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日々の生活に疲れた45歳が異世界で若返り、第二の人生をまったり満喫する♪はずっだったが、色々ほっとけない!   作者: 夢叶


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57 王都への道のり


「ぎゃっ! ひぃぃぃーーーーー!!!」


只今私は馬上で絶賛絶叫中でございます。何があったかって?

それは……遡ること数時間前のとある出来事が原因である。


王都へ向けて出発してから一時間ほど。

異世界仕様の身体のおかげか、馬を走らせ続けても不思議なくらい疲れを感じない。

ルドも問題なく馬を操り、今のところ順調そのものだった。

そして、街道脇で小休憩を取っていた時に、ルドの考え付いたことが事の発端である。



汗をかいた馬の首を撫でながら、ルドが何かを考えるように顎に手を当てる。

「……なぁ」

「ん?」

「例の栄養ドリンクって……馬にも効くのか?」

「…………効くと思うよ?」


昨日、ルドが調子に乗って全力疾走した結果、普通なら何時間もかかる道を、とんでもない速度で駆け抜けて王都まで行ってしまった代物である。そんなものを馬に飲ませたらどうなるか……


「馬も疲れずに走れるなら、移動が楽にならねぇか?」

「…………」


確かに王都までの道のりを考えれば、魅力的な提案ではある。

私はインベントリから例の栄養ドリンクを取り出し、じっと見つめた。

気になる……人が飲めるということは馬も大丈夫なのでは?


「……ちょっとだけなら? 心配だから、水で薄めて試してみる?」

「絶大な効果だったからな……水に数的程度で試してみるか」


ルドと顔を見合わせると、二人して馬を見る。

馬はというと――何も知らずに、のんびり草を食べていた。


ルドは収納鞄から馬用のバケツを取り出すと、何も言わず私の前へ置いた。

私は魔法でバケツに水を入れ、栄養ドリンクを10滴垂らし入れる。お互い無言で頷き、ルドがバケツを手に取って馬の元へ歩いていく。


「ヒヒン?」

突然近づいてきたルドと、バケツを交互に見る馬。

「……水も飲んでおけ……元気が出るぞ?」

ルドがバケツを差し出し、馬は匂いを嗅ぎ――。

「……」

一度顔を上げ、もう一度匂いを嗅いで――


ごくごく飲んだ。


「……大丈夫かな?」

「十滴だぞ。さすがに問題ねえだろ」

「そうだよね」


私たちは固唾を呑んで見守る。やがて、バケツの中身をすっかり飲み干した馬が顔を上げた。

馬の耳がピンッと立ちあがり、地面を前脚で勢いよく踏み鳴らす。


バンッ! バンッ! 「ヒヒィィィン!!」 ブルルルルッ!!


「…………」

「…………」


馬の様子を見ながら、私とルドはゆっくり顔を見合わせる。

「……なんか、異常なほど元気になってる?」

「……なってるな」

先ほどまで大人しく穏やかな様子だったのが嘘のように、馬は妙に元気いっぱいで、目をギラギラと輝かせている。

「……十滴でこれか」

「馬……大丈夫……なの……」


馬が突然、前脚で地面を強く蹴った。

次の瞬間――

  ドンッ!! ダッ!!


 「「は?」」


「まずい!!」 

「えっ!?」


驚いて固まっていると、次の瞬間には身体がふわっと浮いた。


「ぎゃっ! ちょ、待っ――」

「しっかり掴まれ!」

「ええええ!?」


気付けばルドに担ぎ上げられ、そのまま走り出していた。

いやいやいや、速すぎない!? 私を担いでいた人とは思えない速度なんだけど!

獣人って身体能力どうなってるの!? ルドが物凄いスピードで馬に追いつくと、素早く手綱を捕まえ一気に馬へ飛び乗った。


「ぐへぇ!!」


担ぎ上げられたまま馬へ飛び乗った衝撃が、容赦なく腹に衝撃が走る。


「うぐっ……!」


痛いと思った次の瞬間には、ひょいっと馬の背へ放り投げられた。


「わっ――!」


ドスンッ!


今度はお尻に強烈な衝撃が走る。


「いったぁ……!……っ!」


落ちる!そう思った私は、反射的に両手で鞍にしがみつき、足を必死で踏ん張った。


「お、お腹とお尻が……!」

「大丈夫か!?」

「おかしい……絶対防御があるはずなのに、なぜ衝撃が!?防御の基準とは何なんだ??」

「……おい」

「痛みは防いでくれない……? いや、それなら防御とは……そもそも衝撃を無効化するのか、怪我だけを防ぐのか……」

「おーい? 大丈夫ならこのまま王都目指そうぜ! 馬も調子良さそうだからな!!」


しかし私は、それどころではなく、鞍にしがみついたまま涙目でブツブツと思考を駄々洩れさせて、ルドの言葉に気が付くことなく、頭の中を疑問がぐるぐると駆け巡り、完全に自分の世界へ入り込んでいた。


「おーい?……まぁ、いいか、クロと早く合流したいからそのままスピード上げて行くぜ!」



そして私は――

グンッ!!身体が一気に後ろへ持っていかれる。

「ええっ!?」


馬の速度がさらに上がった。


「ちょ、ちょっと待ってぇぇぇ!! 速いぃぃぃぃ!!」

「大丈夫だ! ちゃんと掴まってろ!」





馬とルドは絶好調。




「ぎゃあああああああ!!」




話を聞いていなかった私も悪かったとは思うけれど!ちゃんと確認して欲しかった!!






私は絶好調とは程遠い状態で、さらに加速した馬に絶叫しながら必死でしがみ付くことしかできなかった。








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