26 話を続けよう
勇者と聖女ってファンタジーの定番だよね…
もしかして、その勇者たちって――異世界人だったりするのだろうか…
この世界には転移者が結構いるのかな?
「今でも勇者と聖女っているの?」
2人にそう聞いてみると…
ルドはそこで小さく息をつき、さらに話を続けた。
「勇者はいないが、聖女とされている奴が人族にいる…」
「?されているって…聖女じゃないの?」
ルドはどこか苦々しげに眉をひそめながら吐き捨てるように言った。
「人族が勝手に“聖女”だと言ってるだけだ。他国じゃ認められていない……。
伝承にある聖女みたいな奇跡を使ったって話も聞かないしな」
その声音には、露骨な嫌悪というより――長年積み重なった不信感のようなものが滲んでいた。
そこでルドは一度言葉を切り、ちらりとこちらを見る。
「それに、人族は自分たちこそが史上最高の種族だと思ってる奴が多い……
特に高位貴族はその傾向が強い。獣人や他種族を見下して、平然と差別する連中も少なくない…
まぁ…差別しない奴らの大体は平民や冒険者などが殆どで、貴族はかなり少ない」
人間が一番弱そうなのに……。
人族より他の種族の方が強いんじゃないの?」
私が素直な疑問を口にすると、今度はクロが静かに説明を始めた。
「確かに、純粋な身体能力なら獣人族の方が遥かに上だ。
魔法に関しても、エルフ族には到底及ばない。特に精霊魔法は圧倒的だからな」
淡々と語るその口調には、自分たちの力への自負が感じられる。
「だが――人族には厄介なものがある」
クロはわずかに眉を寄せた。
「隷属魔法……あるいは、それを込めた強力な魔道具だ。
あれは非常に厄介でな…エルフでも簡単には解除できない。
ハイエルフなら可能らしいが、それでも容易ではないそうだ」
空気が少し重くなる。
「だから他種族は、人族と深く関わりたがらない。
力で負けているわけじゃない。ただ……面倒なんだ」
クロは冷めた目で呟いた。
「だが人族は、それを“自分たちが強いから従わせられる”と勘違いしている。
特に王族や高位貴族に、その手の考えは多いな」
そこで肩をすくめ、小さく息を吐く。
「もちろん全員じゃない。
まともな考えを持つ高位貴族もいるにはいる。
……だが、大抵は変人扱いされる」
最後の言葉には、呆れと諦めが混じっていた。
「他種族差別……全然共感できない。
一応、私も人族……なんだけど、そういう差別感情は理解できなよ」
先に口を開いたのはクロだ。
「……お前は…身綺麗だから…貴族かと思ったが…………変わっているな」
感情の薄い声だったが、どこか棘がない。
ルドも腕を組みながら頷く。
「普通の人族なら、獣人やエルフを見ただけで警戒するか、下に見る奴も多いからな。
子供を攫って売ろうとする馬鹿もいる」
さらりと言われた内容に、私は思わず顔をしかめた。
そんなことを“普通にあること”みたいに言うなんて。
クロはそんな私をじっと見つめる。
「……少なくとも、俺たちを嫌悪する感じでは無いしな」
「私は平民だよ!貴族なんて会った事も無いし。差別意識も持ってないよ」
私がそう言うと、二人は顔を見合わせるように視線を交わし――静かに頷いた。
「私は獣人の耳と尻尾ってすごく可愛いくてて好きだねどね。それに、ルドもクロもいい子じゃん」
二人はぴたりと動きを止めたて、まるで信じられない言葉を聞いたみたいに…
「……は?」
「いい子……?」
揃って間の抜けた声を漏らす二人に、私は思わず吹き出してしまった。
まだ小さいのに妙に物知りだし、しっかりした大人ぶってるし…
きっと生きていくために、必死で色々学んできたんだろう。
「森について大体は分かった。今後はどうしようか?2人は家に帰りたいよね?」
するとクロは表情を引き締め、小さく首を横に振った。
「戻りたい気持ちはある。だが……追われている身だ。今の状態で戻るのは危険すぎる」
ルドも真面目な顔で頷く。
「とにかく今森の何処にいるのか正確に知る必要がある。
森は広大だ。俺達がいた場所からどれだけ流されてきたか分からない…どの国に一番近いかによっても今後の行動は変わると思う」
「そうだよね……今どこにいるのかも分からないし……」
ぶちゃけ遭難者だよね…現在地確認できたらいいけれど無理っぽいし……地道に歩いて探すか?
