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チョッキとカエ  作者: にぼ
6/6

ボ部 本格始動 旅ログin唐戸港


流石の担任も頭数揃えたら首を縦に振った。

ということで


「ボ部正式発足じゃーい!」

「よっ!!」

「初っ端どんな事するんだ?」

「「「………」」」


だ れ も な に も か ん が え て い な い


「とりあえず動画でも録ります?」

「どうして!?脈絡ないよね」


再び沈黙

チョッキは学期末の内申のノート提出のために、話した記憶もないクラス委員ちゃんから借りてきた板書用ノートを書き写す作業に戻る。要点が分かりやすくて助かっている。


「私ですね。ゴールデンウィーク前にあった入学交流会いけなかったんですよ。風邪ひいちゃって」

「毎年ある奴な。俺らもサボった」

あと3日でテストなので、ノートの目線を外さずに答える。


「クラスの子も良い子だからぼっちにはならなかったんですけど…さみしくって。先輩達と行けたらなって」


チョッキとカエは内心おもった。

良い子やんと。テスト+ノート提出三日前なんてガン無視で二人の意見は一致する


「私達の始めての活動、お泊り会にしよう!!」

「良いんですか!」

「先輩2人に任せなさい。楽しいと思えるの考えちゃる」

「わーい」


こんな経緯でテスト当日。

借りていたノートは貸してくれたクラス委員ちゃんのためにも完璧に仕上げたが、チョッキは2回目の内容だと言うのに全く分からなかった。

カエは読めばわかったので、マナに勉強を教えながらも高得点。

マナもなんとか普通くらいの点数をキープ。


補習が約1名決まったがとりあえずボ部の交流会のお泊り会が始まる。


「えっと、先輩方。そのハイエースとおじさんは?」

「魚の仕入れをしてる居酒屋の店主さん。」

「…なんで居酒屋の店主さんが来てくれてるんですか」



テストも終わりお泊り会当日の午後9時。

呼び出されるがまま、準備を整え、ウキウキしてた後輩のインフルエンサーは固まっていた。

おそらくポカンとしている。そんな表情をチョッキに撮らせておく。


訳が分からない。自腹切って遊園地とか繁華街に行ってホテルでカエ先輩とお泊りできる〜のテンションだったから。


「唐戸の方仕入れに行くって言ってたから、乗せて貰おうかとおもってな」

「KARATO…どこ」

「山口だな。」

「へー、カエ先輩はそれでいいんですか!?」

「お魚美味しいらしいし、門司港興味あるなぁ」


えー。私のお泊り会磯臭そう。と思ったがこれ以上は野暮なので従うことにした。交渉とかしてくれたんだろうし。


チョッキ先輩とおじさんの割とどうでもいいお魚トークを無視しながらうたた寝を繰り返し、朝7時。

カエとマナは魚臭さで目が覚めた。

競りが終わって、魚の積み込みをチョッキとおじさんを終わらせ下関の駅に向かっている途中で起きた

ボランティアの実績として、街交流として提出するらしい。

発泡スチロールを担いでいるチョッキがなんともシュールだ。


店があるので、下関の駅で降ろされ、帰りは自腹で帰ってとのこと。

いきなり連れて行かれてかなりマナはご立腹だった。


「え、あり得なくないですか?チョッキ先輩ですよね。コレ考えたの」

「俺だな。」

「運転してもらってて言うのもよくないから黙ってましたけど、『ようこそ、ふくの街』ってなめてるんですか!?華の女子高生ですよ?初デートがコレなら秒で別れますよ!?下関でやっとピンときましたよ!」


