一輪のきらめく花を持って。
「おかあさま、よろこんでくれるかな。ね、シュリ!」
『うん!きっとヴィオレッタもよろこぶよ、昔からヴィオレッタは花が好きだし』
少女の横で淡い赤色の光を放つ小さなもの___精霊が大きく頷く。
「よぉーし、いっそげー!!」
少女は元気よくそういうと、先程よりも速く駆ける。
森の奥深くにある村を目指して。
『……何か変な臭いがしない?』
精霊が少女に告げると、少女は首をかしげる。
「そうなの?わたしにはわからないよ?」
『待って!…これ、何かが燃えてる臭いだよ!』
「__え」
少女は走った。ただ自分の中の衝動だけに従って。
足なんか、痛くない。苦しくなんてない。
ただ母のいる村を目指した。みんなも無事だと、信じていた。
______その光景を目にするまでは
燃えていた
少女の住んでいる村が。
逃げ惑う村の人たち ある者は叫び ある者は家族の死を嘆く
追いかける黒衣の者達 その手からは次々と魔術を放つ
少女ははじけ飛ぶように自分の家へと走る。
大切な母のいる家に
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日が昇って間もない薄明かりの中、ラピスは目を覚ました。
「また、あの時の……夢」
ラピスは額の汗を拭い、確かめるかのように首飾りを握る。
「お母様……」




