一目惚れ
やりたいことあるから、来てね。と言われたモノの、ほかの部活とかは準備に勤しんでいる中
部活動紹介の日までカエは一日たりとも学校には来ていなかった。
おかげでフられたん?とか聞かれる始末。
そんなのでも無いし、俺もあの女が分からない。
バックレる奴がいてもなんとなく雰囲気でわかりそうなもんだが、あのやり取りをして何もなしは虚言癖が過ぎるだろう。
オマケに俺に聞かれても知らないのに、例の教師からもカエにひと言言っとけとか言われている。
全くもって知らん。いざとなれば適当にウチの部活動は名目上ボランティア部とか言う動いてない部活らしいので、でっち上げて適当にその場を凌ぐこととする。
退屈なまま。
実績も知らなければ、活動自体どんなことをしてるかも全く知らないのでまあ結果はお察しだろう。
今は0人なので新規はゼロだし、2人の溜まり場になるだけ。
二人で退屈をぶっ壊そうとか言ってた割に無責任だなとふと思う。
こんなのだったら、勝手にやる事やって教師とバトってる方がまだ実りがある。
放課後に例のイベントがあって、もう放課後10分前。
6限目の終わりがけだ。
ついに、なんか聞いた記憶があるような、ないような微妙な内容の数学が終わる。
流石に焦燥感に襲われる。
何をしてるんだと。
今日は部活紹介する側以外は帰宅だ。去年は帰った記憶しかない。
シレッと帰ってやろうかとも思ったが
「や」
カエ嬢ご降臨。余りにも遅い。
「パワポ役だけよろしく〜」
そして余りにも雑い。USBメモリーを投げて渡されただけ。
[内容は秘密]
フォルダの名前もこんなんで、時間が来るまでロックされている。
挙句の果てカエ自身が立った時に開いてくれたらそれで良いとのこと。
メチャクチャだ。
もう少し生まれる時代が早ければ喧嘩の一つしていたかもしれない。
「一つだけ。今日の退屈ぶっ壊してあげる。面白かったら私に謝った後にやる事、付き合ってね」
「……」
とりあえず沈黙。こんなメチャクチャな女に共感なんてとてもじゃないけど出来ない。今のところは。
刻々と時間が過ぎる。運動部が特技がてらリフティングをしていたり、部長が部活の内容を説明していたり。
在り来りの部活紹介。別にこんなのだったらバイトに行って日銭を稼いでいたほうが建設的だろう。
ぼーっと眺めてると、俺達のターン。
ボランティア部なんて期待されていない部活なので、オオトリだ。
開けるようになったパワポを動かす。
初めの方は、個性しかない姉ちゃんが気だるそうに淡々とボランティア部とはなんぞや?ってことを早口で棒読みで話していただけ。
その時間30秒以下。
流し見してたパワポのボランティア部紹介と書かれていた部分は本当にすぐに終わった。持ち時間5分制限があるので、あと4分強。
あと3枚、パワポのページが残っている。
1枚目の内容
「青春とかいう当たり前疲れてないかい?
個性を否定するの飽きてないか?」
とシンブルに1枚目。
アホだアイツ。こんな退屈な場所でちゃんとこんな事考えてくれるヤツなんているわけない。
実際に周りはドン引き。
が、自分はこの状況が面白くてたまらなかった。
続きがほしい。殆ど初対面のこの女がなにを考えているか知りたい。
学校なんて当たり前は退屈だし、組織のなかの外の世界が一番楽しい。
否定なんてされる必要は本来無いのだ。
そんな事を考えていると、カエは備えつけのマイクを握り直す
「うさんくせー、はよ終われよ。浮いてんなぁと思ったでしょ。この時間はしっかり聞いてもらうから!