可愛らしいフグのオブジェが今はほんのりセンス悪いとすら感じている。


「ここに来たいって言ったの私かも」

「カエ先輩だったんですね〜!だとしたら素朴過ぎます!」

「言ったな??後輩」

「言ったね?後輩」


カエとチョッキは散々調べてここにしている。

確かに行きの交通費を節約する為に、チョッキがおじさんに交渉に行ったりはしたが。


「そっちが、え、おかしいのはキミだよ!みたいな態度取るなら私にも考えがあります。」

「なにさ。」

「旅ログ動画撮って面白く編集出来なければ、私幽霊部員になりますから。あとカエ先輩!動画出てもらいますよ!」

「ええ…」


−−−−−−−−−−−−−−−

「旅ドッキリ!?先輩に連れられ、寝て起きたら知らない場所!イン下関!先輩方今日は何するんですか!」

「まず市場で寿司を食べに行きます」


準備しておいたVログカメラを起動させて、チョッキにカメラを頼み動画の撮影をし始めるマナ。

男の匂いは炎上に繋がるので、チョッキボイスは全消しで字幕演出予定だ。


「早速心躍るワードが!イイですね~。」

動画を回しながら、カエと他愛もない掛け合いをしながら、散歩をし始める。

始めこそ素朴過ぎるだろと思っていたが歩いていると海は見えてくるし、遊園地らしき場所まで見えて、マナは心躍り始めていた。


下関のイメージ通り唐戸港に近づくにつれてフグのマスコットが飾られていたり中々まちの特色が面白い。


「 着きました!唐戸港市場!!お目当ての店とかあるんですか?先輩!カメラ係さん」

「ない。けど戦場!カメラはしまって、お寿司届いたら続き撮影するよ!」

さすが日曜日といったところか。

7時半過ぎだが駐車場やお店の周りにはすでに列ができ始めている。

「らしいです!では〜カット挟みまーす」


マナはスポーツドリンクを買って、3人に手渡す。

並んで、飲みながらマナは動画のデータを早送りで確認。

自分の自撮りログより完璧だ。マナとカエの2人の掛け合いカットなんてテレビ顔負け。

編集もしやすそう。


「旅に無粋ならやめますけど…」

ワクワクもしてきたし、最初だけがエンジン温まらずにノれてなかっただけとマナは思ったので、2人に改めて聞く。


「好きな事出来て楽しそうだよ?いつもより饒舌だし」

「やりたいなら続けたら良いと思う。カメラ位持つぞ」

「協力してくれるんですね。さっすが先輩たち!でも流石に」

一旦GoProをしまって、ご飯は流石に写メ使って動画に使いますねと続ける。


そうこう、やりとりしているうちに列が動き出し人が市場のなかに散らばり出す。

「こういうのは時間勝負!2人ともダッシュだよ」


人混みに負けじと、カエ達は市場の中の寿司屋にダッシュする。

なんとか並ばずに目当ての店に入る。

古き良きカウンター席しかない、切り身の魚がショーケースに入っている回らないタイプ。


「始めてです!私回らないの!」

「アガるよね!魚が有名なところで回らない寿司食べるの夢だったんだ!」


カウンター座って早々テンション上がっているマナとカエを横目に、地元ならバイト先で奢ってもらった事あるなとチョッキは思いつつも無粋なので黙っておくことに。


目当てのフグはこの時期は旬じゃないとのことで、置いておらず、無難にお店のオススメ5貫とアラ汁、穴子天を選択肢。

カエはマグロ5種盛り+海鮮丼+季節の天ぷら盛り合わせ+アラ汁

マナは2人の注文を倣って、海鮮丼とアラ汁

と頼む。


「どんだけ食べるんですか?朝ですよ。先輩達」

「「まあまあ大丈夫、大丈夫〜」」


声を揃えて、胃のエンジンを野球部モードにした2人はニヤニヤしながら返事。


10分強待ち3人に注文した飯が運ばれてくる。

天ぷらを頼んだ2人は熱いうちにと、口に天ぷらを頬張る。

予想通りだ。


今まで食ってきた中で間違いなく一番美味い。


衣のサクっとした食感は軽くほんのり出汁の風味を感じ、魚の甘みや弾力、ふっくらした味わいも一つも壊さない。

備えつけの塩で味変すると、より魚の甘みが引き立ち口の中が幸せになる。

二人してマナをガン無視で味の余韻に浸ってると、声をかけてくる。


「先輩〜。かわいい後輩の頼みなんですけど…」

「自分で可愛いとか言ったのはマイナスだけど、しゃあないか」


2人ともマナに少し分ける。

すると、後輩も幸せそうにトロンとした顔つきになり、味の余韻に浸りだした。


「寿司も欲しいか〜!後輩〜」

「もち、ですっ!」


カエは赤身、チョッキはアジをあげた。

凄く名残惜しいが、さっきの後輩の美味しそうな顔を見ると仕方ないと思えた。

後は無言。美味すぎる魚の前に全員黙り、浸る。


天ぷらでココまでテンションが上がったのに、寿司や海鮮丼のクオリティでベラベラ喋るのは勿体ない。

全員の心が一致し、朝の海鮮を楽しんだ。


そして、店を出てGoProのカメラを回す。


「っはぁ、先輩達!ヤバくなかったですか!?」

「人間って美味すぎるご飯を前にすると黙れるんだね」


カメラ担当もサムズアップで返事。

食を堪能した3人の旅もまだ始まったばかり。

1泊の旅行は幕を明けたばかりだ。

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