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第五話 駄菓子って何?

 ——リリアの駄菓子屋、開店初日。


「リリアの駄菓子屋開店しました。よろしくお願いします」


 リリアはスカートの裾を少し上げ、会釈した。


 ドアを開けて中に入り、顔を赤くしながらカウンターの奥で控えるレオンに尋ねた。


「レオン、どうだったでしょうか?」


「及第点だな。声から自信のなさが顕れていた」


「緊張しました」


 リリアはカウンターの奥のイスに座り、客が来店するのを待った。


 ドアが開かれ、鈴が鳴る。


 親子が来店し、母親がリリアに尋ねた。


「このお店では何を取り扱っているんですか?」


「駄菓子です」


 親子は店内を見て回り、何も買わずに出て行った。


 リリアは肩を落とした。


 来店しても、何も買わずに帰る客が増える一方だった。


 *


 ——昼時になり、レオンはリリアに言った。


「リリア、店番を代わろう。食事を取ってくるといい」


 リリアは浮かない表情で頷いた。


「レオン、よろしくお願いします」


 重たい足取りで家に帰った。


 *


 ——ベルフォード家のダイニングルームで、昼食を済ませた三姉妹はお茶を飲んでいた。


 ヴィクトリアがリリアに声をかける。


「リリア、元気がないけど、体調でも崩したのかしら?」


 リリアは首を横に振り、笑顔を作った。


「ヴィクトリア姉様、大丈夫です」


「そう」


 ヴィクトリアはセシリアに話しかけた。


「セシリア、お店のほうは順調なのかしら?」


「まずまずです。そういうヴィクトリア姉さんはどうなんですか?」


 ヴィクトリアは右頬に手を当てた。


「商売は難しいわね。お父様の後継者になれるか、今から不安よ」


「お姉様方、私はお店に戻ります」


 リリアは席を立ち、足早に外へと向かう。


「リリアお嬢様、お待ちください」


 足を止め、振り向くと、包みを持った使用人が近づいてくる。


「レオン様のお食事を用意したので、私もお供します」


 リリアは柔らかく微笑んだ。


「私が届けるので、仕事に戻ってください」


「よろしいのですか?」


「はい」


「それでは、よろしくお願いします」


 リリアはレオンの弁当を受け取り、店へ向かった。


 *


 ——リリアの駄菓子屋に到着し、リリアは目を僅かに見開いた。


 買い物して出て行く親子を見て、足早に店に入る。


「騎士様、このお店では何を売られているのですか?」


「上菓子をご存じですか。子どもが覚えやすいように、駄菓子に名を改めました」


 母親は買い物カゴを手に持ち、子どもが急かすように駄菓子を入れる。


「騎士様、お会計お願いします」


 レオンは駄菓子を紙袋に詰める。


「銅貨二十八枚です」


 客は代金を支払い、紙袋を受け取った。


 母親は息子に言った。


「一度に食べたらダメだからね」


「は~い」


 リリアとすれ違った親子は笑顔で店を出て行った。


 レオンに近寄り、カウンターに弁当を置いた。


「レオンの食事です」


「ああ。裏で食べるとしよう」


「レオン、一つ教えてください。私の何がダメだったのでしょうか?」


「客にとって、駄菓子は聞き馴染みのない言葉だから説明する必要があった」


「なるほど」


 リリアは柔らかく微笑んだ。


「レオン、ありがとうございます。あとは私に任せてください」


「ああ」


 レオンは弁当を持ち、店の裏手に移動した。


 リリアはイスに腰かけ、来客を待った。


 ドアが開かれ、鈴が鳴る。


 客に何の店か尋ねられ、リリアは答える。


「上菓子をご存じでしょうか。子どもが覚えやすいように、駄菓子に名を改めました」

ここまでお読みいただき、ありがとうございます。


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