……いや、待てよ?
もしかして――マイホームにある地図本を開けば、何か分かったりするんじゃ……?
気になる。ものすごく気になる。
もしかしたら……マイハウスの地図本を開いたら何かわかったりして……
気になる……マイホーム出せたらいいがまだ知られたくないし……
まぁ2人がいるから何とかなるでしょう。私は気を取り直すようにぱんっと手を叩いた。
「とりあえず、明日から歩いてみよう!」
「「歩く?」」
「うん。どこかに辿り着けるかもしれないし、二人が見覚えのある場所を見つけられるかもしれないでしょ?」
そう言うと、ルドとクロは顔を見合わせ――小さく頷いた。
「明日からの行動は決まったし、今日は疲れたから早めに休まない?」
私は二人を見ながら、ゆるく笑う。
「……ありがとう。しばらく世話になる」
年下なのに妙に落ち着いた声音でそう告げるクロの隣で、ルドも静かに頭を下げる。
「助かる。本当にありがとう」
私は慌てて手をぶんぶん振った。
「いやいや! そんな堅苦しくしなくていいからね?
私も助けてもらってるし、困った時はお互い様ってやつだよ!」
胸を張って言い切ると、二人は一瞬ぽかんとした後――顔を見合わせて苦笑いする。
けれど、最初に比べれば空気はずっと柔らかくなっていた。
「後片付けは私がやっておくから先に部屋で休んでね」
「「手伝う」」と二人が言ってくれる。いい子達だなと思ったが魔法で「クリーン」
汚れた食器が一気にキレイ♪
「「・・・」」
「ありがとう。後はお皿しまうだけだから大丈夫だよ?」
そう言うと二人は無言で自分が使った食器を持ってキッチンへ――
なんてイイ子たちなの!子供たちの優しさに感激した。
―――
部屋に戻り再び考える。どうにかしてマイハウスから本を取ってきたい…
鑑定で自分の現状調べてみよう。何か分かるかも知れないしね。
「鑑定!」
<鑑定> 名前 南 奈々 年齢18歳
<状態>遭難中 体調良好
体力500 魔力∞
スキル 全言語理解(読み書き可)
イベントリ(容量∞時間停止)
生活魔法(SS) チートです♪
マイハウス(縮小扉出現可)
???
「何だろう?マイハウス縮小扉出現可って何??」
突然部屋の壁に玄関ドアが縮小して現れた。
・・・文字通り玄関が縮小して現れた…便利すぎじゃねぇ?有難いけども!
ドアを開けて中へ入ると、いつもと変わりないマイハウスの光景が広がっていた。
早速、作業室から地図本を取ってそのまま急いで戻ると、背後でスゥッと音もなく扉が消えた。
すると突然、部屋のドアが勢いよく開いて――「おい、いるのか?何かあったのか?」
クロの鋭い声が響く。
「えっ何が?どうしたの?」
驚く私にルドが気まずそうに答える
「気配が消えた感じがしたから何かあったのかと思ったんだ」
ぎくっ! 獣人(?)の感覚鋭っ!?
私は引きつった笑顔のまま、ぶんぶん首を振る。
「だ大丈夫だよ!何もない。何もなかったよ!」
クロがじーっとこちらを見詰めてくる……冷や汗だらだらな私。
私は誤魔化すように乾いた笑みを浮かべた。
「きっと疲れているんだよ。早く寝た方がいいよ?おやすみ!」
そう言うと「……そうかもしれない……」ルド素直!
一方でクロは、じとーっと半目のまま私を見ていた。
……だからその目やめてぇ!!
面白い! 続きが気になる!
と思ったら
広告の下↓にある【☆☆☆☆☆】をタップして頂けたら嬉しいです
【★★★★★】にしてくれたらものすごく嬉しいです!!
ナイスマークをポチっと
して頂けたら感謝!感謝です!
読んで頂きありがとうございます!




