39 私の事情
私は思い切って本当の事情を二人に話すことにした。
「……私の事情って言っても、誰かに追われているとか追放されたとかではないからね?」
何と言えばいいか……何から話せばいいのか分からない。
正直に不安に思っていることを話せばいいのか?
私は苦笑いをしながら話を続ける――
「……この世界の事があまりわからなくて……ね? 貴方達としか話したことがなくて……少し慣れるまで一緒にいて、おしえてもらいたいなぁーっ……て……? どうしたの?」
クロとルドに視線をやると―――目を見開き……口までポカーンと開けて固まっている。
やはり、異世界人は珍しいのかな?
「この世界には異世界人ってあまりいないの?」
「「いない!」ねぇーよ!」
即答ありがとうございます。
ですよねぇー。しかし、ここで勘違いされたくないのでしっかりと説明をしなければ!
「でもね、私は、聖女や勇者ではないからね! 普通に人生を自由に楽しんでいいのだから! お役目なんて何もないからね!! そこは、女神さまのお墨付きだから!!」
勇者や聖女にされたらたまったもんじゃない!ここは誤解しないようにキッチリ伝えなければ。
鼻息荒く、全力で伝えたつもりだが……?
「「・・・・・・・・」」
「あれ? ちゃんと分かってくれた?……どうしたの?」
私は首を傾げて考え込む――
「……私の説明では分かりにくかったのかな?」
「そこじゃないだろー!! 女神ってなんだ? お前ナニモンだ??」
慌ててルドがまくし立てて聞いてくる。
私はこの際だから、隠すことなく本当の事を話す。
「あのね。私、地球って私が住んでいた星?世界なんだけれど、そこでどうやら死んじゃったらしくて……女神様が、そんな私を見ていたらしくて……「私の考えが面白い」って気に入られていたみたいで、異世界転生?転移?させてもらったのよ」
ビックリ仰天な話だけれど真実である。
「私も初めは信じられなかったのよ? 気が付いたら…森に裸足で寝間着姿で独りぼっちだった。何も持っていなかったし、スキルや能力なんて知らなかったから大変だったけど……有難いスキルや道具については後から知ったの。その時に女神さまからの手紙で私の事情が分かって……今となっては感謝しかないよ。本当に女神さまって太っ腹だよねー! 私が異世界で生きていけるようにと色々ともらったの。だから道具の機能なんて正直全てを把握していないのよ。この世界に来てまだ数日だしね」
私は一気に話し終え―― 二人を見ると……
ルドは天井を見つめてブツブツ言っているし……
クロは額を両手で押さえてブツブツ言っている……
こいつら、大丈夫か?
聞いているのか分からないけどこれだけは言わなくては――
「ただ、この話は他の人には話さないでもらいたいの。勘違いや誤解されても嫌だし……利用されたり、悪い事に強要などされたくないしね」
私がそう話すと 「「言わない!」ねぇー!」
「おーぉ。しっかり話は聞いていたんだね。良かった」
誤魔化す事無く、一気に話してしまったけれど、しっかり聞いてくれていたみたいだ。
少し肩の力を抜き、私はこれからについて考える。
……どうしようかな…
とりあえず、私は町を目指したいと思う。この世界の暮らしに興味があるし、教会に行って女神様にお礼言いたいしね。
まずは、森を抜けない事には始まらない。
「私は、森を出て、町で暮らそうかと思っているの。……だから、町に着くまでは一緒に居てもいいかな?……無理にとは言わないけど…」
地図があるから一人でも辿りつけるとは思うけれど、心細いし、ちょっと寂しい。
見知らぬ世界で頼れる人もいないし、ここまで話して、仲良くなった…と、私は思っている。
そんな私に、クロが呆れたように話し出す。
「……お前…一人で町に行って普通に生活できると本気で思っているのか?」
ん? なんだと!?
「変な奴らに騙されて捕まって、良い様に利用されるのがオチだぞ。下手したら隷属させられて一生、死ぬまでこき使われるぜ」
!思わず目を見開く。 ルドまで物騒なことを言う!
「そんなの、やってみなきゃ分からないじゃない。何かあれば魔法で逃げるし!」
「魔封じされたら?簡単に逃げ出すことができなくなるんだぞ」
「お前は警戒心も無ければ、世間を知らなさすぎる。このまま野放しにしていたら……いたる所で被害が出そうだ」
クロはこめかみを押さえながら首を振る。
ルドも同感!と思ってるようで、静かに首を縦に振った。
確かに、世間知らずだとは思うけど……何だか……言い方ひどくねぇ?
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