6話ー一日の終わり
(私、何かおかしかったかな?)
自室のキッチンで夕食を作りながら、ラピスは考えていた。
魔術訓練を終えた後、ラピスはクラスメイトたちの質問に追われていた。
何の魔術を使ったのか?どうやって無詠唱をしたのか?そのコツは?
などなどたくさんのことを訊かれたが、同世代でほとんど初対面の、それも複数の人に接することにあまり慣れていなかった為、結局答えることが出来ずにリィルの背に隠れてしまった。
リィルが「そんなに一度に訊いても答えられなくなっちゃうから・・、ね?」
と言ってくれたからこそその場は落ち着いたが、ラピス一人ではどうにもならなかっただろう。
食器を取り出し、料理を盛り付ける。
「やっぱり、難しいのかな。私には」
「別に急がなくてもいいんじゃねぇか?」
「……なんでいるの、カイル」
声の聞こえた方を向くと、テーブルとセットの椅子二つのうち一つにラピスと同じくらいの年の少年が座っていた。
短いブラッドオレンジの髪に同色の瞳をした少年はラピスの問いに目を泳がせる。
「何?」
「すまん、俺の分も夕食作ってくれ」
ラピスが軽く睨むと、少年__カイルは苦笑いしながら頼み込む。
再びキッチンへ戻ると、ラピスは明日の夕食にしようとしていた残りのシチューを器に盛り付け、それをカイルの前に置いた。
そして、自身はカイルの向かいの席に座る。
「……マスターと喧嘩でもしたの?」
「何で分かるんだよ」
「服にマスターの魔力がついてる」
シチューを口に運び、カイルの黒いコートを指差す。
カイルが目を凝らしてそこをみると、淡く光っていた。
「いや、先月皇国からの依頼に行っててな。一人で行ったんだが大怪我して……今日帰ってきたんだけどな、したらマスターが『これからは一人で依頼を受けないこと』って言ったんだよ。で魔術の撃ち合いやって逃げてきた」
ラピスは呆れたように溜息をつく。
「自業自得でしょ、マスターはカイルのこと心配してそういったんだから。これ食べ終わったらすぐに謝ってきなさい」
「はいはい」
「ありがとな、ラピス。あと…、あんま無理すんなよ」
「わかってる」
カイルはそういってから消えていった。
「ありがとう…」
虚空を見つめラピスはぽつり、と呟いた。




