自己紹介「インフルエンサー」愛瑠マナ
『はいどうも!ばんちわっす!あいるぅチャンネルのマナです!今日はシモキタの古着屋……に来ていまっす』
ディグれる古着屋といったどこにでもあるタイトルで動画で動画投稿している少女。愛瑠マナ。
高校生ながらにチャンネル登録数も増えて、時々だけどプライベートで服を買っているときに声をかけられる程度には実力があると自負している。
彼女は一人の女にガチ恋していた。
見事なまでの我を見せつけていたカエ先輩。
例の部活紹介をプライベート用に動画まわした迄ある
推しは男だろうが女の子だろうが関係ない。
推せる時に推す。
「はーカッコよかったなぁ。ホンモノともう少しお話したいなぁ」
放課後、次回の動画の構成を考えながら、ボンヤリカエ先輩の事を思い直す。
動画を残したい自分でもあそこ迄は出来ない。
全校生徒が集まって、ボランティア部とかいうトリもトリであんな楽しそうに生きている同性は見たことない。
鮮烈な光とまで彼女の事を評価している。
「えーと、アナタが愛瑠麻奈ちゃん」
「カエ様!?どういう事」
その光が私にスポットライトを当ててきた。
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『チョッキくん、ゴメン。扱いやすいと思ったけど無かったことにしていい」
憧れられてるのかなとは思ったけど様呼びは想定されていなかったので、カエはチョッキに顔で難色を示した。
事実、顔を見た時ピンとは来ていたのだ。
前に服買っていた時に店主と動画撮影の件で揉めていたのを覚えてて、サイトを眺めていたら、動画を見つけてディグってる服の好みとかが似てるから朧げに覚えてはいた。
「まてまてって、待ってください!私になにか用事があったんですよね!?」
「いやー、他人がテンパって変なテンションだとかえって落ち着くね。もう一人当たろっか」
「わるいな。相方が無しって言ってるんだ。」
「私が!待てって言ってるんだ!話くらいさせて!ほしい!!!」
「…どうすんだよ。この子のテンション。」
絵に描いたような有頂天。ハイ。
そんな子にドン引き師ながらチョッキとカエは宥めて退散のために会話を試みる。
「…えっと、動画みてます。以上また来るね」
会話おわり。事実ではあるのでまたこない可能性が非常に高いが目線を外す。
「ありがとうございます。じゃあ。」
と一呼吸置いて
「それだけなわけないですよね!?」
「声デッカイ。やめてよ。ウチのボ部の部員少ないから探してるの。」
「入りまっす!」
「………」
押されてつい。
みたいな気まずい雰囲気が3人を包む。カエとしてはもうちょい段階が欲しかった。
マナとしても、勢いで話過ぎて引かせた。
「あのさ。マナさんだっけ。俺らだいぶ都合よく逃げようとしたぞ。そんなに勢いで会話して問題無いのか?」
「あのカエ様直々にお声掛けくれるなら是が非でも…」
クールダウン。事情聴取のターン。
彼女の言い分として、推しと推されの関係というのは理解した。カエの見立て通り扱いやすそうではある。
が
推しと推されの関係のままだとしんどくて、仲間とは言いかねるのがカエの本音。
せめて先輩と後輩。もしくは友達。
「とりあえずだ。様呼びやめよっか」
「恐れ多いです〜」
「じゃあボ部誘わない。」
「分かりました!カエっ」
会話の大暴投。友達としても親友の距離感を詰めてきた。動画撮影するくらいだ。馴れ馴れしいのが当たり前なのだろうか。
「じゃあコッチは?」
チョッキのほうを指さす
「チョッキさん?」「やるじゃん」
「じゃあ私」
「カエ様もしくはカエ?」
「間、間」
「…あー、カエ先輩。」
「それでいこう。ようこそボ部へ」
「来ちゃいます!ボ部」
部員問題解決。
問題児が一人増えました。
「なあ、俺も知り合いだったから流したけどもう一人どうすんの?」
「誰なんですか」
「コイツだよ」
もう一人の方。俺も一応面識はアルバイト仲間の外国人。ナンカレーの店の手伝いをしている。
あ、忘れてたと顔をポカンとさせ、カエはと大声でこう言いだした。
「3いれば上々でしょ!とりあえずマナちはアイツに入部届け出しに行こうか」
「任せてください!改めてよろしくです!チョッキさん!カエ先輩」
男女比とかあるんだけどな。と言いかけてチョッキは辞めた。
むさ苦しいのなんてバイト先くらいで良い。
「で、方針としては何するんですか?私動画とりたーい!特にカエ先輩で♡」
「…………」
放課後に部室でたむろって勉強したり駄弁ったり。
部員を探す前なんてこんな熱量だ。
もちろんボランティアなんてした記憶もない。
「適当に実績は作りつつ、退屈な学校生活に中指立てるように面白おかしくやります、多分」
「そんな感じそんな感じ」
適当な先輩2人にニヤリと後輩。
「じゃー、動画撮影に付き合ってもらったりしますよ!」
「まあうん。黒歴史製造し過ぎなければ」
カエはTikなアレとかインのスタとかの短い動画でリア充演出の事を黒歴史のラインだと思い、ひとまず肯定で返す
が、空気の読めない男が一人
「カエが見るような動画とか部活動紹介のアレとかって正直黒歴史なのでは?」
デジタルタトゥーとかって言われるし、部活動のアレなんて大問題行動だ。
とこぼす。その瞬間左の頬には紅葉が咲いたし、チョッキの息子部分に大きな衝撃が走る。
ちらりと二人の顔をみると、明らかにさっきまでとは違い、不機嫌が顔に描かれてる。
「チョッキくんさ、お前がバイトって怒られて長時間拘束されて何が面白いのって言われたら嫌だよね」
「はい」
「お前の留年って正直黒歴史って言われたら首縦にふるしかないよな?」
「そうだな」
思いっきりお前呼ばわりとか、2つ下のすごく悪い口の利き方があった気がするが一旦肯定する。
女を怒らせるのはダメ。衝撃が抜けない股間とジンジンと痛みが引かない頬を引きずりながら身をもって知る。
「これだけはルール!人が好きなモノ、全肯定とまでは言わないけど、全否定するのは絶対ダメ!」
「否定から入るのも無しにしましょう。腹立つ」
「すまんかった」
謝罪が聞けたからこれ以上引きずるのも良くないと思ったのかカエがこう纏める。
「個性は大事に。やりたい事みんなで全力でやる。
あとは全否定NGな部活ね!あと、ボランティアする気ないからボ部って略すように!」
ようやく部活らしくなる。と小声でカエは続ける