アウェイで面白くないこんなトコロ、私が変えてやる」
アウェイ。
こんな言葉が刺さる。
高2も2回目だからだろうか?そんなのがキッカケなら優等生している。
毎日変わり映えのないからバイトに逃げていたのか?とふと思う。
「自分の言葉じゃないのに流されて、勝手に疲れて。しんどくて、そんなの辛いじゃん。
熱血みたいなこと言うけど、逃げりゃいいんだよ。つまらない」
2ページ目
好きなモノは好きでいい。私はこれが好き
「個性とか趣味とか隠すの面白くないよね。私は歌うこととアウトドア趣味とか好きなものがいっぱいある。相方のチョッキくんはバイトが好き。
自分自身の好きなモノを抑え込んでまで、何かを成し遂げる必要なんてないんじゃないかな?」
自分の中で以前の沈黙の意味が分かった。
結局のところ、好きを否定された気がした。それだけだったのかも知れない。
カエ自身の思惑なんか知らないし、自分の事を肯定も否定も曖昧になって意固地になっていたのかも知れない。
そう思うと、なんとなくカエから目が離せなくなる。
「ヤンキーと言われようが知らないから、今日は歌って締めさせてもらう」
またメチャクチャな。
しかし、さっきとは別の感情。コイツの続きをみたい。
退屈な2回目なんてメじゃないくらい、この女に興味がある。出来ることならなんでもしてやりたくなる。
3枚目ラストが開かれる。
音の針。
流行りの感じが全くしない。
ドラムとエレキギターが主体の音源。歌詞はさっき彼女が言っていたような、退屈をぶち壊し、自身を肯定してやるような汚い言葉の歌詞だ。
エモいとか聞きやすいとか全くない。
これが私。と一心不乱に聞いている人たちを置いていっている。
が、自分はこの女から目が離せないでいた。
誰かを好きになったとかは今まで無かったが、このどうしようもない個性の女に釘付けだ。
曲が終わる頃には、もう終わりだということで貴重な放課後を他に優先している人だっている。
わたしにはかんけいない のだから。
そんな人達を横目で見ながらカエは思いっきり楽しそうに歌う。
私はこうだ。と
そんなギラついた目に、チョッキはおそらく恋をしてしまったのだろう。
目が離せないし、この後の不始末のフォローまで考え始める。
そして、彼女のウタが終わる。
「知っての通りボランティア部は文化部です!週一とは言わず、土日以外、私たち2人たむろってるので、なんか疲れたなって人遊びに来てください!以上!!」
曲を流していた最後にありがとうございました。とありきたりに彩って彼女のしたいことは終わる。
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こんな事しでかして、何の叱られもない訳がなく。
次の日、いつもの先生のところに、チョッキとカエ2人仲良く座らされていた。
「…で、申開きは。やりたい事があるといったほうから聞こうか」
「やりきりました!ないでーす」
「止めなかった方」
「やらせてあげました。止めろって言うなら先生が機材にトラブル起こして終わらせたら良かったんです」
The開き直り。
留年生と不登校だ。こんなモンで良いだろう。
カエなんて本当に満足しているのかニヤニヤしている。
「揉み消した後にあんな本音聞かされたら、俺も思うところあると言いたいところだが…退学の話まで出てんぞ」
「デスヨネ〜」
未成年の主張なんてこんなモンだ。
しいたレール脱線しまくると、ペナルティが出る。
「…特にカエ。お前、やりたい事やるには相応の責任が伴うのは分かるな?」
「存じてマスー」
「フル単位・評定オールAと、ここから先皆勤。それが出来なければ退学」
「ヘーイ」
なんか楽しそうに返事をするカエ。
自信があるのか無いのか。
「あと、チョッキ」
「へい」
「お前にオールAは無理だろうから、フル単位と皆勤と言った分のペナルティをこなしてもらう。」
「へい」
これ以上は庇いきれないと、メチャクチャ言ってきた。
あとももう少しグダグダ言われ、問題児2人はお説教部屋から解放される。
ゲッソリした顔でカエが
「ねえ、チョッキくん。言うことは?目で分かるよ」
と、答えがわかりきっている事を聞いてくる。
「悪かったよ。二人でお前が言い出した変な空気のボランティア部楽しんでいこうぜ」
惚れた弱みだ。誘導されたみたいでシャクだが、肯定を返す
こんなテンションの学園モノしていきます。お暇なら立ち寄ってね。
目標毎週水曜日夜9時頃です〜




